多摩川散策日記2004年11月)

文:上田大志

 

 

11月2日 大丸堰周辺

晴れ。大栗川合流点上流のオギ原(最近はオオブタクサの繁茂が目立つが)がきれいさっぱり刈り取られてしまった。防火のために毎年この時期に行われているのだが、ここに生息する動植物に対してはどのような影響があるのだろうか。

カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、マガモ、カルガモ、キジ、コジュケイ、ミサゴ、トビ、オオタカ、ハイタカ、チョウゲンボウ、イカルチドリ、ユリカモメ、キジバト、カワセミ、コゲラ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、モズ、ジョウビタキ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、シジュウカラ、メジロ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

11月3日 大丸堰周辺

晴れ。土手を下りるや目に入ったのは、原っぱに散らばっているカルガモの羽。犯人は十中八九オオタカだろう、事件は今朝早くかな、と思って顔を上げると、中州の樹上からオオタカ(成鳥♂)がこちらを睨みつけているではないか!彼が食べたのかどうかはわからないが、腹が少し膨らんでいるように見えた。真っ白な胸がほんの少し赤黒く汚れているのは、ひょっとして・・・血!?

日中、原っぱは大勢の人で賑わったが、誰も足元に散らばっている羽には気付かない。また気付いてもよほど関心のある人でないと気に留めないのかもしれない。先日のNACS-J講習会で、講師の方から「高尾山に行ったときに、坂道の真ん中にテンの糞があるのに気付いて観察していたら、そこへちょうど20人くらいのグループが通りかかったが、誰も気付かずに行き過ぎた」という話を聞いた。自然が好きで山歩きに来ている人たちでもそうなのだから。それが良いか悪いかということではないが、「ワッ!これなんだろう?」と気付く人をひとりでも増やすことが僕らの役割なんだなと思う。

カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、トビ、オオタカ、ハイタカ、ノスリ、イカルチドリ、ユリカモメ、キジバト、コゲラ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ジョウビタキ、カワラヒワ、ハシブトガラス、ドバト。

 

11月4日 大丸堰周辺

晴れ、暖かい。いつものように野鳥観察をしていたら、偶然多摩川センター時代の同僚と連光寺小学校の生徒たちがやってきて、臨時講師に・・・。カワセミをみんなでじっくり観察できたのが何よりの収穫。この場所の自然の豊かさを感じてもらえたかな。

カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、マガモ、カルガモ、キジ、コジュケイ、トビ、オオタカ、ノスリ、ハヤブサ、チョウゲンボウ、ユリカモメ、キジバト、カワセミ、アオゲラ、コゲラ、ヒバリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ジョウビタキ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

11月6日 永田地区

晴れ、暖かい。『カワラノギク・プロジェクト』の活動日。永田橋から上流を見渡すと、実験区の辺りに薄紫の霞がかかったように見える。今日はカワラノギクの“お花見”に加えて、実験(A工)区内の開花株とロゼットの数を数えた。と言ってもとても全部は数え切れないので、1m×3mの方形枠を12箇所つくり、その中にある数をもとに実験区全体の数を推定した。

実験区全体に広がったカワラノギクの花園・・・2001年6月から3年半、活動の第一目標は達成することができたと思うが、「カワラノギクが自らの力で生きていくためのお手伝いをする」という基本理念のもとに、この実験区をどのように管理していくのか、残された自生地の保全活動はどうするのか、他の団体とどのように連携をはかっていくのか、など今後の課題も多い。

 

11月7日 手賀沼

晴れ、暖かい。6、7日と「第4回ジャパンバードフェスティバル」が千葉県我孫子市の手賀沼で行われた。親水広場には市民団体、メーカー、エコツーリズムなどの展示が軒を並べ、僕の所属する自然環境アカデミーでは、デジカメ(&デジスコ)写真をその場でプリントしてパネルに貼り、手賀沼生き物マップをつくった。

 

11月8日 大丸堰周辺

曇り。カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、コジュケイ、トビ、オオタカ、ハイタカ、ハヤブサ、ユリカモメ、カワセミ、タヒバリ、モズ、ジョウビタキ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト。

 

11月9日 一之瀬高原

快晴、暖かい。金色のカラマツの葉がハラハラと散りつづけ、ツグミの群れがクェケッと鳴きながら山を下りていく。

 

11月10日 大丸堰周辺

晴れ。大栗川合流点の野鳥観察舎付近は、バードウォッチャー、カメラマン、釣り人、散歩、ボケーッとしにくる人など、いつも大勢の人で賑わっているが、ここに来るたび、新たに捨てられたゴミを見ない日はない。以前『Birder』誌に、ゴミのポイ捨てが原因で「バードウォッチャー立入禁止」の看板が立てられてしまったところがあるという記事があったが、そのようなことは何としても避けなければならない。

カイツブリ、カワウ、ゴイサギ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、キジ、コジュケイ、トビ、オオタカ、ハイタカ、ノスリ、ハヤブサ、チョウゲンボウ、セグロカモメ、ユリカモメ、カワセミ、アオゲラ、コゲラ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ツグミ、ジョウビタキ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、メジロ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

11月13日 秋川合流点〜永田橋上流

晴れ。秋川合流点から五日市線鉄橋にかけての景観は、出水の度に大きく変わる。今回も丸石河原だったところが淵になったり、淵だったところが丸石河原になったりしている。カワラニガナの大群落は一部土を被るなどしていたが、健在だったので一安心。コサギ、ダイサギ、アオサギ、キジ、トビ、ノスリ、カワセミ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ツグミ、ジョウビタキ、エナガ、ホオジロ、アオジ、スズメ、カワラヒワ、シメ、シジュウカラ、オナガ、ハシボソガラス、ドバト、ガビチョウ。

午後は河川生態学術研究会多摩川グループの市民合同発表会に参加。僕ら市民が「多摩川でこんなことをしたい(がどうなんだろう)」というときに研究会が協力したり、関心のある人には研究会の活動にどんどん参加してもらうなどして、パイプを広げていく必要がある。まだまだコミュニケーションが不足していると思う。

 

11月16日 一之瀬高原

晴れ。弁当のあとおやつを食べていたら、匂いを嗅ぎつけたクロスズメバチが1匹、僕の唇にとまった。放っておけば大丈夫だろうと無視していたら、20分以上も居座られた。やれやれ・・・。これがオオスズメバチだったら我慢できなかったかもしれない。カラマツの黄葉も終わり、多摩川源流は間もなく冬を迎える。トビ、ノスリ、クマタカ、チョウゲンボウ、ツグミ、エナガ、ホオジロ、コガラ、ヒガラ、カケス、ハシブトガラス。

 

11月17日 大丸堰周辺

晴れ。カイツブリ、カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、コジュケイ、トビ、オオタカ、ハイタカ、ノスリ、チョウゲンボウ、イソシギ、セグロカモメ、ユリカモメ、キジバト、カワセミ、アオゲラ、コゲラ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、ツグミ、ジョウビタキ、ホオジロ、アオジ、スズメ、カワラヒワ、シメ、メジロ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

11月18日 大丸堰周辺

曇りのち雨。大栗川合流点上流の多摩川は、先月の出水で右岸側の高水敷がかなり削られた。2001年に削られた左岸側を補強したら、その反動で反対側が・・・ということだろうか。また護岸工事でもすることになったらやっかいだ。カイツブリ、カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、コジュケイ、トビ、オオタカ、ハイタカ、ノスリ、ハヤブサ、チョウゲンボウ、ユリカモメ、キジバト、カワセミ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、ツグミ、ジョウビタキ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、シメ、メジロ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

11月19日 大丸堰周辺

曇りときどき雨、肌寒い。カイツブリ、カワウ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、キジ、トビ、オオタカ、ノスリ、ハヤブサ、ユリカモメ、キジバト、ヒメアマツバメ、カワセミ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ツグミ、カワラヒワ、ムクドリ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト。

 

11月20日 残堀川

晴れ、小春日和。「多摩川水流解明キャラバン〜残堀川」が行われ、残堀川を上流から下流まで(瑞穂町〜武蔵村山市〜立川市)バスで移動しながら見学した。残堀川は流域の都市化と下水道の普及によって水量が減少し、さらに改修工事で河床を掘り下げたことで瀬切れが目立つようになり、中流部にはふだん水がほとんどない状態だが、先月にかなり降水量があった恩恵で、この日は浅いながらも水が流れている区間が多かった。出水時にはかなり水位が上がるのだろう、改修工事(いわゆる50mm/h対応)によって、両岸から水面までの高低差がかなりつけられている。治水上、安全を確保するのは当然だが、水源となる湧水の保全や雨水浸透などにも積極的に取り組み、川らしさを取り戻していく必要があるだろう。見学地点は、狭山池〜丸池、滝田谷津、富士塚橋付近の親水広場、玉川上水の交差地点、昭和記念公園の洪水調節池、滝口橋下流〜根川緑道、錦町下水処理場(意見交換)。

 

11月21日 福生〜青梅市地先の多摩川

晴れ、小春日和。多摩川の自然を守る会、定例自然観察会。「カワラノギクプロジェクト」の実験区、羽村堰下流の育成地、上流の花壇など、程度や考え方の違いはあれ、カワラノギクが人の手によって管理されている場所と、数箇所の自生地を観察し、この絶滅が心配される植物の保護について考えた。

 

11月23日 三頭山

晴れ、小春日和。自然環境アカデミーの「初冬の三頭山かんさつ会」で檜原都民の森へ。奥多摩周遊道路沿いの駐車場から森林館、三頭ノ大滝を経て、沢沿いに山頂下の避難小屋までのコースを往復した。この秋、三頭山鳥獣保護区内に特別保護地区が新設され、ブナやミズナラ、シオジなどの天然林に囲まれた沢沿いのハイキングは魅力的だが、都民の森ということで観光地といった感も強い。

 

11月24〜25日 手取川

仕事の関係で石川県の手取川を見る機会があった。白山を水源として日本海に注ぐ延長72kmの急流河川で、河口の直前まで丸石河原や中州が広がり、海から溯上してきたサケも見ることができた。

 

11月27日 大丸堰周辺

快晴、暖かい。ハヤブサが捕らえたドバトを飛びながら、また中州に下りて食べる様子を観察することができた。カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、マガモ、トビ、オオタカ、ハイタカ、ハヤブサ、チョウゲンボウ、ユリカモメ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、カワラヒワ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

11月28日 渡良瀬川

快晴、暖かい。Hobbys World主催の野鳥観察会「渡良瀬遊水地バスツアー」に参加。東北道の加須インターから利根川を渡って目的地へ。シラコバトや貯水池(谷中湖)のカモ類などを観察した後、渡良瀬川沿いの広大なヨシ原で猛禽類を探した。ノスリやチュウヒがたくさん飛んでいる。コチョウゲンボウもやってきた。そして夕方、バスに乗り込む直前になって、鮮やかなグレーのハイイロチュウヒ(オス)が2羽、ヨシ原の上をゆっくりと飛び回ると、周りから一斉に歓声が上がった。僕が確認した野鳥は、カイツブリ、カンムリカイツブリ、カワウ、ダイサギ、コサギ、アオサギ、コハクチョウ、マガモ、カルガモ、コガモ、オカヨシガモ、ミコアイサ、ミサゴ、トビ、オオタカ、ハイタカ、ノスリ、ハイイロチュウヒ、チュウヒ、ハヤブサ、コチョウゲンボウ、チョウゲンボウ、キジ、オオバン、シラコバト、キジバト、コゲラ、ヒバリ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ジョウビタキ、ツグミ、ウグイス、スズメ、ムクドリ、オナガ、ハシボソガラス、ドバト。