多摩川散策日記2006年1月)

文と写真:上田大志

 

 

1月1日 大丸堰周辺

曇り、寒い。

 年末から姿を見せているコハクチョウらしき鳥は、まだ近くにとどまっていた。やはりコハクチョウの若鳥で、中州に上がって青草を食べては、水面に戻って水を飲み、休息することを繰り返していた。一度、水面を蹴って飛び立ったが、しばらくすると同じ場所に戻ってきた。元気なようすで何より。この冬は多摩川では珍しく白鳥の目撃情報が多い。先月19日に秋川合流点付近で14羽が確認され(朝日新聞)、この近くでも30日に十数羽が上流へ向かうのが目撃されている。この個体は家族と離れてしまったのだろう。堰の魚道工事の影響も気がかりだが、無事に旅立って欲しい。

 帰りがけ、オオタカがコサギのハンティングに成功し、土手にはずらりとカメラマンの列。

 カイツブリ、カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、コハクチョウ、マガモ、コガモ、ヒドリガモ、ハシビロガモ、キンクロハジロ、トビ、オオタカ、ノスリ、オオバン、イカルチドリ、イソシギ、セグロカモメ、ユリカモメ、カワセミ、アオゲラ、ヒバリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、キセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ツグミ、ホオジロ、アオジ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト。

 ※コハクチョウ保護のため、東京都(農業振興事務所)の工事担当者に、今後も中州およびその右岸側には立ち入らないよう要請した。

     

 

1月3日 大丸堰周辺

晴れときどき曇り。カイツブリ、カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、コハクチョウ、マガモ、コガモ、カルガモ、ヒドリガモ、キンクロハジロ、ミコアイサ、キジ、トビ、オオタカ、ハイタカ、ノスリ、ハヤブサ、イソシギ、ユリカモメ、キジバト、ヒメアマツバメ、カワセミ、コゲラ、ヒバリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ジョウビタキ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、シジュウカラ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

1月6日 大丸堰周辺

曇り、寒い。気温は日中でも2〜3。風がないのが救い。カイツブリ、カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、コハクチョウ、マガモ、コガモ、カルガモ、ヒドリガモ、コジュケイ、トビ、オオタカ、ハイタカ、ノスリ、オオバン、イカルチドリ、セグロカモメ、ユリカモメ、キジバト、ヒメアマツバメ、カワセミ、ヒバリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、ウグイス、ツグミ、ジョウビタキ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

 

1月7日 大丸堰周辺

晴れ。カイツブリ、カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、コハクチョウ、コガモ、キンクロハジロ、ミコアイサ、コジュケイ、トビ、オオタカ、ハイタカ、ノスリ、ハヤブサ、イカルチドリ、イソシギ、ユリカモメ、キジバト、ヒメアマツバメ、カワセミ、ヒバリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、ウグイス、ツグミ、ジョウビタキ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、シジュウカラ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

少し上流にヒシクイが6羽飛来し、中州で青草を探しては食べていた。あくまでも推測だが、コハクチョウにしても、大雪のために本来の越冬地では餌がとれないのではないだろうか。僕らは珍しい鳥が見られてうれしいが、彼らにとっては死活問題だ。

 

1月8日 永田橋周辺

快晴。永田橋下ではどんど焼きの準備が行われている。この冬はツグミを見かけないなと思っていたが、ピラカンサ林にはかなりの数が集まっていた。しかし、現地で永年調査を続けている自然環境アカデミーのメンバーによると、この時期になってもピラカンサの実がたくさん残っているのは珍しく、今季は(それを食べる)ツグミの渡来数が少ないのではないかとのこと。コハクチョウやヒシクイなど、めったに見ることのできない種が確認されているのとは対照的である。

今日はカワラノギクPJで、今年の活動内容とスケジュールについて話し合った。活動のメインは実験区、自生地ともにやはり植生管理(草むしり)が中心になる。その後、自生地の観察とタネの採取を行った。ロゼットの数が少ない気がする。葉がしおれて見つけにくいためだと良いのだが。

ダイサギ、アオサギ、ノスリ、カワセミ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、ツグミ、ジョウビタキ、ホオジロ、カシラダカ、アオジ、スズメ、カワラヒワ、シメ、シジュウカラ、オナガ、ハシブトガラス、ガビチョウ。

 

1月9日 大丸堰周辺

曇りときどき晴れ、寒い。カイツブリ、カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、ヒシクイ、コハクチョウ、マガモ、コガモ、カルガモ、ヒドリガモ、キンクロハジロ、ミコアイサ、トビ、オオタカ、ハイタカ、ノスリ、オオバン、イカルチドリ、セグロカモメ、ユリカモメ、キジバト、ヒメアマツバメ、カワセミ、セグロセキレイ、キセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、ツグミ、アオジ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、ハシブトガラス、ドバト。

 

1月10日 大丸堰周辺

晴れ。カイツブリ、カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、コハクチョウ、コガモ、カルガモ、ミコアイサ、コジュケイ、トビ、オオタカ、ハイタカ、ノスリ、ハヤブサ、イカルチドリ、セグロカモメ、ユリカモメ、キジバト、ヒメアマツバメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、ツグミ、ホオジロ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

1月12日 大丸堰周辺

快晴、暖かい。カイツブリ、カワウ、コサギ、チュウサギ、ダイサギ、アオサギ、コガモ、カルガモ、オカヨシガモ、ヒドリガモ、キンクロハジロ、ミコアイサ、キジ、トビ、オオタカ、ハイタカ、ノスリ、ハヤブサ、チョウゲンボウ、オオバン、イカルチドリ、セグロカモメ、ユリカモメ、キジバト、ヒメアマツバメ、カワセミ、コゲラ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、ツグミ、スズメ、カワラヒワ、シメ、ムクドリ、シジュウカラ、メジロ、オナガ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

1月13日 大丸堰周辺

曇り、寒い。コサギ、チュウサギ、ダイサギ2亜種(チュウダイサギ、オオダイサギ)が水際で仲良く採餌している。チュウサギを冬に見たのは初めて。おそらく怪我などのために秋に渡ることができなかったのだろうが、手元の図鑑によると暖地では越冬する個体もいるとのことなので、多摩川で見られたとしても不思議ではないのかもしれない。カイツブリ、カワウ、コサギ、チュウサギ、ダイサギ、アオサギ、ヒシクイ、コガモ、カルガモ、オナガガモ、キンクロハジロ、ミコアイサ、トビ、オオタカ、ノスリ、チョウゲンボウ、イカルチドリ、セグロカモメ、ユリカモメ、キジバト、ヒメアマツバメ、カワセミ、アオゲラ、コゲラ、ヒバリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、ウグイス、ツグミ、ジョウビタキ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、オナガ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

  

 

1月15日 多摩大橋〜立日橋(右岸)

晴れ、暖かい。多摩川の自然を守る会、定例自然観察会。

・前日は久しぶりにまとまった雨が降った。

・日野駅から宇津木台行きのバスに乗り、小宮町で下車。

・八王子水再生センターからの排水路に繁茂しているサンカクイ。外気に触れる上部が枯れているのはやはりこの冬の寒さのためか。

・土丹の河原はいつ来ても楽しい。浸食を受けてその地形はどんどん姿を変えていく。

・広大なオギ原を抜けて谷地川へ。礫間浄化施設は最近ずっと使われていない感じ。

・原っぱの中をくねくねと流れる谷地川の最下流部。水がきれいになればなあといつも思う。

・秋から冬は土手から西の山々の眺めが素晴しい。特に夕方がオススメ。しかし、いつの間にか堤防上はキレイに舗装されてしまった。

・谷地川・多摩川合流点から立日橋の上流まで、大規模な護岸工事が進行中。延々とフェンスが張り巡らされ、土手上を歩くだけ。

・立日橋を左岸に渡り、残堀川でカワセミを見て、解散。

・観察できた鳥:カイツブリ、カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、マガモ、コガモ、カルガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、ハシビロガモ、トビ、ハイタカ、ノスリ、イカルチドリ、イソシギ、キジバト、カワセミ、コゲラ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、キセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、ウグイス、ツグミ、ジョウビタキ、ホオジロ、カシラダカ、アオジ、スズメ、カワラヒワ、シジュウカラ、ハシブトガラス、アヒル、ドバト。

    

 

1月17日 大丸堰周辺

晴れ。カイツブリ、カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、ヒシクイ、コガモ、ヒドリガモ、トビ、オオタカ、ハイタカ、ノスリ、ハヤブサ、セグロカモメ、ヒメアマツバメ、タヒバリ、モズ、スズメ、カワラヒワ、シジュウカラ、ハシブトガラス、ドバト。

 

 

1月21日 睦橋〜秋川合流点

自然環境アカデミーの「多摩川〜秋川かんさつ会」。朝から降り始めた雪が枯野を白い世界に変えていく。静けさの中、シジュウカラが囀っていた。カイツブリ、カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、マガモ、コガモ、カルガモ、オナガガモ、ホオジロガモ、トビ、ノスリ、イカルチドリ、キジバト、カワセミ、ヒバリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、モズ、ウグイス、アカハラ、ツグミ、ホオジロ、アオジ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、メジロ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト。

  

 

1月22日 睦橋周辺(「多摩川の達人になろう!」第10回)

青空の下、多摩川の河川敷は前日に降った雪で真っ白。まずは睦橋上流の土手から観察。今朝は水面にサギやカモ類の姿がないが、雪の積もった枯野にはホオジロ、カシラダカ、カワラヒワなどの小鳥が集まり、草にとまってその種を食べている。地面が雪に覆われると、餌不足になるようなことはないのだろうか。河畔林のニセアカシアにはノスリがとまり、じっと下を見つめている。冬、この辺りでは大抵ノスリが見られる。河川敷には主食のネズミもたくさん棲んでいるのだろう。

橋を渡って右岸へ。ふかふかの雪を踏みながら下流へ歩く。広いオギ原は、ツグミ、カシラダカ、アオジなどがたくさん見られるところだが、何故かこの冬はまばら。一方、コハクチョウやヒシクイなど、多摩川ではめったに見ることのできない野鳥が観察されているのは、大雪に見舞われているいつもの越冬地では餌がとれないためではないだろうか。同じフィールドで観察を続け、記録を積み重ねていくことによって、夏鳥や冬鳥など季節による違いだけでなく、長い年月の中での変化もわかり、それは自然環境全体を考えることにつながる。

また、今回は目と耳での観察に加えて、鳥類標識調査(バンディング)についても盛り込んだ。これは「1羽1羽の鳥が区別できる記号や数字がついた標識(足環)を鳥につけて放し、その後の回収(標識のついた鳥を見つけ、その番号を確認すること)によって鳥の移動や寿命について正確な知識を得る」(環境省・山階鳥類研究所資料より)という調査方法で、世界各国がお互いに連絡を取り合って行っている。日本では環境省が山階鳥類研究所に委託して実施しており、実際の調査は、鳥類の識別について十分な知識を持ち、鳥を安全に捕獲して放鳥する技術を身につけた鳥類標識調査員(バンダー)が担っている。自然環境アカデミーにも数名おり、河川生態学術研究会の研究の一環として多摩川の永田地区で調査を行っているほか、奥多摩や富士山などでも定期的に調査を行っている。今日は実際に調査のようすを見てもらう予定だったが、積雪などでコンディションが良くなかったので調査は見合わせ、調査用具や多摩川での調査でわかったことなどを紹介して、意見交換を行った。

●参加者の声

・多摩川の川原には数多くの野鳥がいることがわかった。また実物を観察して、それぞれの特徴もわかった。

・雪が降った後の観察会は、いろいろなものが観察できて楽しい。

・降雪後の観察会だったが、予想以上に多くの種類の鳥が観察できて良かった。

・標識調査に使う足環の実物をはじめて見た。

・標識調査によって足環をつけられたアオジが8年経って再確認されたとはすごい。

・福生南公園が自然保護運動発祥の地であることを知った。

・グロージャーの法則は、ヒヨドリのほか多くの動物にあてはまるのだろうか。

・普段聞けない話を聞くことができて楽しかった。

・身近な野鳥の観察に興味がわいてきた。

・ノスリの飛翔がきれいだった。

・アオサギが大きくてきれいだった。

  

 

1月26日 新宿御苑

快晴。大木戸門から玉藻池、フランス式整形庭園を抜け、下の池〜中の池〜睡蓮池と巡ると、どの池も氷が張りつめており、わずかばかりの水面に20羽ほどのマガモが集まっている。日陰には21日に降った雪も残る。茂みの下を歩き回っている小鳥はアオジ。こんな近くでゆっくり見られるとは幸運だ。中央休憩所で昼食後、林でコゲラやシジュウカラなどを観察して、日本庭園へ。この日のハイライトは上の池。氷もなく、お目当てのオシドリたちに出会うことができた。30羽はいるだろう。水際に覆いかぶさった常緑樹の枝に登って休んでいる。一列に並んで泳ぐカルガモや、さかんに潜水するホシハジロとキンクロハジロ。その上空ではオオタカがドバトを追いかけている。最後はNACOTの自然観察会でもよく訪れる母と子の森を通って、と思ったのだが、改修整備中で立ち入り禁止。確認できた鳥の種類と数はやや物足りなかったものの、それぞれの鳥をじっくり観察することができて良かった。オシドリ、マガモ、カルガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、オオタカ、キジバト、コゲラ、ハクセキレイ、ヒヨドリ、シジュウカラ、メジロ、アオジ、スズメ、ハシブトガラス、ドバト、ワカケホンセイインコ。

 

1月27日 大丸堰周辺

晴れ。カイツブリ、カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、コガモ、ミコアイサ、トビ、オオタカ、ハイタカ、ノスリ、チョウゲンボウ、イカルチドリ、セグロカモメ、キジバト、ヒメアマツバメ、カワセミ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、エナガ、ホオジロ、アオジ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

1月28日 大丸堰周辺

快晴、北風強し。カイツブリ、カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、コガモ、ミコアイサ、トビ、オオタカ、ハイタカ、ノスリ、ハヤブサ、チョウゲンボウ、セグロカモメ、カワセミ、コゲラ、ヒバリ、ハクセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、アオジ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト。