多摩川散策日記2006年10月)

文と写真:上田大志

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10月2日 大栗川合流点

雨のち曇り。連光寺小4年生の総合学習で野鳥観察グループを担当。カワセミ、ダイサギ、アオサギ、オオタカ、モズなどを観察し、子どもたちに自然環境と野鳥の関係や生態系について考えてもらった。その後、学校に移動して活動を振り返り、子どもたちがワークシートにまとめる作業を支援した。

 

10月3日 大丸堰

曇りときどき晴れ。カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、トビ、オオタカ、ハヤブサ、チョウゲンボウ、イソシギ、キジバト、アマツバメ、ヒメアマツバメ、カワセミ、ツバメ、コシアカツバメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、キセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ノビタキ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、カケス、ハシブトガラス、ドバト。

 

10月7日 大栗川合流点

晴れ。5日は断続的に6日は終日雨が激しく降り続き、多摩川は今年一番の出水となった。累加雨量は小河内で180mm、大栗川合流点に程近い多摩出張所で120mm。

カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、コガモ、カルガモ、コジュケイ、トビ、オオタカ、ツミ、ノスリ、ハヤブサ、チョウゲンボウ、ヒメアマツバメ、カワセミ、ヒバリ、ツバメ、コシアカツバメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト。

 

10月8日 かに坂公園〜羽村堰

快晴。福生水辺の楽校「多摩川で遊ぼう」。今回は魚釣り&ガサガサの予定だったが、多摩川はまだ1m近く増水していたので、増水した川を見つつ、昆虫を捕まえたり、野鳥を観察したりしながら、土手を羽村堰まで往復した。投渡堰はまだ3門とも開いていたが、仕付けの準備をしているところだった。

 

 

10月9日 狭山丘陵

快晴。狭山丘陵の秘境金堀沢へ。あちこちから水が湧き出しており、沢沿いの小径はぬかるんでいるが、こんなところにも自転車で入ってくる人がたくさんいる。源流を詰めると出合いの辻に出るが、いまは頑丈なフェンスが張り巡らされて、通り抜けることはできない。人の往来がなくなって、自然の宝庫は守られているはずだが、密猟や盗掘は後を絶たないという。狭山湖の北へまわり、遊歩道をぐるりと六道山公園へ。展望台はタカを観察する人々で満員だった。

 

 

10月12日 羽村堰〜永田橋

晴れ、夏日。福生市公民館松林分館の「健康と仲間を作ろう」で、羽村堰から玉川上水沿いを歩いた。投渡堰の仕付けが完了し、多摩川は濁りも治まって、きれいな水が豊かに流れている。一方、第三水門から下流の玉川上水の水量が非常に少なく、堰で取り入れた原水の多くは、村山・山口貯水池および小作浄水場に送られているようだった。

  

 

10月13日 一之瀬高原

曇りときどき晴れ。クリの木に“クマ棚”ができていた。トビ、オオタカ、ツミ、ノスリ、アマツバメ、ハリオアマツバメ、コゲラ、ツバメ、イワツバメ、ウグイス、ホオジロ、イカル、コガラ、ヒガラ、ヤマガラ、シジュウカラ、ゴジュウカラ、メジロ、カケス、ハシブトガラス。

 

 

10月15日 宿河原堰上流(右岸)〜二子橋

晴れ。多摩川の自然を守る会、定例自然観察会。

かわさき水辺の楽校が活動している池は、完全に釣り堀という雰囲気。周辺でタコノアシ、ゴキヅル、ヒメガマなどを観察した後、久しぶりにせせらぎ館へ。床面の流域マップが新しくなり、展示水槽の数も増えた。堰左岸の転落防止柵がようやく丈夫なものになった。流れの中ほどには、今なお2001年9月11日の出水で破壊、流された柵の残骸が見える。右岸からは相変わらず豊富な伏流水が流れ込んでいる。モトクロスで荒れた東名高速上流の高水敷には、鋼管の柵がいくつもつくられている。土手で見つけたツリガネニンジンやワレモコウの花に癒される。東名高速下の湧水流は健在。エノキやムクノキの茂る河畔林を過ぎると、その先はずっとグラウンド。そしてパークゴルフ場。平瀬川合流点上流は強固な護岸工事をしたところだが、水際の浸食が著しい。立ち入り防止のロープに渡り途中のノビタキがとまる。礫間浄化施設は長らく使われていないように見えるが、川がきれいになったからだろうか(笑)。二子橋を渡る。駐車場有り、バーベキューOKの川崎側はすごい人出で、兵庫島が寂れて見える。富士観会館跡に高層マンションが建った。

カワウ、コサギ、ダイサギ、コガモ、カルガモ、ヒドリガモ、トビ、チョウゲンボウ、イカルチドリ、イソシギ、セグロカモメ、ウミネコ、ヒバリ、ハクセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ノビタキ、スズメ、カワラヒワ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト。

 

 

10月16日 一之瀬高原

快晴。トビ、オオタカ、ノスリ、クマタカ、アオバト、コゲラ、イワツバメ、ヒヨドリ、ウグイス、エナガ、ホオジロ、イカル、コガラ、シジュウカラ、メジロ、カケス、ハシブトガラス。

 

10月19日 永田橋上流

快晴。松林分館の「健康と仲間を作ろう」。今回は柳山公園から永田橋を渡り、実験区のカワラノギクをはじめ、植物や野鳥、昆虫などを観察しながら多摩川を散策した。ポカポカ陽気のお花見日和。カワラノギクは五部咲きといったところ。親子?のオオタカが気持ち良さそうに飛んでいた。来月から永田橋の架け替え工事が始まる。仮橋の設置〜現在の橋の取り壊し〜新しい橋の設置という順に進められ、完成予定は2012年3月とのこと。

 

10月20日 大栗川合流点

曇り。カワウ、チュウサギ、ダイサギ、アオサギ、コジュケイ、トビ、ノスリ、キジバト、カワセミ、アオゲラ、ヒバリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、メジロ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

10月21日 青梅市成木

曇り。青梅上成木森林環境保全地域の「東京グリーンシップ・アクション」で、沢と山の生き物たちを紹介した。

 

10月22日 羽村堰上流〜永田橋(「多摩川の達人になろう!」第7回)

まずは羽村駅前の「まいまいず井戸」(五ノ神井)を見てから、西口を出て北西へ向かう。チューリップまつりや大賀ハスで有名な根搦み前水田を抜け、羽用水沿いに阿蘇神社へ。付近は境内のため堤防は未整備で、心地良い河畔林が保存されることが望まれている。

宮ノ下運動公園前に広がる石河原は、10月はじめの出水で泥を被っていたが、カワラニガナの群落は何とか残り、また、近くの花壇に植えられたカワラノギクから飛んできたタネが定着して、あちこちで花を咲かせていた。

羽村取水堰は、江戸の水道水源として開削された玉川上水の取り入れ口として有名。多摩川が増水したときに、丸太や粗朶、砂利などを組み合わせてつくった部分を人為的に取り払って、洪水を安全に流す「投渡堰」をはじめ、堰のしくみは当時から変わっていない。ところで、本流の水の大部分がここで取水されてしまうので、以前は堰の下流には、ほとんど水が流れていないこともあったが、1992年からは、年間を通じて2㎥/sの環境放流が実施されるようになった。また、2002年には、魚道もできた。

はむら自然友の会のカワラノギク育成地は、今季、花が少なく気になる。カワラノギクは生息適地である丸石河原を求めて移動していく植物なので、同じ場所で繁栄し続けることは難しいのかもしれない。

水際に並ぶ「牛枠」の群れを眺めながら昼食。伝統治水工法を伝えながら、いまも現役で活躍している。

羽村市郷土博物館を見学して、午後は右岸を下流へ歩く。河床低下対策として積まれていた土砂が出水で流された。期待通りに役立っているのだろうか。

ハリエンジュの林を藪漕ぎし、ピラカンサのトンネルを抜けると、河川生態学術研究会の礫河原再生実験区。かつての川の自然を復元しようということで、繁茂していたハリエンジュを除去し、表土をはぎ取り、石を敷き並べて人工的に石河原がつくられた。ここでは研究者と市民が協働でカワラノギクの保全・再生活動に取り組んでおり、今年開花した数万株が見頃を迎えていた。毎年大勢のボランティアを募って除草作業をしなくては維持できない群落だが、人工的に種をまいたところから、自然の力で数百メートル下流の河原まで広がってきている。人間が手を加えることなく、カワラノギクが自然の遷移の中で生きていける日が来ることを願って、実験区を後にした。

* * *

■参加者の声

・羽村堰で多摩川の水の8割が玉川上水へ取水されて、多摩川本流は2割になってしまうとのこと。もっと本流へ流して欲しい。

・自然状態のカワラノギクは小さく、人が手を加えたものは大きく育っている印象があった。

・河原を歩いていて、ゴミの多さが目に付いた。各自が持ち帰ることにより、きれいになると思う。

・カワラノギクはきれいであったが、雑草も多く、もう少し手入れをすれば、もっときれいになると思う。

・カワラノギクがとてもきれいで感動した。こんな河原が一面に広がればすばらしい。

・一度来たいと思っていた羽村取水堰に来られて良かった。

・郷土博物館の展示が見やすく、江戸時代にタイムスリップできた。

・魚を狙いながら飛ぶミサゴが見られた。

・カワラノギクの保全にいろいろな団体が取り組んでいる様子を見て、保全活動とは大変なんだなと思った。

    

 

10月25日 永田橋上流ほか

晴れ。A工区で満開のカワラノギクを見た後、青梅市内の自生地へ。嬉しいことに開花株が増えた。200〜300といったところだろうか。カワラニガナの花はほとんど終わっているが、群落は健在。カワラハハコは辛うじて残っていたが、やはり1株しか見つからなかった。

 

 

10月26日 秋川合流点周辺〜滝山丘陵

晴れ。松林分館の「健康と仲間を作ろう」。高月の水田地帯へ。オニグルミの実をたたき落として拾ったり、上昇気流に乗って飛ぶノスリを眺めたりしながら土手を散策。滝山城址を目指して木陰に入ると、空気がひんやりと気持ち良い。本丸址の金毘羅社、霞神社、引橋、中の丸址、千畳敷址と巡る。今日はウォーキングのグループも多い。信濃屋敷址へ向かい、静かな原っぱで昼食。梢をカラ類の混群が次々と通り抜けていく。辺りはお花見で有名なところだが、天狗巣病に罹っている桜(ソメイヨシノ)が目立つ。高月の水田と滝山丘陵はいつ来ても良いところだ。春と9月(クリやアケビが実る!)にも訪れたい。カイツブリ、カワウ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、トビ、ノスリ、オオバン、キジバト、アオゲラ、コゲラ、ヒバリ、ハクセキレイ、ヒヨドリ、モズ、イカル、コガラ、ヒガラ、シジュウカラ、メジロ、カケス。

 

10月27日 東久留米

自宅から200〜300mのところにある白山公園は雨水調整池。長雨が続くと地下水が湧き出して湿地になるところだが、数年振りにのぞいたら、50羽を越すカルガモが餌を採っていた。灯台下暗しとはこのこと。普段から見ておかなくては!

 

10月28日 永田橋上流

カワラノギクPJの活動日。A工区のカワラノギクが徐々に下流に広がり、今年はB〜E工区や自然の河原にも花が目立つようになった。今日はそれら永田橋上流一帯に広がりつつあるカワラノギクの数を推計した。結果は開花株が約4万、ロゼットが約20万となったが、半径2m円内の数を数十箇所調べただけなのであくまでも目安だ。ロゼットが開花株の5倍あるとはうれしいが、その何割が開花するまでになるのだろうか。

    

 

10月29日 多摩川水源

小菅村で行われた全国源流シンポジウムのエクスカーション〜源流・水干探訪の旅。多摩川と語る会のメンバー31名とともに、ミズナラの落ち葉を踏みながら秋の山歩きを満喫した(作場平からヤブ沢峠経由で笠取小屋、水干へ、一休坂を下山)。