多摩川散策日記2006年12月)

文と写真:上田大志

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12月1日 一之瀬高原

晴れ。多摩川源流の冬は、遠くのかすかな音まで聞こえるような透明で張り詰めた空気とともにやってくる。とにかく静かだ。今年は山の木の実が少ないのだろうか、小鳥たちの姿もまばらになった。トビ、ハイタカ、ヒヨドリ、ツグミ、ウソ、コガラ、ヒガラ、ハシブトガラス。

 

12月2、3日 伊香保

晴れ。アオゲラ、コゲラ、モズ、カヤクグリ、ジョウビタキ、エナガ、スズメ、カワラヒワ、シジュウカラ、カケスなど。

 

12月6日 大栗川合流点

晴れ。あの雌のオオタカは、この冬も元気な姿を見せている。ここにもウソの群れがやってきた。カイツブリ、カワウ、ダイサギ、アオサギ、マガモ、コジュケイ、トビ、オオタカ、ノスリ、チョウゲンボウ、オオバン、セグロカモメ、ユリカモメ、カワセミ、アカゲラ、コゲラ、ヒバリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、ツグミ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ウソ、ヤマガラ、シジュウカラ、メジロ、カケス、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト。

 

12月7日 奥多摩むかしみち

曇り。「健康と仲間を作ろう」第8回。

奥多摩駅からバスに乗って中山で下車し、バス停脇の坂を下る。小河内ダムを見上げようと思っていたが、最近まではなかった鉄の門に阻まれる。むかしみちに入り、落ち葉を踏みながら山里の初冬を満喫する。二つの吊り橋から渓谷を眺め、ダム建設トロッコ線跡に往時を偲ぶ。ベニマシコやカヤクグリも姿を見せてくれた。

 

 

12月13日 大栗川合流点

晴れ。コナラの紅葉がようやく見頃に。カイツブリ、カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、キジ、コジュケイ、トビ、オオタカ、ノスリ、チョウゲンボウ、オオバン、キジバト、カワセミ、アオゲラ、コゲラ、ヒバリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、ツグミ、ジョウビタキ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、シメ、ヤマガラ、シジュウカラ、メジロ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ガビチョウ。

  

 

12月16日 多摩川河口右岸

晴れ。いすゞ工場跡地前の土手がスーパー堤防化されようとしている。神奈川口構想による再開発に便乗して整備しようということだろう。川裏側の樹木群を伐採して、ここに盛土をする計画らしい。しかし、この緑地帯は多摩川と都市とをつなぐバッファゾーンであり、野鳥たちにとっては大切な棲みかである。多摩川の干潟やヨシ原を周辺の環境と一体のものとして考え、その保全に取り組んでいきたい。

ハジロカイツブリ、カンムリカイツブリ、カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、マガモ、カルガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、キンクロハジロ、スズガモ、ミサゴ、トビ、イソシギ、セグロカモメ、ユリカモメ、ハクセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ツグミ、オオジュリン、スズメ、ムクドリ、シジュウカラ、メジロ、ドバト。

 

 

12月17日 多摩川河口右岸

曇りのち晴れ。NACOTの自然かんさつ会「多摩川河口干潟の冬鳥を見よう!」。

神奈川口構想による多摩川河口連絡道路のルートと構造が、この12月にも決定されるという。8月に日本野鳥の会神奈川支部が事業者に対し、橋梁案の見直しと干潟生態系の保全を求めたのに続き、10月には(財)日本野鳥の会と(財)世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)が、連名で要望書を提出した。NACOTでも自然観察会を通して多摩川河口干潟の持つ意味を再確認し、その保全を訴えていく。

緊急アピールとして企画した今回は、上記をはじめ多くの団体の協力を得て、神奈川県在住の自然観察指導員仲間と知り合うこともできた。今後さらに活動の輪を広げていきたい。

 

12月24日 福生南公園周辺(「多摩川の達人になろう!」第9回)

「多摩川でバードウォッチングをしたいのですが、お勧めの季節はいつですか?」という相談をよく受ける。もちろん年間を通して楽しめるが、中でも最適なのは冬。木々が葉を落とし、丈の高い草原も枯野になって見通しが良くなるだけでなく、種類、数ともに多くの鳥たちが越冬のために多摩川に集まってくるからだ。

今回は福生南公園から下流へ、石河原とオギ原を抜けて、水辺を昭和用水堰まで歩いた。この辺りの多摩川は河川敷が広く、多様な自然環境に恵まれており、水辺の鳥に加えて山野の鳥も数多く見られる。この日も、河川敷の枯野にはホオジロ、カシラダカ、カワラヒワなどが群れ、河畔林にはオオタカの姿もありました。水辺では、サギ類やセキレイ類、ミコアイサなどを観察することができた。

また、バンディング(鳥類標識調査)の実演も行い、調査中のスズメとツグミを間近に見ていただきながら、鳥のからだの構造を説明したり、自然環境アカデミーのメンバーが多摩川で放したジョウビタキがロシアで確認されたことなどを紹介した。

 

 

12月27日 大栗川合流点

晴れ、暖かい。前日は一日中激しい雨が降り続き、流域各地で累加雨量が150mmを超えるという、12月としては記録的な大雨になった。カイツブリ、カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、コジュケイ、トビ、オオタカ、ノスリ、ハヤブサ、チョウゲンボウ、イソシギ、セグロカモメ、ユリカモメ、キジバト、カワセミ、ヒバリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ツグミ、アオジ、スズメ、カワラヒワ、シメ、ムクドリ、ヤマガラ、シジュウカラ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

 

12月28日 一之瀬高原

晴れ。オオマシコの♂がやってきた。人をおそれない薔薇色の美しい小鳥だ。梢から地面に下りてきて、一心に草の種をついばんでいる。しかし、後でその場所をよく調べると、粒餌のようなものが見つかった。誰かが餌付けようとして撒いたのかもしれないと思うと、ちょっとがっかりした。野鳥は他に、ノスリ、オオアカゲラ、ヒヨドリ、ツグミ、ウソ、コガラ、ヒガラ、カケス、ハシブトガラス。