多摩川散策日記2006年5月)

文と写真:上田大志

 

 

5月1日 睦橋周辺(右岸)

晴れ。気温は今年はじめて30を超えたそうだが、湿度が低く風もあったので爽やかな陽気だった。カワラニガナが満開。芽吹きはじめたニセアカシア林にヒレンジャクが3羽やってきた。ここでは5年前の同時期に群れを見かけているので、もしかしたらと思って来てみたのだ。今日はエゾムシクイやコムクドリも確認できた。自然豊かな多摩川の河川敷には、渡りの途中、多くの野鳥たちが立ち寄っていく。カワウ、アオサギ、キジ、コジュケイ、トビ、イカルチドリ、キアシシギ、キジバト、コゲラ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ヒレンジャク、ウグイス、オオヨシキリ、エゾムシクイ、セッカ、ツグミ、スズメ、コムクドリ、ムクドリ、ドバト、ガビチョウ。

    

 

5月2日 福生五小〜睦橋上流

毎年恒例、福生五小の全校野鳥観察会「春と野鳥」を自然環境アカデミーのメンバーでサポート。僕は3年生に同行し、校庭で巣箱に出入りしているムクドリを観察した後、多摩川へ向かったが、到着するや雷鳴とともに激しい雨が降り出したので、学校に戻り、多摩川の野鳥を写真パネルと「声が聞こえる野鳥図鑑」で紹介した。

 

5月3日 大栗川合流点

快晴。キリの花が満開に。カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、キジ、コジュケイ、トビ、チョウゲンボウ、イカルチドリ、イソシギ、コアジサシ、ヒメアマツバメ、カワセミ、コゲラ、ヒバリ、ツバメ、イワツバメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、キセキレイ、ヒヨドリ、ウグイス、オオヨシキリ、エゾムシクイ、セッカ、ホオジロ、アオジ、カワラヒワ、ムクドリ、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

5月4日 大栗川合流点

晴れ。すっかり緑に覆われた崖線に白いミズキの花が目立つようになってきた。ニセアカシアも咲きはじめた。林の奥ではコルリが鳴いている。カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、キジ、コジュケイ、トビ、オオタカ、チョウゲンボウ、イカルチドリ、キジバト、カワセミ、コゲラ、ヒバリ、ツバメ、イワツバメ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ウグイス、オオヨシキリ、セッカ、ツグミ、コルリ、エナガ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、メジロ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

5月5日 大栗川合流点

晴れ、夏日。ハナウドが咲きはじめた。カジカガエル、ウシガエルの声。カワウ、アマサギ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、マガモ、カルガモ、キジ、コジュケイ、ミサゴ、トビ、オオタカ、チョウゲンボウ、イカルチドリ、イソシギ、コアジサシ、キジバト、ヒメアマツバメ、カワセミ、コゲラ、ヒバリ、ツバメ、コシアカツバメ、イワツバメ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、オオヨシキリ、セッカ、ツグミ、エナガ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、ヤマガラ、メジロ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、(アヒル)、ドバト、ガビチョウ。

 

5月6日 大丸堰〜郷土の森

晴れ。大丸堰中央部のゲートは5門とも閉まっているが、左岸側の流量は僅か。郷土の森前のニセアカシアはまだつぼみ。土手ではハタザオが盛り。レンリソウの新芽が育ってきた。一本クルミ前のワンドは伏流水が湧いているようで水質は良好。カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、キジ、イカルチドリ、イソシギ、コアジサシ、キジバト、コゲラ、ツバメ、コシアカツバメ、ハクセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、オオヨシキリ、セッカ、ツグミ、ホオジロ、スズメ、ムクドリ、シジュウカラ、メジロ、オナガ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト。

 

5月8日 大栗川合流点

曇り。カイツブリ、カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、キジ、コジュケイ、トビ、チョウゲンボウ、イカルチドリ、キジバト、カワセミ、コゲラ、ヒバリ、ツバメ、イワツバメ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ウグイス、オオヨシキリ、セッカ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、ヤマガラ、メジロ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、(アヒル)、ドバト、ガビチョウ。

  

 

5月12日 睦橋周辺

曇りときどき晴れ。高水敷に草が生い茂ってきて、踏み跡から外れると歩きづらい。

 

5月13日 河口右岸/東京港野鳥公園

雨、寒い。カワウ、アオサギ、カルガモ、メダイチドリ、ハマシギ、アオアシシギ、キアシシギ、ソリハシシギ、チュウシャクシギ、コアジサシ、スズメ、ムクドリ、ドバト。

帰りに「東京バードフェスティバル」に寄るが、来場者はまばら。

  

 

5月14日 河口右岸

NACOTでは昨年に引き続き、干潟・湿地保護全国キャンペーン「干潟を守る日」の参加イベントとして、5月14日(日)に多摩川河口干潟で自然観察会を行った。今回は口コミやホームページなどを通じての申し込みは少なかったが、環境ネットワーク・文京の「みんな集まれ!!こどもの広場」から約100名の参加があった。

観察会は9グループに分かれ、土手の上から徐々に近づいていって、それから干潟の中に入ってみる、という順序で行った。干潟とヨシ原の広がる多摩川河口の景観、水際を歩きながらエサを探すハマシギの群れ、白いハンカチを思わせるコアジサシのダイビング、干潟に近づくにつれて潮のにおいも強くなってくる・・・。そして干潟の表面に見える無数のつぶつぶがすべてカニで、1匹1匹が動いていることに気付いたときの感動は文章では表せない。干潟の中でも土手寄りと水際とで見られるカニの種類が違うが、特に人気があったのはやわらかい泥干潟にいるヤマトオサガニ。人が近づくとサッと穴の中に隠れてしまうが、その場にしゃがんでじっとしていると、まず両眼を潜望鏡のように立てて様子を窺って、それから外へ出てくるというおもしろさに、みんな足が埋もれて抜けなくなるのも気にせず、夢中で観察していた。

羽田空港の神奈川口構想によって、この場所に連絡橋が造られようとしている。それが自然にどの程度影響を与えるのかはわからない。しかし、今回の観察会を通して多くの人が多摩川河口干潟の自然を体感し、「干潟っていいな!」と感じたこと。わたしたちはこの思いを大切に、次なる行動をおこしていくべきではないだろうか。

 

5月15日 大栗川合流点

晴れ。子育て中のムクドリたちがイモ虫をせっせと運んでいる。休む間もなく行ったり来たり・・・。カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、キジ、トビ、オオタカ、チョウゲンボウ、コアジサシ、ホトトギス、カワセミ、コゲラ、ヒバリ、ツバメ、イワツバメ、ヒヨドリ、ウグイス、オオヨシキリ、センダイムシクイ、セッカ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、オナガ、ハシブトガラス、ガビチョウ。

 

5月20日 五日市

晴れ、真夏日。五日市児童館の自然観察会(小学1〜3年生)。五日市小学校内の池や校庭の樹木を観察した後、小庄の田んぼへ。どんな生き物がいるだろうかと期待したが、コンクリートで固められた用水路にがっかり。ヘビイチゴの実やセリバヒエンソウの花を見たり、スズメノテッポウで草笛をつくったり、学校で飼っているウサギのためにハコベを摘んだりした。

 

 

5月21日 睦橋〜秋川合流点

快晴。福生市公民館松林分館の「あそびを発見しよう!」。子どもたちと多摩川の自然観察をしながら食べられる植物を探し、川原で天ぷらとヨモギ団子をつくって味わった。野草を食べる企画としては時期が遅いかと思ったが、まだニセアカシアの花が残っており、ヨモギ団子もおいしく食べられた。ムラサキツメクサの花も好評だった。水遊びも楽しめ、雨天延期で実施した甲斐があった。ギバチやホトケドジョウが当たり前にいる環境を守り、子どもたちに自然の中で何ができるかを考えて遊ぶ楽しさを伝えていきたい。

 

5月23日 大丸堰周辺

曇り。レンリソウが大きく育ってきたが、花は1輪しか見つからない。交通公園前の土手ではニガナが満開。カワウ、ゴイサギ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、キジ、コジュケイ、トビ、オオタカ、チョウゲンボウ、ホトトギス、カワセミ、アオゲラ、コゲラ、ヒバリ、ツバメ、イワツバメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ウグイス、オオヨシキリ、セッカ、エナガ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、メジロ、ハシブトガラス、(アヒル)、ドバト、ガビチョウ。

  

 

5月24日 見沼田んぼ

曇りときどき晴れ。見沼通船堀〜見沼代用水東縁〜大崎公園〜浦和くらしの博物館民家園〜芝川第一調節池と歩いた。ヨシ原のあちこちでさえずるオオヨシキリとカルガモの親子をじっくり観察できたが、全般に野鳥の姿は少なく、調節池も工事中で立ち入ることができなかった。カイツブリ、カワウ、カルガモ、キジ、キジバト、カッコウ、ヒバリ、ツバメ、ハクセキレイ、オオヨシキリ、セッカ、ホオジロ、スズメ、ムクドリ、ハシボソガラス、ハシブトガラス。

 

5月25日 見沼田んぼ

快晴。カイツブリ、カワウ、アオサギ、カルガモ、キジ、コチドリ、キジバト、カッコウ、カワセミ、コゲラ、ヒバリ、ツバメ、ハクセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、オオヨシキリ、セッカ、シジュウカラ、メジロ、ホオジロ、カワラヒワ、スズメ、ムクドリ、オナガ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト。

 

5月28日 多摩川中央公園周辺(「多摩川の達人になろう!」第2回)

福生周辺の多摩川に暮らす魚や水生昆虫を、その生態や生息環境について考えながら観察した。かれらがいきいきと生活し、子孫を残していくためには、水質の良し悪しだけでなく、川の構造や自然度が重要になるのだ。

当日朝のにわか雨で多摩川は濁っていたので、岸際のみの観察(“ガサガサ”)にしたが、水に浸かった草の中を探ると、アブラハヤ、シマドジョウ、ジュズカケハゼ、カジカ(幼魚)などが次々と手網に入る。水深は10cmほどしかない。川の水が増えて流速が増すと、魚たちは浅くて流れの緩やかな場所に避難してくるのだ。しかし、コンクリート三面張りのように単純な構造の川にこのような場所はない。かれらが産卵し、こどもが育つ場所もない。その後、玉川上水の分水が流れる公園内の親水路と、それが本流へ流れ込む手前の沼地も観察し、それぞれの環境の違いを考えた。

この日観察できた水生生物・・・魚類:アブラハヤ、カワムツ、シマドジョウ、ホトケドジョウ、ジュズカケハゼ、カジカ。水生昆虫:ヘビトンボ、カワゲラ類、ヒラタカゲロウ類、シロタニガワカゲロウ、チラカゲロウ、フタスジモンカゲロウ、マダラカゲロウ類、ヒゲナガカワトビケラ、コオニヤンマ、サナエトンボ類、ハグロトンボ、イトトンボ類、ギンヤンマ類、シマアメンボ。その他:ヌカエビ、モノアラガイ、シマイシビル。

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■参加者の声

・“ガサガサ”は何度かやったことがあるが、今回は大勢でやったこともあり多くの種類がとれてビックリしている。ホトケドジョウなど珍しい種も観察でき、多摩川はまだまだ自然豊かだと感じた。

・多くの種類の魚や水生生物を観察することができ、多摩川がきれいになったことが感じられて良かった。

・陸から川を眺めているだけではわからないが、水の中を探してみるとたくさんの生き物が住んでいることがわかってうれしかった。楽しかった。

・様々な水生生物を見つけることができてうれしかった。子どもの気持ちになった。

・まだまだ見たことのないものも多いが、今回だけでも色々な水生生物を直に見て、名前を覚えることができた。

・短時間で小さい魚や虫がたくさんとれるとは思わなかった。ほとんど名前を知らないものだった。

・たくさんの水生生物がとれてじっくり観察できた。

・昨日からの雨で川の水が濁っていたのでがっかりしたが、かえってそれが幸いしてたくさんの種類の魚と水生昆虫がとれた。でも子どもといっしょのときは安全第一。

・雨後の川は濁っていたが、水生生物の数と種類は昨年よりも多かった。

・川が増水したためか多くの魚がとれた。

・カジカのこどもがとれてびっくりした。

・ギバチがいなかったのが残念!最近あまり見かけていない。

・ヘビトンボの幼虫がダイナミックだった。

・魚(シマドジョウ、アブラハヤなど)が3匹とれたことがうれしい!

・多摩川は気持ちよい。川に入るとなお気分がよい。

・時間による川の変化(景観、水量など)が見られておもしろかった。

・フィールドワークが実施できて良かった。朝、大雨の中タクシーで来た甲斐があった。

・身近な多摩川で今までにない発見ができて楽しかった。

・「魚がのぼりやすい川づくり」で、生き物に住みやすい環境をつくると同時に、子どもたちが大はしゃぎして時を過ごせる場ができればと思う。学んでケガしないように・・・

・地元のイベント(青梅・多摩川水辺のフォーラム)のPRをさせてもらった。