多摩川散策日記2006年2月)

文と写真:上田大志

 

 

2月2日 万年橋〜和田橋

晴れ。万年橋の架け替え工事が続いており、重機が鳴り響いている。丸石河原のカワラニガナが分布を広げており、春が楽しみだ。カワウ、アオサギ、カルガモ、トビ、キジバト、コゲラ、セグロセキレイ、キセキレイ、ヒヨドリ、ウグイス、エナガ、ホオジロ、アオジ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、メジロ、ハシボソガラス、ガビチョウ。

 

 

2月3日 大丸堰周辺

晴れ、暖かい。ヒバリとカワラヒワが囀りはじめ、春の訪れを予感させる。カイツブリ、カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、マガモ、コガモ、コジュケイ、トビ、オオタカ、ハイタカ、ノスリ、チョウゲンボウ、オオバン、イカルチドリ、セグロカモメ、キジバト、ヒメアマツバメ、カワセミ、コゲラ、ヒバリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、ツグミ、エナガ、ホオジロ、アオジ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

2月4日 大丸堰周辺

快晴、寒い。カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、ミコアイサ、トビ、オオタカ、ハイタカ、ノスリ、ハヤブサ、セグロカモメ、カワセミ、ハクセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、ツグミ、エナガ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、ハシブトガラス、ドバト。

 

2月7日 上河原堰上流

曇り、寒い。調布市立富士見台小学校4年生の野鳥観察を市民ボランティアの方とともにサポート。昨晩降った雪の上に残された水鳥の足跡と緑色の糞を見つけて、ここでどんな鳥が何をしていたのかを考えたのがおもしろかった。ワークシートとして使ったビンゴカードも、それぞれの鳥の特徴や行動をじっくり観察するようによく工夫されていた。みんなでかんさつした野鳥は、カイツブリ、カワウ、アオサギ、コガモ、カルガモ、ヨシガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、セグロカモメ、ユリカモメ、ハクセキレイ、ムクドリ、ハシボソガラス、ハシブトガラスなど。

 

2月9日 大丸堰周辺

快晴、寒い。カイツブリ、カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、マガモ、コガモ、カルガモ、ミコアイサ、トビ、オオタカ、ツミ、ハイタカ、チョウゲンボウ、セグロカモメ、ヒメアマツバメ、カワセミ、コゲラ、ヒバリ、ハクセキレイ、ヒヨドリ、ツグミ、エナガ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、ハシブトガラス、ドバト。

 

2月10日 福生南公園〜昭和用水堰

快晴。毎年自然環境アカデミーがサポートしている福生五小の全校野鳥観察会。筆者は4年生に同行し、多摩川でカワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、ノスリ、イカルチドリ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ツグミ、ホオジロ、アオジ、シメ、シジュウカラなどをかんさつした。子どもたちはどんどん先に行って思い思いに観察していたので、こちらから話すのはまとめの時だけにした。

 

2月13日 大丸堰周辺

快晴。カイツブリ、カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、ミコアイサ、コジュケイ、トビ、オオタカ、ノスリ、チョウゲンボウ、イカルチドリ、キジバト、ヒメアマツバメ、カワセミ、コゲラ、ヒバリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、ツグミ、ジョウビタキ、エナガ、ホオジロ、アオジ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

2月15日 大丸堰周辺

晴れ。真冬から一気に春を通り越して初夏になったような陽気。ウグイスの囀りを今年こんなに早く聞けるとは思わなかった。カイツブリ、カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、ミコアイサ、コジュケイ、トビ、オオタカ、ノスリ、チョウゲンボウ、イカルチドリ、セグロカモメ、ヒメアマツバメ、カワセミ、アオゲラ、コゲラ、ヒバリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、キセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、ウグイス、ツグミ、エナガ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、メジロ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

2月20日 永田橋下流

曇り。福生一小(3年生)の野鳥観察会があり、自然環境アカデミーのメンバーで指導にあたった。校庭で野鳥観察について話をした後、多摩川まで歩き、カワウ、ダイサギ、アオサギ、マガモ、イカルチドリ、コゲラ、セグロセキレイ、シジュウカラなどを観察した。オオタカに食べられたと思われるドバトの死骸もあったので、自然のしくみについてわかりやすく伝えることができたと思う。

 

2月21日 上野公園

曇り。不忍池には、カワウ、マガモ、カルガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、ハシビロガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、オオバン、セグロカモメ、ユリカモメなどの水鳥。どこにでも言えることだが、野生生物が人を見ると餌をねだって寄ってくる。これだけは勘弁して欲しい!

上野動物園に廻ると、池に放し飼いにされている雁、白鳥、ペリカンなどと、カワウ(営巣中)やカモ類などの野鳥がごちゃ混ぜ。ペンギンの展示池には、餌として撒かれる魚を狙ってサギ類が集まっていた。

 

2月22日 大丸堰周辺

曇りのち晴れ。カイツブリ、カワウ、ダイサギ、アオサギ、ヒドリガモ、ミコアイサ、キジ、コジュケイ、トビ、オオタカ、ノスリ、チョウゲンボウ、イカルチドリ、キジバト、カワセミ、コゲラ、ヒバリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、ウグイス、ツグミ、ジョウビタキ、エナガ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、シメ、ムクドリ、シジュウカラ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。タヌキ。

 

 

2月23日 上野公園

この時季、不忍池に着くと、まず目に入るのがカモ類の群れ。一番多いのがキンクロハジロ、オナガガモ、次いでホシハジロ。少し目が慣れてくると、ハシビロガモやマガモなども見つかる。ヒドリガモはここでは少数派。ユリカモメの数もかなりのものだ。ここに限らず都会の多くの公園に言えることだが、どの鳥も人をまったく恐れないので、双眼鏡などなくとも肉眼でバッチリ観察できる。しかし、餌を撒く人の周りに一斉に集まり、誤って踏みそうになるほど近くをのこのこと歩き回っている姿は、とても野鳥とは思えない。野生動物にむやみに餌を与えることは、自然を正しく理解し大切にすることにはつながらないと思う。ところで、キンクロハジロとホシハジロは、♀に対して♂の方がかなり多く感じられたが、これは目立つ色合いのため(目の錯覚)だろうか。

水面だけでなく、周りの樹木にも目を向けよう。アキニレの梢にとまっているのはカワラヒワ、ツバキの花蜜をもとめてメジロも集まっている。桜のつぼみはまだ固いが、シジュウカラの軽やかなさえずりが春の訪れを告げている。

ハス池からボート池を一周したら、“鵜の池”も忘れずに。上野動物園には池之端門から入るのが便利だ。コロニーになっている島には、翼をパタパタさせて求愛中の個体や、ちょうど抱卵中の個体をはじめ、さまざまなカワウがひしめきあっていて、鳥社会のリアルなひとコマをじっくりと観察することができる。水面に群れるキンクロハジロの中にいるかもしれないコスズガモを探すのはちょっと大変だが、チャレンジしてみる価値はあるかも。これらの野鳥の他に、この不忍池の一画では白鳥や雁、鷲などが放し飼いにされている(傷病鳥として保護され一命は取り留めたが、飛べないので野生復帰させることはできない鳥たちとのこと)が、さらにペリカンまでいるので頭がパニックになりそうだ。

ところで、バードウォッチャーにとって動物園内で一番おもしろい場所は、ペンギンの展示プールかもしれない。ここにはペンギンの餌として撒かれる魚を狙ってゴイサギやコサギが集まってくるのだ。水辺に立ち、じっと水面を見つめる眼差しの何と真剣なことか。そしてサッと水に飛び込み魚をくわえ取る一連の流れに一瞬の隙も見当たらない。その見事さに感動している間もなく、目の前にウミネコが飛んできたかと思うと、目にもとまらぬ早業で水中の魚を見事キャッチ。みんなで熱心に観察していると、係の人がやってきて、もうすぐペンギンの散歩の時間ですよと誘ってくれた(笑)。

この日観察した野鳥は、カイツブリ、カワウ、ゴイサギ、ダイサギ、コサギ、アオサギ、マガモ、カルガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、ハシビロガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、コスズガモ、バン、オオバン、ユリカモメ、セグロカモメ、ウミネコ、コゲラ、ハクセキレイ、ヒヨドリ、シジュウカラ、メジロ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス、番外ドバト。

 

 

2月25日 永田橋上流

晴れ、暖かい。先月はまだたくさん残っていたピラカンサの実は、すっかりなくなった。今日はカワラノギクPJの活動日。土砂が堆積して草原化が進んでいる自生地で、地面から石を掘り起こして裸地環境を広げ、そこにカワラノギクのタネをまいた。

ところで、2003年12月に発見したカワラノギクの群生地は、地元の人が丸石河原にタネをまいたことでできたことがわかった。純粋な自生のものでなかったのは残念だが、タネをまいた後、自然状態で短期間にあれだけの大群落ができたということは、条件が揃えばカワラノギクは一気に増えるということだ。これはできる限り自然に手を加えずにカワラノギクを保全していく上で、大きなヒントになると思う。

 

2月26日 多摩川中央公園周辺(「多摩川の達人になろう!」第11回)

多摩川の自然そのものといえる、流域の地形や地層、河原の石などについて学んだ。

今回は埼玉県立所沢高等学校の正田浩司先生に来ていただき、まず川の志民館で、「多摩川がつくった武蔵野扇状地」、「川底の地層」、「河原の石」という3つのテーマで講義していただいた。地図やイラストによるお話はとてもわかりやすく、また航空写真を立体視して段丘地形を辿ってみたりしながら、楽しく学ぶことができた。

この後、多摩川に出て河原の石を観察し、各自が「多摩川の礫標本」をつくった。多摩川には砂岩、チャート、石灰岩などの堆積岩が多く、火成岩や変成岩は少ないことが実感できた。福生より上流や下流ではどうだろうか。今まで何気なく見ていた小石の面白さに、雨の中、皆さんびしょ濡れなのも忘れて熱心に観察していた。今度はぜひ子どもたちとやってみたいと思う。

●参加者の声

・石から地形の成り立ちと歴史を知る楽しさを教えていただきました。

・長い年月をかけて変化していく地形・地層について少しわかりました。

・石にこんなにいっぱい種類があるとはびっくりです。じっくり見ていたら病み付きになりそうです。

・多摩川には火成岩、変成岩が少ないことがわかりました。

・あいにくの雨でしたが、石が光って見えて識別しやすかったです。

・川原の石の標本をつくりましたが、自分で多摩川へ行ったときに見分けられるか心配です。

・多摩川の石を調べる実習がおもしろかったです。

・多摩川の礫標本づくりが楽しかったです。少しずつ覚えていきたいと思います。

・正田先生の話は、私にはなかなか難しかったですが、たくさん質問ができて楽しい地学の勉強でした。

・ついつい自分を基準に物事を考えてしまいますが、地層は人間が生まれる前からのもの。頭の切り替えが必要ですね。

・自分自身は地質の勉強をしてもなかなか定着していかないのですが、大変ワクワクすることも事実です。今日は写真、図などでわかりやすく説明していただき、いままでの混乱がちょっと整理できたように思います。大きな広い範囲でものを考えることは、小さいことにとらわれない豊かさを生むと思います。

・正田先生が私の家の近所(青梅市千ヶ瀬町)でも地層の研究をされておられると聞いて、今度は地元の活動でもお世話になりたいと思いました。また、セコイアが発見されたという話が印象的でした。

 

 

2月28日 大丸堰周辺

曇り、寒い。カワウが大きなナマズを捕らえると、文字通り鵜呑みにした。カイツブリ、カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、マガモ、カルガモ、コジュケイ、トビ、オオタカ、ハイタカ、ノスリ、オオバン、セグロカモメ、キジバト、カワセミ、コゲラ、ヒバリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、ウグイス、ツグミ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、メジロ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト。