多摩川散策日記2006年11月)

文と写真:上田大志

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11月2日 永山北部丘陵

松林分館の「健康と仲間を作ろう」。青梅丘陵ハイキングコースから北へ、根ヶ布の森を案内した。ツグミやシロハラ、ジョウビタキ、カシラダカなどの冬鳥がやって来た。谷向いの黒沢の森からはシカの声。こちらにも来ているかもしれない。

 

11月4日 大栗川合流点

曇りときどき晴れ。カワウの群れが次々と下流へ向かって飛んでいく。カイツブリ、カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、キジ、コジュケイ、トビ、ノスリ、チョウゲンボウ、ユリカモメ、キジバト、カワセミ、アオゲラ、コゲラ、ヒバリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ツグミ、ジョウビタキ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、メジロ、カケス、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

11月5日 大丸用水堰

曇りときどき晴れ。アリスイをはじめて見た。サンカノゴイをずっと小さくしたようなまだら模様の褐色の小鳥で、枯れ茎にとまって辺りを見回していた。カイツブリ、カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、トビ、オオタカ、ノスリ、チョウゲンボウ、イソシギ、キジバト、カワセミ、アリスイ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、キセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ツグミ、ジョウビタキ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、メジロ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト。

 

11月6日 かに坂公園周辺

曇り。福生四小3年生の川の生き物調べ。かに坂前の多摩川は大部分が平瀬になっている。10月はじめの出水で、河床低下対策として羽村大橋のところに積まれていた砂利が、流されてきて堆積したのかもしれない。そろそろ水が冷たくなってきたが、本流と複流路でガサガサをした。その後四小の体育館に移動して、ゲットした生き物を紹介し、子どもたちの質問に答えた。

 

11月8日 永田橋上流

快晴。福生六小の5年生が実験区のカワラノギクを見学しに来た。花のピークは過ぎ、タネができはじめている。カワラノギクという植物について、実験区と保護活動について簡単に説明した後、通路に横一列になって観察し、各自が開花株とロゼットをスケッチした。

 

11月10日 下奥多摩橋付近/羽村大橋〜秋川合流点付近

快晴。汗ばむほどの陽気。崖線沿いを飛ぶヤマセミを目撃。本当に久し振りだ。下奥多摩橋下流のカワラニガナは、ツルヨシ等の繁茂で激減してしまったが、睦橋下流の群落は大群生地に成長した。もう花はほとんど終わっているが、来春が楽しみだ。この辺りは丸石河原が出水ごとに場所を変えながら維持されているおもしろい空間だが、カワラノギクは見つからなかった。オギ原の奥からベニマシコらしき声が聞こえてきた。しばらく待ったが、姿を見せてはくれなかった。他に、カイツブリ、カワウ、ダイサギ、アオサギ、キジ、トビ、ハイタカ、ノスリ、イカルチドリ、キジバト、カワセミ、ヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ツグミ、ジョウビタキ、ホオジロ、カシラダカ、スズメ、カワラヒワ、シメ、シジュウカラ、ハシボソガラス、ハシブトガラスなど。

 

11月11日 五日市

五日市児童館の自然観察会。校庭のトウカエデが色づいてきた。あいにく雨が降り出したが、子どもたちと阿伎留神社へ。境内のカヤやスギ、ヤツデなどを観察する。ムクノキの幹を伝ってきた雨水が石けんのように泡立っている。近所の家族が七五三のお参りに来た。神主さんから御守を貰ったり、御神輿を見たりもした。今度は天気の良い日に遊びに来たい。雨が止むと雪ばんば(雪虫とも;オオワタムシの1種)が舞い、印象深い観察会になった。北国ではこの虫を見かけると、間もなく初雪が降るという。

 

11月13日 一之瀬高原

快晴。ツグミの群れが次々と山を下りていく。カラマツの葉も残り少なくなった。トビ、オオタカ、ハイタカ、ノスリ、クマタカ、ヒヨドリ、ウグイス、ツグミ、エナガ、ホオジロ、アトリ、ウソ、コガラ、ヒガラ、カケス、ハシブトガラス。

  

 

11月17日 狭山丘陵

曇り、寒い。松林分館の「健康と仲間を作ろう」で野山北公園から六道山へ。谷戸の林縁にウソの群れがやってきた。前面が淡い紅色でとてもきれいだ。冬鳥として渡ってくるという亜種アカウソではないだろうか。

   

 

11月18日 永山北部丘陵

晴れ。谷戸の湿地のあちこちに、イノシシが“ヌタ打ち”をした跡が。椋鳩十の「カガミジシ」を思い出す。

 

11月19日 二子橋(左岸)〜丸子橋

曇りのち雨、寒い。多摩川の自然を守る会、定例自然観察会。

・木製だった兵庫島のスロープの手すりが、金属になってしまった。木はメンテナンスが大変だが、温かみがあって良いと思うのだが。

・二子橋の下流一帯(左岸)は、旧堤防よりも川寄りに家が立ち並んでいる地区。近々新堤防が造られるらしい。

・「中州は春から夏にかけてコアジサシの営巣地になるので立ち入らないで欲しい」との看板が、地元の市民団体によって立てられた。

・第三京浜下の平瀬には、漁協によるアユの産卵場が。

・右岸のキャノン工場が取り壊し中。

・多摩川台公園から見る「多摩川八景」の多摩川の河床に土丹が出現している。今まで見たことがなかったが、どうしたのだろう。

・と思ったら、調布取水堰のゲートが下げられており(メンテナンスのためか?)、堰上流の水位が下がったためだとわかった。

・カワウ、コサギ、アオサギ、コガモ、カルガモ、オカヨシガモ、ヒドリガモ、ハシビロガモ、チョウゲンボウ、イソシギ、セグロカモメ、ユリカモメ、ヒメアマツバメ、カワセミ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、キセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ツグミ、ジョウビタキ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、メジロ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ワカケホンセイインコ。

   

 

11月21日 大栗川合流点

晴れ。カイツブリ、カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、マガモ、コガモ、カルガモ、コジュケイ、トビ、オオタカ、ハイタカ、チョウゲンボウ、キジバト、カワセミ、ヒバリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、ツグミ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

11月26日 多摩川河口右岸(「多摩川の達人になろう!」第8回)

福生から電車を乗り継いで、京急大師線の終点小島新田駅から多摩川に出ると、季節と潮時の関係で、お目当ての干潟は残念ながらすべて水の中。いすゞ工場跡は更地になっていた。上空から魚を狙うミサゴや、後頭部の“ちょんまげ”がキュートなキンクロハジロ、水際を忙しく歩き回っているハマシギなどを観察しながら河口を目指し、歩いていける最下流、水準拠標に着くと、遥か沖合には東京湾の冬の風物詩、スズガモの群れも。帰り際になってようやく顔を出した干潟では、さっそくヤマトオサガニたちが巣穴から這い出してきて、マッチ棒のような両眼を潜望鏡のように立てて活動開始!最後に大師橋の下流に広がるヨシ原を見て、産業道路駅へ向かった。

多摩川河口干潟は、三番瀬や谷津干潟などとともに、東京湾の奥に僅かに残された生き物たちの楽園だ。しかし、羽田空港の神奈川口構想によって、ここに連絡道路の建設が計画されており、その構造とルートがいよいよ年度内に決定されるとの発表があった。現在、日本野鳥の会をはじめ多くの団体が、橋梁案の見直しと干潟生態系の保全を求めて行動している。

 

 

11月29日 高尾山

晴れ、暖かい。「健康と仲間を作ろう」第7回。

高尾山口駅前はたいへんな人出(ちょうどウォーキング団体の出発と重なったため)。ケーブルカーに乗り込み、上の駅を出たところで、八王子ジャンクションの建設現場を見ながら、高尾山の自然と圏央道計画について紹介する。八王子城跡トンネルの工事による井戸涸れや地下水位の低下などが指摘されている。高尾山にトンネルを掘れば、自然への様々な悪影響は避けられないだろう。4号路のイヌブナ林に入り、地面を見渡すが、昨年はあんなに落ちていた実がまったく見つからない。豊作だった翌年は不作になることが多く、この秋はドングリ類が少なく気になっていたが、これでは山の動物たちの生活にも相当影響していることだろう。里に下りてきて不幸なことにならなければ良いが。山頂はすでに満員だったので、ビジターセンター裏の静かなベンチで昼食。帰路は沢沿いの6号路へ。