多摩川散策日記2005年3月)

文:上田大志

 

 

3月1日 大丸堰周辺

曇りのち晴れ、寒い。カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、トビ、ハイタカ、ノスリ、チョウゲンボウ、セグロカモメ、キジバト、ヒメアマツバメ、カワセミ、コゲラ、ハクセキレイ、ツグミ、エナガ、スズメ、ムクドリ、ヤマガラ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト。

ところで、先月25、26日(今日も)に観察したカラーリングのついたカワウについて、「カワウ標識調査グループ」に問い合わせたところ早速返信があり、昨年3月6日に第六台場で巣立ち前の雛にこのリングが装着され、その後11月に一度多摩川河口で観察されていることがわかった。

 

3月2日 大丸堰周辺

晴れ。カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、キジ、コジュケイ、トビ、ノスリ、ハヤブサ、チョウゲンボウ、イソシギ、セグロカモメ、ヒメアマツバメ、カワセミ、アオゲラ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、モズ、ツグミ、エナガ、ホオジロ、スズメ、ムクドリ、シジュウカラ、メジロ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

3月5日 大丸堰周辺

晴れのち曇り。カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、ミサゴ、トビ、オオタカ、ノスリ、ハヤブサ、チョウゲンボウ、イカルチドリ、キジバト、ヒメアマツバメ、カワセミ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ツグミ、ジョウビタキ、エナガ、ホオジロ、スズメ、ムクドリ、ヤマガラ、シジュウカラ、メジロ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

3月6日 大丸堰周辺

曇り、寒い。カワラナデシコの芽生えが昨年の今頃と比べて少ない気がする。

東京都(農業振興事務所)が来期、大丸用水堰の左岸側に魚道を整備するということで(右岸側は設置済み)、仮設計画や進入路等について現地説明を受けた。最も心配していた進入路のルートとその規模は、堰の300mほど上流の堤防に盛り土をして進入口をつくり、そこから下流の高水敷に敷設する予定とのことで、植生への影響は小さくて済みそうだ。豊かな生態系が保たれている河道中央部の中州に手をつけないことも確認できた。その他、仮置ヤード位置の調整、仮締切範囲を狭くすることなどを要望し、野生生物モニタリング調査の実施も検討してもらうことにした。

カイツブリ、コサギ、アオサギ、トビ、チョウゲンボウ、オオバン、セグロカモメ、ヒメアマツバメ、コゲラ、ヒバリ、ハクセキレイ、ヒヨドリ、ツグミ、ジョウビタキ、ホオジロ、アオジ、スズメ、ムクドリ、シジュウカラ、ハシブトガラス、ドバト。

 

3月7日 大丸堰周辺

快晴。ウグイスが囀りはじめた。カイツブリ、カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、ヒドリガモ、コジュケイ、トビ、オオタカ、ハイタカ、ノスリ、ハヤブサ、イカルチドリ、キジバト、ヒメアマツバメ、カワセミ、コゲラ、ヒバリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、ツグミ、エナガ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、ヤマガラ、シジュウカラ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

3月8日 大丸堰周辺

快晴、暖かい。カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、ヒドリガモ、キジ、コジュケイ、トビ、オオタカ、ノスリ、ハヤブサ、チョウゲンボウ、オオバン、キジバト、ヒメアマツバメ、カワセミ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、ツグミ、エナガ、ホオジロ、アオジ、スズメ、ムクドリ、ヤマガラ、シジュウカラ、メジロ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

オオタカにでも捕まりはぐったのか、傷つき痩せたツグミが1羽、エサを探してはついばんでいる。風切羽が損傷していてうまく飛べず、人が近づくと翼を引きずるように数メートル移動するという具合である。このままでは回復する前に猛禽や獣の餌食になってしまうだろう。しかし、釣り糸が絡んでいるなど人為的な原因でないのなら、それが自然の姿なのかもしれない。だが、一昨年に衰弱したオオタカの幼鳥を保護したときには、何の躊躇もなく手が出ていた。保護する/しないを自分の都合で選択してしまっていることに気づく。

 

3月10日 浅川合流点上流

曇りときどき晴れ。土手の芽吹きまでにはまだ若干日数がありそうだ。四谷堰下流では無人ヘリコプターによる測量調査が行われており、水辺に近づけない。ラジコンといっても人ひとりが乗れそうな感じの大きなものだった。少し下流の河原には伏流水が湧き出してワンドができているが、ここは河道整正工事で削られることになりそうだ。数年前まで河原植物がたくさん見られた高水敷は、陸域化してすっかりイネ科草本に覆われてしまった。浅川合流点まで歩いた後、晴れて暖かくなってきたので土手でゆっくりしようと戻ってきたが、何か事件があったようで騒がしかったのでそのまま帰宅した。コサギ、カルガモ、ヒドリガモ、トビ、ノスリ、イカルチドリ、イソシギ、セグロカモメ、キジバト、カワセミ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、キセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、ウグイス、ツグミ、ホオジロ、アオジ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、ハシブトガラス。

 

3月12日 羽村

晴れ。カワラノギク・プロジェクトの活動日。

国土交通省京浜河川事務所が羽村大橋下流で治水工事を検討しているということで、その案について現地説明を受けた。河床低下が著しく、澪筋が左岸側に寄っていて治水上危険なので、右岸の高水敷を掘削して河道整正を行いたいとのこと。四谷堰下流の計画と同様に、出水によって石河原の形成が促進されることが期待でき、長期的に見れば環境の面でも良いのかもしれないが、ここの貴重な自然を人為的に損ねてしまって良いのだろうか。関係機関や研究グループでもさまざまな案を検討しているとのことだった。

合間に観察した野鳥は、ダイサギ、カルガモ、トビ、ハイタカ、イカルチドリ、キジバト、コゲラ、モズ、スズメ、ハシボソガラスなど。

 

3月13日 大丸堰周辺

曇りときどき晴れ、寒い。カワラヒワが囀りはじめた。カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、ヒドリガモ、コジュケイ、トビ、ノスリ、ハヤブサ、チョウゲンボウ、セグロカモメ、キジバト、ヒメアマツバメ、カワセミ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、モズ、ウグイス、ツグミ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、ハシボソガラス、ハシブトガラス。

 

3月14日 河口右岸

晴れときどき曇り。来月行う「干潟を守る日2005」自然かんさつ会(NACOT主催)の下下見。干潟に小さな穴がたくさん開いているところを見つけてしばらくじっとしていると、間もなく大小のカニが顔を出し、やがて次々と穴から出てエサを食べはじめたが、人の気配を感じるとサッと一斉に穴の中に隠れてしまった。おもしろい!ハジロカイツブリ、カンムリカイツブリ、カワウ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、スズガモ、ミサゴ、トビ、ノスリ、シロチドリ、セグロカモメ、ウミネコ、ユリカモメ、キジバト、ハクセキレイ、ヒヨドリ、ツグミ、スズメ。

 

3月15日 狛江水辺の楽校周辺

曇りときどき晴れ。月末に行われる「第2回多摩川を題材とした環境学習研修会」の下見。今回は狛江水辺の楽校周辺の多摩川で、魚、鳥、植物、化石・石、水辺の楽校などをテーマにフィールドワークを行う。筆者は魚コースをサポートする予定。

宿河原堰でゲートの点検作業が行われており、左岸側の魚道にほとんど水が流れていない。川底の石は青緑色のヌルヌルに覆われている。やはり下水処理水の流入が影響しているのだろう。水のなくなった魚道内に取り残されたコイを救出して、狛江水辺の楽校へ。伏流水の流れる小川にはヒキガエルやアカガエルの卵塊。排水樋管の合流部をガサガサしてみると、モツゴやオイカワ、メダカなどがたくさんとれるが、川底のヘドロもひどい。当日は少し下流で石河原に下りて、小川のブロック周りや柳の根元などを狙ってみることになった。本流の瀬ではマルタウグイの産卵も見られるかもしれない。

 

3月17〜20日 山形

仕事で最上川へ。福島から山形新幹線に入ると急に雪深くなってきて、米沢あたりは駅のホームまで埋もれていたが、山形市を過ぎると路面は乾き、田畑の地面も見えはじめた。郊外は2m近い積雪があったが、最近は暖かな日が続いているようだ。最上川は雪解けで水量を増し、農村地帯を蛇行しながら川幅いっぱいに流れている。斜面ではザザーッと雪崩もおきている。温泉などに行く時間はなかったが、朝から夜まで雪国の早春を満喫することができ、印象深い旅となった。

 

3月22日 大丸堰周辺

曇りときどき小雨。若いハヤブサがコサギを捕らえた。コサギの体が地面からふわりと浮いた一瞬を逃さなかった。カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、キジ、コジュケイ、トビ、オオタカ、ノスリ、ハヤブサ、チョウゲンボウ、オオバン、セグロカモメ、キジバト、ヒメアマツバメ、カワセミ、コゲラ、ヒバリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、モズ、ウグイス、ツグミ、エナガ、スズメ、ムクドリ、ヤマガラ、シジュウカラ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト。

 

3月23日 大丸堰周辺

曇りのち雨。柳が芽吹きはじめ、イワツバメが帰ってきた。今年は春の歩みがゆっくりのようだ。

カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、コガモ、カルガモ、ヒドリガモ、キジ、コジュケイ、トビ、ハイタカ、ノスリ、ハヤブサ、セグロカモメ、ヒメアマツバメ、カワセミ、アオゲラ、コゲラ、ヒバリ、イワツバメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、キセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、ツグミ、ジョウビタキ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、ヤマガラ、シジュウカラ、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

このところ連日、ゴムボートで中州と両岸を行き来して測量調査が行われている。堰の魚道整備の準備だろうか。

 

3月24日 大丸堰周辺

曇りときどき晴れ。高水敷の原っぱに緑色が目立ってきた。交通公園前の水際で、昨秋の出水による侵食状況の調査が行われている。カイツブリ、カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、ヒドリガモ、キジ、コジュケイ、トビ、オオタカ、ハイタカ、ノスリ、ハヤブサ、チョウゲンボウ、イソシギ、キジバト、ヒメアマツバメ、カワセミ、コゲラ、ヒバリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、ツグミ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、ヤマガラ、メジロ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

3月26日 睦橋〜平井川合流点〜秋川合流点

晴れ。福生市公民館松林分館の「大人と子どもの野外遊び〜多摩川で楽しもう!発見!探検!の連続だ!」で、僕のお気に入りのフィールドを案内した。

カワウやアオサギなどを見ながら睦橋を右岸に渡り、河川敷に点在する沼を観察しつつ上流へ。“屋城ランド”でニセアカシア林のハンモックをゆすって!遊んだ後は丸石河原へ。浅瀬でカゲロウやトビケラなどを捕まえて観察しようと思っていたが、子どもたちは水きりをしたり、石に石で絵を描いたり、宝石探しをしたり、砂を袋につめて枕をつくったり・・・、思い思いに遊びはじめる。原っぱの陽だまりで昼食。ずっと動き回っていた子どもたちは暑そうだ。午後は睦橋の下をくぐって下流へ。カワラニガナの花はまだ。伏流水が湧き出してできた小川にはオイカワの稚魚やヌカエビ?などがたくさんいる。アカガエルの卵塊を発見すると、子どもたちは一様に「きもーい」(気もちわるい)と言いながらも、何度もその触感を楽しんでいた。

子どもたちはこちらが何も教えなくても、自然の中で何ができるかを自分でみつけてチャレンジしてみるもの。大人はそれをあたたかく見守っていきたい。

 

3月27日 狛江水辺の楽校周辺

晴れ、暖かい。「第2回多摩川を題材とした環境学習研修会」は、実際に多摩川でどんなことができるのか、先生方にその楽しみ方を体験してもらうことが目的。魚コースでは、狛江水辺の楽校下流の多摩川をフィールドに、本流とそこに流れ込む小川でガサガサをした。子どもたちがどこにどんな生き物がいるのかを知り、さらに川の規模、流速、水深、底質などの違いによって、棲息している生き物の種類や大きさが違うことに気付くような活動ができると良いと思う。観察できた生き物は、小川・・・オイカワ、スゴモロコ、カマツカ、シマドジョウ、コヤマトンボ、ユスリカ2種類など、本流・・・ヌマチチブ、カゲロウ5種類、トビケラ2種類、カワゲラ類、サナエトンボ類など。マルタの産卵はまだのようだ。ついでに見た鳥・・・カワウ、コサギ、トビ、オオタカ、セグロカモメ、カワセミ、イワツバメなど。

 

3月29日 日の出

曇り。雑木林に掛けた巣箱の穴からムササビが顔を出して、じっとこちらを見ていた。沢にはトウキョウサンショウウオの卵のうも。

 

3月31日 大丸堰周辺

晴れときどき曇り。都心では桜が開花したそうだ。

今日も若ハヤブサが狩りに成功した。日に日にたくましく成長している。カイツブリ、カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、ヒドリガモ、キジ、コジュケイ、トビ、オオタカ、ハヤブサ、チョウゲンボウ、オオバン、コチドリ、イソシギ、キジバト、ヒメアマツバメ、カワセミ、コゲラ、ヒバリ、イワツバメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、ツグミ、ジョウビタキ、ホオジロ、スズメ、ムクドリ、ヤマガラ、シジュウカラ、メジロ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。