多摩川散策日記2006年3月)

文と写真:上田大志

 

 

3月3日 大丸堰周辺

晴れ。先月末から何度かまとまった雨が降り、多摩川はいきいきと流れている。カイツブリ、カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、マガモ、カルガモ、コジュケイ、トビ、オオタカ、ハイタカ、ノスリ、ハヤブサ、チョウゲンボウ、セグロカモメ、ヒメアマツバメ、カワセミ、コゲラ、ヒバリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ウグイス、ツグミ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、ヤマガラ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

 

3月5日 大丸堰周辺

晴れ。カイツブリ、カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、ミコアイサ、コジュケイ、トビ、オオタカ、ツミ、ハイタカ、ノスリ、チョウゲンボウ、イカルチドリ、キジバト、ヒメアマツバメ、カワセミ、アオゲラ、コゲラ、ヒバリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、キセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、ウグイス、ツグミ、ホオジロ、ホオアカ、アオジ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。タヌキ。

 

3月11日 永田橋上流

晴れ、暖かい。毎年恒例の河川生態学術研究会多摩川グループ市民合同発表会。午前中は実験区の見学、午後は永田倶楽部で発表&意見交換会。今回のテーマは「これからの研究会の取り組みと植物からみた永田地区」。僕ら市民と研究者の協働で行っているカワラノギク保全の取り組みについての発表が実現したのは良かったが、全体として前回と同様の感想を持った。地域で活動している市民が「多摩川でこんなことをしたいがどうなんだろう」というときに研究会が協力したり、関心のある人が研究会の活動にどんどん参加できるようにするなどして、パイプを広げていく必要がある。まだまだコミュニケーションが不足していると思う。

観察した野鳥は、ダイサギ、キジ、コジュケイ、トビ、カワセミ、アオゲラ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、ツグミ、ホオジロ、シジュウカラ、オナガなど。毎年永田橋にやってきるイワツバメはまだのようだ。秋から橋の架け替えが始まるとか。工事は数年かかるだろう。

 

3月12日 大丸堰〜府中市郷土の森

晴れ、暖かい。強い南風。堰の魚道設置工事が進み(今日は休み)、ハーフコーン魚道の形がよくわかる。中州の柳が芽吹いてきた。郷土の森の梅が満開。カワウ、トビ、セグロカモメ、ツグミ、ジョウビタキ、ホオジロ、スズメなど。

 

3月13日 大丸堰上流/上河原堰上流

晴れのち曇り、一時雪。寒い。カイツブリ、カワウ、ダイサギ、アオサギ、コガモ、コジュケイ、トビ、ハイタカ、ノスリ、ハヤブサ、チョウゲンボウ、セグロカモメ、キジバト、ヒメアマツバメ、カワセミ、ヒバリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ウグイス、ツグミ、カシラダカ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、ヤマガラ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト。

午後は上河原堰へ。カイツブリ、カワウ、アオサギ、コガモ、カルガモ、ヒドリガモ、キジ、トビ、オオタカ、チョウゲンボウ、バン、イソシギ、セグロカモメ、カワセミ、タヒバリ、ヒヨドリ、ウグイス、ツグミ、アオジ、ムクドリ、シジュウカラ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト。

 

3月14日 大栗川合流点〜浅川合流点

晴れときどき曇り、寒い。ヒメアマツバメの群れに交じってツバメが3羽飛んでいるのを発見。暖かくなったり寒くなったりしながら、季節は歩み続けている。カイツブリ、カワウ、ダイサギ、アオサギ、マガモ、カルガモ、キンクロハジロ、キジ、コジュケイ、トビ、オオタカ、ハイタカ、ハヤブサ、チョウゲンボウ、イカルチドリ、セグロカモメ、キジバト、ヒメアマツバメ、カワセミ、コゲラ、ヒバリ、ツバメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、ツグミ、ジョウビタキ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、シメ、ムクドリ、ヤマガラ、シジュウカラ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

3月19日 大栗川合流点〜関戸橋

晴れ、北風強し。キブシが咲き、イワツバメが帰ってきた。

 

3月20日 大丸堰周辺

快晴。カイツブリ、カワウ、ダイサギ、アオサギ、キジ、コジュケイ、トビ、ハイタカ、ノスリ、チョウゲンボウ、キジバト、カワセミ、コゲラ、ヒバリ、イワツバメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、キセキレイ、ヒヨドリ、ウグイス、ツグミ、エナガ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、ヤマガラ、シジュウカラ、メジロ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

3月21日 大丸用水堰

晴れ、暖かい。セッカが囀りはじめた。ヨシ原には夏羽に換羽途中のオオジュリンも。大丸用水堰の魚道設置工事が終了し、搬入路も撤去された。しかし、締切に使用した土砂をその場に均した結果、堰上流に多量の土砂が堆積したような状況になっている。現在5門のうち3門を開けている堰のゲートを閉じたときに、左岸側のみお筋は復活するのだろうか。それとも出水がないと新しい魚道には水が流れないのだろうか。カイツブリ、カワウ、キンクロハジロ、トビ、イカルチドリ、イソシギ、キジバト、ヒメアマツバメ、ヒバリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、セッカ、ツグミ、ジョウビタキ、ホオジロ、アオジ、オオジュリン、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、メジロ、ハシブトガラス。

 

 

3月24日 大丸堰周辺/日野橋下流

晴れ。桜のつぼみがほころびはじめた。カイツブリ、カワウ、ダイサギ、アオサギ、キジ、コジュケイ、トビ、オオタカ、ツミ、ハイタカ、ノスリ、ハヤブサ、チョウゲンボウ、セグロカモメ、アオゲラ、ヒバリ、ツバメ、イワツバメ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ウグイス、ツグミ、ジョウビタキ、エナガ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、ヤマガラ、メジロ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

午後から日野橋下流へ。カイツブリ、カワウ、ダイサギ、コサギ、アオサギ、カルガモ、コガモ、オカヨシガモ、ヒドリガモ、オオタカ、イカルチドリ、イソシギ、セグロカモメ、キジバト、ヒバリ、カワセミ、キセキレイ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ホオジロ、スズメ、ムクドリ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト。

 

3月25日 睦橋周辺

晴れ、暖かい。自然環境アカデミーの「多摩川〜秋川かんさつ会」。柳の芽吹きが眩しい。数日後には桜並木も賑わうことだろう。葦原からちらっとオオヨシキリのような声が聞こえたが、近くにはモズの姿。さすがにまだ早すぎる、か・・・カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、コガモ、カルガモ、トビ、オオタカ、ノスリ、ハヤブサ、コゲラ、ヒバリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、キセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、ツグミ、ホオジロ、アオジ、スズメ、ムクドリ、シジュウカラ、メジロ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト。

 

3月26日 多摩川中央公園周辺(「多摩川の達人になろう!」第12回)

昨年4月から1年間、フィールドワークを中心に多摩川の自然や歴史について学んできた「多摩川の達人になろう!」。最終回はこれまでを振り返りながら今後どんな活動をしていきたいかを話し合うワークショップを行った。

川の志民館でスライドを見ながら各回の内容を振り返った後、多摩川を各自が自由に観察した。季節は再び春を迎え、土手では桜が開き始めニセアカシア林ではモズのつがいが鳴き交わしていた。

その後室内に戻り、「この1年間で多摩川から学んだことや印象に残っていること」と「多摩川についてまわりの人に伝えたいこと」について発表し合った。ひとりひとりの想いに加えて意見や提案なども次々と出てきて、たっぷりとったつもりだった意見交換の時間も全然足りなかった。また、地域の活動に参加する方が増えたことは、主催者として何よりもうれしいことだった。

4月からは2期「多摩川の達人になろう!」を開催する。地域の環境学習をリーダーとして引っ張っていく方を増やす、という目的をしっかり持って取り組んでいきたいと思う。

 

●この1年間であなたが多摩川から学んだこと、印象に残っていることなどを教えてください。

・毎回ひとつの発見をすることを目標に参加したが、特に印象に残ったのは、多摩川に強い関心を持っている人がたくさんいたこと、改めて水辺の安全確保の重要性を知ったこと、永田地区の実験区から飛んだカワラノギクの種が下流の河原に着床していたこと、高崎勇作さんの昔の子どもたちと川との付き合いについてのお話。

・一番印象に残ったのは、川がすごくきれいだったこと。おどろきだった。魚もたくさんいてうれしかった。また、みんな勉強熱心でびっくりした。

・多摩川の水が思っていたよりもとてもきれいだったこと、いろいろな生き物がいたことに驚いた。

・福生周辺の水量が年間を通じて増え、水質も良くなり、水棲生物の多様な生息が目にみえるようになった。大変よろこばしいことである。

・多摩川が子どもたちと共に学び合う絶好のフィールドであることを再認識した。

・川、河原にさまざまな生態系があることがわかった。

・多様な自然のしくみについて学び、人とのかかわりも知ることができた。

・多摩川だけでなく、動植物その他を含め役立つ知識が身についた。

・多摩川の流れが源流から河口まで138kmあり、飲み水になったり、田畑や森林を育てていることを学んだ。

・川の大切さ、怖さ、おもしろさ等、いろいろなことを学んだ。

・水に浮くロープによる救助法を体験することができて良かった。

・カワラノギクを現地で観察して興味を持った。

・源流の観察、水干への山行、共に有意義であった。

・この講座に参加するまでは、主として多摩川の源流〜上流域に目を向けていたが、中流から河口にかけても人々とのかかわりが深いことを知り、人々の心のふるさととして、自然を考える原点として、楽しく学ぶことができた。

・この講座を通して、多摩川に四季があることを身をもって知った。

・自然観察を久し振りにして、幼い頃の生活を思い出した。

・多摩川を愛する素敵な人たちと1年間、共に学べたことがうれしかった。今後も多摩川のために一緒に何かできたらと思う。

・長かったようで短かった1年間だった。みんなと会えなくなり、さびしい感じがする。

・この1年間は早く、また短い月日だった。講座の内容は毎回充実し、楽しく参加できたことを感謝している。

・講座の主催者や開催目的をはっきりとうたう必要があると感じた。

・源流から河口まで世界最大の人口圏を貫く多摩川は、逆境の中で生き続けている。それを支えるのは川を愛し、人を愛する環境市民を核として、先進する行政だと感じた。多摩川を好きな人が大勢いたことが印象に残った。

・何十年も多摩川のほとりに住んでいるが、ここで生まれ育ったにんげんではないという「ヨソ者」の意識は未だに拭い去ることができない。毎日の生活の中で遊びながら、少しづつ馴染ませていくしかないのだろうか。自分の子どもたちはこの地で育ったわけだが、子どもたちの遊びや学びの場が自然から引き剥がされていること以上に、にんげんの暮らしや生き方、生きがいの中に自然との接点や決して切り離すことのできない「きずな」を再生させなくては問題の核心には迫れないのではないかと思う。

 

●多摩川について、あなたがまわりの人に伝えたいことは何ですか?

・多摩川流域の水文化や歴史などを「川ガキ」の子どもたちに伝え、みんなで環境保全に取り組める水辺の楽校にしたい。

・小中学校の授業や課外活動でこの講座でとりあげた項目、内容を実施すると良いと思う。多摩川の良いところと悪いところを知ってもらい、多摩川にいま以上の親しみを感じながら、子どもたちへ受け継がれていけば良いと思う(川の志民館を活用し、水辺の楽校の授業バージョンとして)。また、河原の川原の清掃もできると良い。

・福生の加美平に来て1年半になるが、加美平の人たち、六小の子どもたちにとって、多摩川は遠く感じられるのでないだろうか。私にはとても近く感じるのだが。子どもたちには水辺の楽校のこと、大人の方には鳥、花、魚など、その人が興味を持っている話をして、「とりあえず歩いてみよう!」とどんどん誘いたい。

・多摩川について興味を持っていない市民の方も多いと思うので、自然の美しい姿と大切さを伝えたい。

・川は自然を学ぶ原点である。

・多摩川は野外活動に最適な場所である。

・気象、歴史、植物、動物、鉱物など、どの分野からも研究対象にすることができ、その糸口を開いている。

・人々のふれあいの契機として、川を拠りどころにコミュニケーションが広がればと考えている。

・水は大地の血液、川の水流は血流。美しい、きれいな水流を未来に子どもたちに手渡そう!!

・きれいな水をいつまでも!!

・多摩川に子どもたちの歓声を取り戻そう!

・多摩川は楽しいよ!

・社会教育との連携をもっと強くしていきたい。

・福生市にある「川の志民館」の存在を広く報せたい。

・現在「川の志民館」があるところは、もと地元町会、子供会、青少協が新春にどんど焼きの会場にしてきた場所。子どもたちにとって、生き物ばかりか水や火そのものまでが暮らしや遊びから遠さかってしまったので、年に一度、火の祭りを体験させたかった。河川敷の使用にあたって、毎年、国土交通省の多摩川上流出張所や行政ときびしい交渉を続けた。出張所のこの場所への移転の際にも、鉄塔問題などきびしいやりとりがあった。20〜30年前には廃棄物が散乱し、業者による野焼きが激しかった。野焼き追放のはずみにするために自然公園づくりを提起し、多摩川中央公園ができた。にんげんの生活と自然とをもう一度融合させることが大切だと思う。川の志民館や多摩川中央公園の対岸、平井川合流点の中州に歩いて行き来できる歩道橋ができ、親水公園として馴染みやすい河原になることを望んでいる。

・川にかかわる人、歴史、文化、祭りも食べ物も・・・人生はカネだけでない。生きがいは多くの人が多摩川で生き返り、歴史、文化を学び、生きる価値を見出すこと。カワラノギクよよみがえれ。ハヤ、ヤマベ、アユよ戻れ!

 

3月27日 大丸堰周辺

晴れ。カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、マガモ、コガモ、カルガモ、ミコアイサ、キジ、コジュケイ、トビ、ハイタカ、チョウゲンボウ、オオバン、イソシギ、セグロカモメ、キジバト、カワセミ、アオゲラ、コゲラ、ヒバリ、ツバメ、イワツバメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、セッカ、ツグミ、エナガ、ホオジロ、スズメ、ムクドリ、メジロ、オナガ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

 

3月30日 睦橋周辺

晴れ。土手の桜が間もなく満開。原っぱではオオイヌノフグリ、ヒメオドリコソウ、ホトケノザ、タネツケバナ、ナズナなどが花盛り。カキドオシも咲きはじめた。カワウ、ダイサギ、コガモ、カルガモ、キジ、トビ、イカルチドリ、イソシギ、キジバト、ヒバリ、ツバメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、ツグミ、ジョウビタキ、エナガ、ホオジロ、アオジ、スズメ、ムクドリ、シジュウカラ、メジロ、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。カジカガエルの声。

     

 

3月31日 白丸

晴れ。ミソサザイの囀り。