多摩川散策日記2004年9月)

文:上田大志

 

 

9月1日 一之瀬高原

快晴。ピィヨー・・・ハチクマの一家が仲良く円を描いている。南に向かって旅立つ日も近い。

 

9月3日 大丸堰上流

晴れときどき曇り、蒸し暑い。土手で今年2回目の草刈りが行われている。ツルボ満開。ハチクマが1羽、南に向かって飛んでいった。カワウ、コサギ、チュウサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、コジュケイ、ハチクマ、イソシギ、キジバト、コゲラ、ヒバリ、ツバメ、コシアカツバメ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、オオヨシキリ、セッカ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト。

 

9月4日 関戸橋下流

曇りのち豪雨。多摩川の自然を守る会の定例自然観察会。今日は夕方から「鳴く虫を聞く会」だが、空は真っ黒い雲に覆われている。それでも中河原駅から多摩川までは、空き地や街路樹で虫を探したり、途中の公園で夕食(おやつ)を食べたりしながら、住宅街の中の自然観察を楽しんだ。しかし、多摩川に着くとザアッと降り出し、“虫の声”はほとんど聞こえなくなってしまった。駅に戻る途中、小止みになったので、周辺の川原を探索。カンタンがか細い声で鳴いていたが、マツムシとカワラエンマコオロギにはお目にかかれず。やがて雨は雷を伴って土砂降りになり、一晩中降り続いた。

 

9月5日 大丸堰上流

曇り。多摩川は昨晩の雨で増水している。岸際に30匹ほどのコイの群れ。イタドリ、ツユクサ満開。カイツブリ、カワウ、ゴイサギ幼、コサギ、チュウサギ、ダイサギ、アオサギ、マガモ?、カルガモ多、コジュケイ、イソシギ、キジバト、カワセミ、コゲラ、ツバメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、セッカ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ガビチョウ。

 

9月6日 一之瀬高原

曇りときどき晴れ。キョッ!という声に振り向くと、そこには1羽のカケス。アオゲラの声よりも鋭く、シカの声を真似ているのではないだろうか。ハチクマ、トビ、ハイタカ、ノスリ、アオバト、アマツバメ、アオゲラ、コゲラ、ツバメ、イワツバメ、キセキレイ、ウグイス、メボソムシクイ、アカハラ、エナガ、ホオジロ、ウソ、コガラ、カケス、ハシブトガラス、ソウシチョウ。

 

9月7日 大丸堰上流

晴れときどき曇り。台風18号の影響で風が強い。カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、トビ、キジバト、ヒメアマツバメ、ツバメ、セッカ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、ハシブトガラス。

 

9月8日 青梅

晴れ、猛暑。

来月行われる観察会の下見で、東青梅市民センターから風の子太陽の子広場まで歩いた。霞川にはカワムツやオイカワが群れ、それを狙ってカワセミも登場。川沿いの遊歩道歩きが楽しそうだ。

午後は上成木へ。3頭のシカに出会う。そのうちの1頭は立派な角をもった大きな牡鹿で、ドスンドスンと足音も豪快に斜面を上っていった。ふつうのシカの倍くらいありそうに見えた。

 

9月9日 小菅ほか

晴れときどき曇り。畑の周りに張られた網に触れたらビリッ!地元のおばあちゃんが通りかかり、「イノシシよけだよ」。メタカラコウ?、ツリフネソウ満開。ゴツン、車の屋根に栗が落ちてきた。ルルル・・・日中から聞こえるカンタンの声が秋を感じさせる。

 

9月11、12日 多摩川水流解明キャラバン(水質の現地感覚調査)

多摩川水流解明キャラバン(水質の現地感覚調査)が行われ、直轄区間を上から下までバスで移動しながら、水の色、におい、川底のヌルヌル感などを実際に水に入って五感(さすがに飲まなかったので四感か?)で判断するアンケート調査を行った。1日目・・・関戸橋〜多摩大橋〜八高線鉄橋〜秋留橋(秋川)〜羽村大橋〜柳淵橋、2日目・・・関戸橋〜ふれあい橋(浅川)〜鶴巻橋(浅川)〜宿河原堰下流〜兵庫島(野川/本川)〜六郷橋。みずからの感覚で多摩川の水流を見つめなおす良い機会になった。特に各地点で水量測定や詳しい説明があり、水生生物調査やパックテストも行ったことで、感覚と実際の水質について比較、実感することができた。京浜河川事務所をはじめ事務局の皆さまご苦労様でした。

 

9月13日 小菅

快晴、暑い。夜明けの国道を赤犬が駆けていく、と思ったらフサフサしっぽのキツネ。明るくなると、オオタカの親子が稜線上に遊び、上昇気流に乗ってサシバが舞いはじめた。ハチクマ、トビ、オオタカ、サシバ、キジバト、アオバト、コゲラ、ヒヨドリ、エナガ、ホオジロ、シジュウカラ、メジロ、カケス、ハシブトガラス、ガビチョウ。

 

9月14日 大栗川合流点上流

晴れ、厳しい残暑。でもキイキィキィ・・・とモズが鳴きはじめた。秋だ。今年生まれの若いオオタカが、何十羽ものカラスに囲まれながらもドバトを追って森の中を元気に飛び回っている。多摩川の上空にミサゴが現れ、真下を向いて魚を狙いながら悠々と飛んでいった。コサギ、チュウサギ、ダイサギ、アオサギ、コジュケイ、ミサゴ、トビ、オオタカ(幼鳥)、チョウゲンボウ、キジバト、アマツバメ、ヒメアマツバメ、カワセミ、アオゲラ、コゲラ、ヒバリ、ツバメ、コシアカツバメ、イワツバメ、モズ、スズメ、シジュウカラ、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

9月16日 大栗川合流点上流

快晴、爽やか。

数年前まで広大なオギ原だった堤防下の草藪は、オオブタクサのジャングルになってしまった。防火のために行われている冬場の刈り取りと関係があるのだろうか。今後の推移を見守りたい。

多摩出張所長と会う。大栗川に土砂が流出して濁りが発生したとのこと。

今日は朝から夕方まで野鳥観察。今日もミサゴがやってきた。朝は上流から下流へ、夕方は下流から上流へ。同じ個体ではないだろうか。渡りの途中と思われるサシバが林に舞い下りる。常連のバードウォッチャーたちと情報交換をしながら、初秋の一日を楽しんだ。

カワウ、ゴイサギ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、コジュケイ、ミサゴ、トビ、オオタカ、サシバ、ハヤブサ、チョウゲンボウ、キジバト、アマツバメ、カワセミ、アオゲラ、コゲラ、ヒバリ、ツバメ、コシアカツバメ、イワツバメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、メジロ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

9月18日 大丸堰上流

晴れ、暑い。カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、コジュケイ、トビ、オオタカ(成2/幼1)、イカルチドリ、キジバト、ヒメアマツバメ、コゲラ、ヒバリ、ツバメ、コシアカツバメ、ハクセキレイ、ヒヨドリ、モズ、セッカ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、オナガ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

9月18〜20日 府中青年の家「水のワークキャンプ〜多摩川まるごと体験隊」

東京都府中青年の家の主催事業「水のワークキャンプ〜多摩川まるごと体験隊」に参加。これはRAC(川に学ぶ体験活動協議会)のリーダー育成講座も兼ねており、ガサガサやパックテストの体験、羽村に移動して安全対策についての実習、プログラムの作成やリーダーの役割についての室内講座など多岐にわたった内容で、30名以上の参加者との交流を通じて、たいへん濃厚な3日間を過ごすことができた。

この府中青年の家もついに今年度いっぱいで閉所されてしまう。これからの時代こそ必要だというのに・・・

 

9月21日 野川(三鷹市大沢)

晴れ、暑い。三鷹市立羽沢小学校へ3、4年生の体験学習の手伝いに行く。学校のすぐ前を流れる野川で魚をとり、学校で飼ってみようというプログラムである。魚とりの成果は数百匹のメダカをはじめ、オイカワ、タモロコ、モツゴ、コイ、ギンブナ、ヨシノボリ・・・とにかく大漁で、子どもたちは大喜びだった。これから自分たちが責任を持って世話をしていくことで、生命の大切さを学んでいくことだろう。

今日活動した三鷹の野川は、子どものひざ上程度の水深があった。しかし、9月半ばを過ぎたいまも、この上流の小金井ばかりか下流の調布でも水は流れていないのである。

 

9月23日 永田地区

曇り。カワラノギク実験区(A工区)の除草作業に20名ほどが参加。前回(6月)の反省から、楽しく今後も続けられるようにと、今回は2日間で自分たちができるところまで作業し、残ってしまった部分は河川管理者(が委託する業者)にお願いすることになった。

 

9月28日 犬切峠

晴れのち曇り。ハチクマ(2+)、トビ(1)、ノスリ(1)、サシバ(3)、アマツバメ、コゲラ、ウグイス、コガラ、カケス、ハシブトガラス、ソウシチョウ。

 

9月29日 大丸堰上流

曇りのち雨。キクイモが満開、しかし猛暑続きで一度萎れたためか草丈が低い。銀色のオギの穂が出てきた。やっかいな“ひっつき虫”コセンダングサのたねもできはじめた。

コガモが3羽、水面に舞い下りる。冬の一番鳥の到着に喜んでいると、かれらを狙ってオオタカが出現。北国からの長旅で疲れているだろうに、休む間もなく飛び立つ。

そして一面厚い雲に覆われ、時折小雨が降るという空模様の中、南へ向かうサシバが17羽、ゴミ焼却場の上空に発生した上昇気流をつかまえてぐんぐん高度を上げる。かれらの行くすぐ先には台風が待ち構えている。旅の無事を祈ろう。

カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、マガモ?、コガモ、カルガモ、コジュケイ、ミサゴ(1)、トビ(2+)、オオタカ(成1+/幼1)、サシバ(17)、チョウゲンボウ(2)、イソシギ、キジバト、カワセミ、コゲラ、ツバメ、コシアカツバメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、キセキレイ、ヒヨドリ、モズ、スズメ、カワラヒワ、オナガ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト。

 

9月30日 大丸堰上流

晴れ、暑い。三重県や愛媛県をはじめ西日本に甚大な被害を及ぼした台風21号だが、関東地方への影響は小さく、雨は明け方までに上がった。多摩川は増水して濁っているが、取り立てて書くほどでもない(それだけ最近は出水がない)。ただドブ臭さが気になる。

またまたミサゴがやってきた。今日のように水が濁っていても、上空から魚を見つけることができるのだろうか。オオタカがイソシギにアタック!イソシギは水面ぎりぎりを一直線に飛びながら何度も水に突っ込み・・・何とかオオタカの追撃をかわした。オオタカが目当てで来ていても、いざそういう場面に遭遇すると、知らないうちに追われているものを応援してしまう自分に気付く。

カイツブリ、カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、コガモ、カルガモ、ミサゴ(1+)、トビ(2+)、オオタカ(成鳥)、チョウゲンボウ(2+)、イソシギ、キジバト、アマツバメ、ヒメアマツバメ、カワセミ、ツバメ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、スズメ、カワラヒワ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト。