多摩川散策日記2004年7月)

文:上田大志

 

 

7月1日 根ヶ布

曇りときどき晴れ。北谷津ではネムノキの花が満開。チダケサシやアキノタムラソウも咲きはじめた。オオバギボウシのつぼみがふくらみ、道端をヒメギスがピョンピョン跳ねている。尾根をひと登りして高台へ。オオタカがゆっくり帆翔している。サシバだろうか、遠くの谷合から3羽のタカが上昇してきて、ゆっくり高度を上げたと思ったら、つっかかったり急下降したりしていた。トビ、オオタカ、サシバ?、ホトトギス、コゲラ、ヒヨドリ、ウグイス、クロツグミ、キビタキ、イカル、メジロ、カケス、ハシブトガラス。

 

7月3日 日野用水堰付近左岸

晴れ、暑い。多摩川と生きる昭島市民の会の植物調査に参加。八高線鉄橋から日野用水堰上流の人工ワンドまで、ちょうど1年前の観察記録とにらめっこをしながら確認していく。昨年と比べて花期が早いのか遅いのか、昨年は見られたものが見られなくなったり、逆に見られなかったものが見られるようになったり・・・。誰もが気軽に参加できる調査を継続していくことで、身近な自然(の保護)に関心を持つ人を増やすとともに、普段から現場を見ている市民としての調査記録を蓄積することができると思う。さて、堤防際まで家が建ってきた。この冬、堰左岸側にも魚道がつくられるようだ。

 

7月3日 根ヶ布

晴れ、暑い。オカトラノオが咲いている。クロツグミが朗らかに囀っている。オオタカが1kmほど先の針葉樹にとまり、谷合には悠然と飛ぶノスリの姿も。日が傾きはじめ、涼しい風が吹いてきて、ヒグラシの声が聞こえてくる・・・。少し前まではどこにでもあったであろう里山の原風景が何よりも大切に思えてくる。オオタカ(成鳥)、ノスリ、キジバト、ホトトギス、コゲラ、ツバメ、ヒヨドリ、ウグイス、クロツグミ多、キビタキ、サンコウチョウ、ホオジロ、イカル、シジュウカラ、メジロ、カケス、ハシブトガラス、ガビチョウ1。

今日は「永山北部丘陵ホタルと野生動物観察会」(青梅さとやま市民会議と霞川くらしの楽校の共催)。午後6時半、天寧寺に集まったおとな24人こども12人の参加者は、根ヶ布の旧家中嶋捷恵さん宅へ。日が暮れると、山林とつながっている裏庭に根ヶ布の森に棲む動物たちがやってくるとのこと。間もなく辺りが暗くなると、斜面をテンがサッと横切ったのに続いて、2匹のタヌキが現れた。大勢の人がじっとこちらを見ているので、いつもと違うと思ったのか、おそるおそる餌付けのパン屑をくわえて林の中に戻っていった。中嶋さんからいただいた採れたてのジャガイモをみんなでほおばっていると、お待ちかねのアナグマが3匹出現!みんなの目の前まで来て、落ち着いた様子でエサを食べる様子に、先ほどのタヌキも安心したようで、裏庭には5匹の動物が集合した。餌付けされているとはいえ、アナグマをこんな近くでまじまじと見ることができたのは初めてだった。

みんなが満足したところで、中嶋さんから根ヶ布の自然についてお話を伺った。「キツネの声→ヒヨドリの群れ→タンポポの開花→ウメの開花→ウグイスの囀り→アナグマの冬眠明け→シジュウカラの巣作り→ミツバツツジの開花→シロハラの渡去→タケノコの出芽→ホトトギスの渡来→アナグマの子連れ→ホタルブクロの開花→ヤマユリの開花→ヒグラシの声→コオロギの声→サルスベリの開花→アサギマダラの飛来→ジョウビタキの渡来→シロハラの渡来→アナグマの冬眠入り、これが根ヶ布の一年です」とのお話に、自然とともに生きてきた日本古来の季節感の素晴らしさを感じる。しかし近年、これが変化してきているとのこと。その時期が早くなったり、かつては見られたものが見られなくなったり、逆に見られなかったものが見られるようになったり・・・。特に今年はアナグマとタヌキの子を見ていないというのだ。これらの変化には、気候の温暖化や外来種問題をはじめ、いろいろな原因があるだろうが、宅地開発のように衝撃的なものではないだけに、根ヶ布の森に怪物が忍び寄ってきているような不安を感じる。

中嶋さん宅を後にした一行は、ホタルを求めて北谷津へ。“乱舞”にはお目にかかれなかったが、根ヶ布川沿いのあちこちで、涼しげな光が二つ、三つ・・・。ゲンジボタルとヘイケボタルの両方を見ることができたが、ひとつ意外な話を聞いた。東京では、清流に棲むゲンジボタルよりも、水田や用水路に棲むヘイケボタルの方が珍しくなってしまったというのだ。確かにいま各地でホタルの保護活動が活発に行われているが、そのほとんどはゲンジボタルのようだ。田んぼというどこにでもあった環境がなくなり、ゲンジボタルと比べて地味なヘイケボタルは人知れず姿を消してしまうのか。ヘイケボタルのかすかな光が、僕らにありふれた自然の危機を知らせている。

今日のように誰もが気軽に参加できる観察会をきっかけとして、身近な自然に関心を持ち、その保護に取り組む人が増えることを願っている。

 

7月4日 睦橋付近

晴れ、日差しが強い。自然環境アカデミーの「多摩川〜秋川かんさつ会」に参加。土手の桜並木がつくる木陰がうれしい。丸石河原のカワラニガナが分布を広げている。今年はカワラバッタも多い。やはり出水時に生き残った個体群が、新たにできた丸石河原に分布を広げ、川原が草に覆われてくると減少していく・・・という繰り返しなのだろう。水たまりはバスの幼魚だらけ!少し上流の“釣り堀”池に放流している人がいるらしいが、繁殖しているのかもしれない。一昨年のカミツキガメ騒動といい、由々しき事態である。カワウ、ササゴイ、アオサギ、カルガモ、キジ、トビ、イカルチドリ、キジバト、カワセミ、ツバメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ウグイス、ホオジロ、スズメ、ムクドリ、シジュウカラ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト。

 

7月6日 大丸堰上流

曇ときどき晴れ、蒸し暑い。堰中央部のゲートは閉じられているが、水量が少ないのか、左岸側の流れが浅くなっている。オイカワの産卵。クズが茂ってきた。カワラナデシコに花芽らしきものが出てきた。コサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、コジュケイ、トビ、コアジサシ、キジバト、ホトトギス、カワセミ、ツバメ、ハクセキレイ、ウグイス、セッカ、ホオジロ、スズメ、ムクドリ、メジロ、オナガ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

ところで、都下水道局が大丸用水堰付近の樹木を伐採するらしいという話を友人から聞いたので、河川管理者に問い合わせたところ、「東京都下水道局の南多摩水再生センターの敷地の河川区域外のところで、幹周り30〜110cmある樹木をおよそ50本ほど伐採する予定のようです。伐採箇所は河川区域外で、環管計画では白地となっている箇所です。ただし、伐採した樹木は地形が崖地であることから、河川区域内にて集積、集草を行う予定です。主な伐採の高木は具体的な品種の特定まで行っていませんが、ハリエンジュが主なものです。」と回答があった。言うまでもなく、樹林は野鳥などの生息場所としても重要である。多摩川と周辺の自然を一体のものとして守っていくためには、しなければならないことがたくさんありそうだ。

 

7月7日 野川(くじら山下原っぱ付近)

晴れ、猛暑。昨年に引き続き、「野川のちびっ子先生あつまれ!〜小学生による野川の通信簿」が行われ、小金井市立南小学校の6年生83人が4つの班に分かれて、水生生物、水量・水質、野鳥、植物の4テーマの観察をローテーションしながら体験した。

昨年とは大きく違うことがひとつ。今年に入って水涸れしてしまった小金井の野川はいまだ復活せず、まったく水が流れていないのである。

 

7月8日 根ヶ布

晴れ、猛暑。ヤマユリのつぼみがふくらんできた。左の藪からタヌキの子が3匹出てきた。距離10m弱、つぶらな瞳で僕を不思議そうに見つめている。やがて1匹がポコポコと小走りに山道を駆け出すと、2匹も後を追って斜面に姿を消した。オオタカ?、ヒヨドリ、ウグイス、クロツグミ、キビタキ、サンコウチョウ、ホオジロ、スズメ、イカル、メジロ、カケス、ハシブトガラス。

 

7月10日 大丸堰上流

晴れのち曇り一時雨、暑い。中州の水際にサギを見つけ、“デジスコ”に挑戦。その場で画像を確認してみて愕然!高価で巨大で重い超望遠レンズを使わなくても、こんなに大きく鮮明に写せるとは。何よりも、野生動物を驚かさずに離れたところから撮影できるのが素晴らしい。ニコンF3愛用者の僕としては、少々寂しくもあるが・・・。

カワウ、ササゴイ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、トビ、イソシギ、コアジサシ、カワセミ、ツバメ、ハクセキレイ、セッカ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ガビチョウ。

 

7月12日 根ヶ布

晴れ、暑い。ヤマユリ開花。トビ、オオタカ(成鳥)、ホトトギス、ヒヨドリ、ウグイス、クロツグミ、キビタキ、スズメ、イカル、メジロ、カケス、ガビチョウ。

 

7月13日 大丸堰上流

晴れ、猛暑。関東地方梅雨明け。アブラゼミ初聞き(東久留米)。

白花のカワラナデシコが1株開花。他の株もつぼみが目立ってきた。ショウリョウバッタが飛びはじめた。昨夏は疫病?にやられてしまったので、今年は元気に育ってほしい。カワウ、ササゴイ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、トビ、チョウゲンボウ、コチドリ、イカルチドリ、イソシギ、ヒバリ、ツバメ、ウグイス、セッカ、ホオジロ、スズメ、ムクドリ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

7月14日 大丸堰上流/上河原堰上流

曇りのち晴れ。対(右)岸で都下水道局による樹木の伐採が始まっており、ハリエンジュの大木などが切られてしまった。これらの樹木は明らかにフェンスの外、つまり川側の斜面に生えているのだが、それでも河川区域外になるのだろうか。とにかく、何のために伐採しているのかを確かめなくては。カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、コジュケイ、トビ、コアジサシ、キジバト、ツバメ、ウグイス、セッカ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

夕方はツバメのねぐら調査で上河原堰上流へ。明るいうちに着いたので周辺の観察。カルガモが堰のコンクリートに付着している藻を削り取って食べている。高圧線のカワウは91羽。中州のヨシ原ではオオヨシキリが賑やかに鳴いている。やがて「グワッ」という声とともに、ルビー色の眼をしたゴイサギも登場。さて18時45分、堰の上流にツバメたちが続々と集まりはじめ、19時から20分ほどの間に、手前の小さな中州に400羽ほど、沖合の中州にも数百羽が塒入りした。17日の一斉調査を前に、今年もこの場所に集団ねぐらが形成されていることが確認できたが、25日に行われる花火大会の影響が気がかりだ。また、散歩の人から、今朝中州をアルマジロのような動物が歩いているのを見たという話を聞いた。誰かが捨てたペットだろうか。それともタヌキか何かだろうか。とにかく犬ではなかったそうだ。

 

7月16日 『大丸用水堰付近の樹木伐採に関して(情報提供とお願い)』を東京都下水道局南多摩水再生センターに送付

今回は対応が後手にまわってしまい、事前に得ていた情報を活かすことができず反省している。

 

7月16日 多摩川水源

晴れ。早朝、奥多摩湖から丹波渓谷にかけての国道でサルを3度目撃。落合から林道に入り、いつものように作場平に車を止めて歩き出す。水源の森はエゾハルゼミからコエゾゼミへのバトンタッチ中。アサギマダラが舞い、マルバダケブキの黄色い花が目に付くようになってきたが、以前はお花畑だった高原に花は疎ら。苗木をシカの食害から守るためのフェンスの中は花園状態だが。

下山路、一休坂から馬止へ。ミズナラ林に包まれた心地良い小道が続くが、笹の繁茂も強烈。中島川橋から林道を作場平まで戻ってくると、上空を見慣れないタカが飛んでいる。カラマツの頂辺に止まったシルエットにスコープを向ける。ハチクマだ。

ハチクマ、トビ、ホトトギス、アオゲラ、コゲラ、ツバメ、イワツバメ、ビンズイ、ミソサザイ、ヤブサメ、ウグイス多、メボソムシクイ、マミジロ、アカハラ、コマドリ、コルリ、ルリビタキ、エナガ、アオジ、ウソ、コガラ、カケス、ソウシチョウ。

コウリンカ、サワギク、マルバダケブキ、ヒヨドリバナ、シモツケソウ、オトギリソウ、ヤマオダマキなど。

 

7月17日 上河原堰上流

晴れのち曇り、ツバメのねぐら調査。18時40分頃からツバメたちが集まりはじめ、19時過ぎから15分ほどの間に、手前の小さな中州に1400羽ほど、沖合の中州に400羽ほどが順次塒入りした。塒入り前の一斉飛翔はなかったが、その数は14日よりもかなり多かった。

 

7月18日 東久留米

ミンミンゼミ初聞き。

 

7月19日 大丸堰上流

晴れ、暑い。夕方、ツバメの観察へ。上空には19時少し前まで200羽ほどのツバメが舞っていたが、薄暗くなりはじめると、徐々にばらけて上流の方へ移動していった。四谷の大ねぐらに向かうのだろうか。大丸堰上流の中州(ヨシ原)に塒入りしたのは数十羽にとどまった。

カワウ、ゴイサギ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、マガモ?、カルガモ、コジュケイ、オオタカ、コアジサシ、キジバト、ヒバリ、ツバメ、イワツバメ、ウグイス、セッカ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

7月20日 根ヶ布

晴れ、酷暑。都心では39.5にもなったとのこと。

沢の水が涸れてきた。林の中にはたくさんのヒグラシ。トビ、アオゲラ、コゲラ、ツバメ、イワツバメ、ヒヨドリ、ヤブサメ、ウグイス、クロツグミ、キビタキ、ホオジロ、イカル、ヤマガラ、メジロ、カケス、ハシブトガラス、ガビチョウ。

 

7月21日 大丸堰上流

晴れ、酷暑。土手のカワラナデシコが咲きはじめた(すでに13日に白花の1株が開花していたが)。今年は開花するのが早いような気がする。これらのカワラナデシコは、5月にいったんほとんど目につかない状態まで刈り込まれたが、その後順調に生長して開花にいたった。一方同様に刈られたレンリソウは、大きく育ってはきたが、つぼみはできない。やはり1年に2度の開花は無理なのだろうか。これらが草刈りの時期について考える上で、役立つデータになればと思う。カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、コジュケイ、トビ、キジバト、ヒメアマツバメ、ツバメ、イワツバメ、ウグイス、セッカ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト。

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11時過ぎ、外から「ホッホッ、ホッホッ・・・」という声が聞こえてきた。東久留米の団地に住んで20年になるが、家でアオバズクの声を聞いたのは初めてである。

 

7月22日 大丸堰上流

曇りときどき晴れ。遠くでクマゼミが鳴いている。カワウ、ササゴイ、コサギ、チュウサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、コジュケイ、トビ、イカルチドリ、コアジサシ、キジバト、コゲラ、ヒバリ、ツバメ、イワツバメ、ヒヨドリ、ウグイス、セッカ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

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16日に『大丸用水堰付近の樹木伐採に関して(情報提供とお願い)』を送付した東京都下水道局南多摩水再生センターより返信があった。センター内の環境整備の一環として、来場者に多摩川の自然観察を楽しんでもらえるように、旧し尿処理場跡地周辺の公園整備を進めており、今後、公園内に植樹も増やし、鳥と緑の楽園として都民の憩える場所を提供していきたい。また、将来的には多摩川土手側から入場するルートも整備して、広く都民に開放していきたい、とのこと。

 

7月23日 多摩川水源

晴れときどき曇り。

朝、16日にハチクマを見た場所に車を止めると、1匹のスズメバチ(キイロ-?)が飛んできた。出るのをためらっていると、2匹、3匹・・・10匹近くに増え、車にボンボンとアタックしてくるではないか!誰かが巣に刺激を与えてしまったのだろう。とにかく車から出なくて良かったが、夕方、帰りがけに通ってみても同様である。今後のことも心配なので、林道の入り口にある都水道局落合出張所に報告しておいた。刺傷者が出ないと良いが・・・。ところで、ハチクマはスズメバチ類も餌にしているそうだが、刺されても大丈夫なのだろうか。鷹とはいえ、熊ならともかく・・・。

作場平で蜂が襲ってこないのを確かめて車を下り、登山道を2時間ほど歩く。真新しい食痕(アカゲラ?→持ち帰って友人に見てもらったらオオアカゲラとのこと)を発見。近くにナンバープレートを外したモトクロスバイクが止めてある。近くに人影はなく、山仕事に来たようすでもないが・・・。

両側に笹が茂った上り坂に差し掛かる。こんなところで熊に遭わないといいな・・・と思った瞬間、右手の笹薮でガサガサッと大きな物音が!距離は30mほどだろうか。僕とは反対の方向に駆けていく、と思った途端、相手の動きが止まった。小さくヤッホーとつぶやくと、再び走り出し、遠ざかっていった。一面に茂った笹で姿はまったく見えなかったが、かなり大きな動物であることはわかった。呼吸を整えて歩き出す。ヤッホーと言いながら。4、5分歩いただろうか。今度はさっきよりももっと近くでガサッ!まだいたの!!と氷になる。ただ相手は一目散に逃げていく。笹薮の隙間に茶色いけものの姿がはっきり見えた。鹿だ・・・とわかった途端、腰から下の力が抜けた。

 他にも小さなことはいろいろあったが、とにかく印象深い?一日だった。

 

7月24日 永田地区

晴れ、猛暑。「カワラノギク・プロジェクト」の活動日。自生地に繁茂してきたクズやピラカンサの剪定作業をした後、日陰に移動して今後の作業日程について話し合い、午前だけで解散した。昨秋にシナダレスズメガヤを引き抜いてつくった裸地に実生が定着し、数百のロゼットが確認できるが、この灼熱の夏を乗り切ることができるだろうか。

 

7月25日 大丸堰上流

晴れ、猛暑。ツクツクボウシが鳴きはじめた。猛暑続きで多摩川の水量が減っており、水際はヘドロ臭い。ひと雨ほしい。

仕事を終えた夕方、川原を渡る風が心地よい。カワラナデシコの花があちこちで開きはじめた。その数は昨年よりも多い。それから、7月に入ってから8日間、計19時間の観察でわずかに1度きり、それも4〜5秒しか姿を見せなかった(無論見逃しているのだろうが)オオタカを、3回も見ることができた。

カワウ、ゴイサギ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、コジュケイ、オオタカ、キジバト、ヒバリ、ツバメ、イワツバメ、ウグイス、セッカ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト。

 

7月26日 大丸堰上流

曇りときどき晴れ、一時雨。22日のチュウサギに続き、今日はアマサギも見ることができた。19時少し前になると、やはりツバメの群れが上流へ移動していく。カワウ、ゴイサギ、アマサギ、コサギ、チュウサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、コジュケイ、トビ、チョウゲンボウ、ヒバリ、ツバメ、ウグイス、セッカ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、ハシブトガラス。

 

7月27日 羽村堰〜多摩川中央公園ほか

晴れ、猛暑。土手にススキが茂ってきたが、ノジトラノオに代わってカワラナデシコやアキカラマツも咲きはじめた。今日はリバーシビックマネージャーの「多摩川合同巡視」があり、羽村堰から多摩川上流出張所まで、現地を歩きながら情報・意見交換をした。永田橋の下流で、右岸の土砂堆積場(砂利を洗ったヘドロが流出している)の件を河川管理者に尋ねたところ、「使用者が“ここは河川区域になるずっと前から自分の土地だった”と主張して撤退せず困っている」とのことだった。今日は猛暑の中、平日にもかかわらず10名ほどの参加があり、「このような企画は大変有意義なので、ぜひ2回、3回・・・と継続してほしい」、「次回は大勢の人が参加できる休日に行ってほしい」など、前向きな意見がたくさん出された。

夕方、根ヶ布へ。コジュケイ、オオタカ、キジバト、アオゲラ、コゲラ、ツバメ、ヒヨドリ、ウグイス、クロツグミ、イカル、シジュウカラ、メジロ、ハシブトガラス、ガビチョウ。

 

7月28日 大丸堰上流

晴れ。暑いが風あり。エンマコオロギが鳴きはじめた。カワウ、ゴイサギ、コサギ、チュウサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、トビ、チョウゲンボウ、キジバト、ヒバリ、ツバメ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ウグイス、セッカ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト。

 

7月30日 青梅

曇りときどき晴れ。にわか雨あり。夕方から青梅で会合があるので、早めに行って周辺の自然観察。

釜の淵公園に着くと、消防車やパトカーが何台も集まっている。見れば多摩川は濁流。台風10号の影響で、上流域では短時間に豪雨がザァッと降ったり晴れたり。急激な増水で岸に戻れなくなった人が救出されたようだ。無事で何より。

根ヶ布の森へ。一時的なものかもしれないが、沢の水が増えて嬉しい。しばらく雨が降らなかったらどうなるだろうか。犬が一匹、山道をこちらに向かってまっしぐらに駆け下りてくる。と思ったらタヌキ。タヌキは走るのに夢中で(何か怖いことでもあったのかな)、僕にはまったく気付かない。5〜6mのところまで来て、はじめて僕と眼が合うと、ワッ!という感じでブレーキをかけ(ズズッとすべる)、脇の藪に駆け込んだ。思わず笑ってしまった。