多摩川散策日記2003年4月)

文:上田大志

 

 

4月3日 氷川渓谷(82〜83km付近)

晴れ。渓谷を渡る微風と瀬音が心地良い。

 

4月5日 宿河原(22km付近右岸)

雨風強く、寒い。市民グループ「クリーンエイド@たま」主催の「多摩川クリーンエイド2003」に参加。荒れ模様の天候にもかかわらず、熱心な参加者が15名ほど集まり、短時間だが、せせらぎ館周辺のゴミ拾いをした。ズブ濡れになってせせらぎ館に戻った後は、野草粥、おひたし、草団子など、みんなで多摩川の春を味わいながら語り合い、楽しいひとときを過ごした。

 

4月6日 大丸用水堰上流(33km付近左岸)

晴れ、多摩川ふれあい教室へ。多摩川はササ濁り。周辺の桜は昨日の嵐で散ることもなく、まさに見頃。コサギ、ダイサギ、コガモ、カルガモ、トビ、チドリsp、ツバメ、イワツバメ、ハクセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、ツグミ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、メジロ、オナガ、ハシブトガラス、ドバト。

 

4月12日 大丸用水堰上流(32〜34km付近左岸)

曇りのち時々小雨、多摩川ふれあい教室へ。

読売新聞社前の護岸工事がはじまった。石河原を何台ものダンプとユンボが動き回り、瀬替えのために多量の土砂を移動させている。我が家を踏み潰されたチドリたちが「ピィ、ピィ…」と怒りの声をあげて飛び回っている。

今朝は府中市民の多摩川一斉清掃日。子どもからお年寄りまで大勢の方が熱心にゴミを拾っている。そこにはいつもふれあい教室に来てくれる子の姿も。

何株か見つけたタンポポは、いずれも小ぶりだがカントウタンポポ。郷土の森のケヤキが芽吹きはじめた。

カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、コガモ、カルガモ、キジ、コジュケイ、トビ、コチドリ、コゲラ、ヒバリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、ウグイス、ツグミ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、メジロ、ハシブトガラス、ドバト。

 

4月13日 大丸用水堰上流(33km付近左岸)

晴れ、初夏の陽気。多摩川ふれあい教室へ。

護岸工事による瀬替えに伴い、左岸側の流れは浅くなり、茶色く澱んでいる。このまま埋め立てが進んで、万一流れが涸れてしまうようなことがあると、生き物の生息と繁殖に影響が出るばかりか、中州への立ち入りによる自然破壊のおそれもある。一刻も早く、もとの静かな自然が取り戻されることを願う。

今日は定例自然観察会「多摩川の春を味わおう!」。川原でヨモギの若葉を摘み、草団子をつくって味わった。野外料理ということで、準備から後片付けまで大忙しだったが、最高の日和と大勢の参加者に恵まれ、心地良い疲れを覚えながら帰路についた。

ダイサギ、カルガモ、キジ、コチドリ、イソシギ、キジバト、コゲラ、ヒバリ、ハクセキレイ、タヒバリ、ウグイス、セッカ、ツグミ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、ハシボソガラス、ハシブトガラス。

 

4月18日 東久留米

夜になっても蒸し暑い。「ジー…」クビキリギスが鳴きはじめた。

 

4月19日 大丸用水堰上流(32〜33km付近左岸)

晴れ、初夏の陽気。多摩川ふれあい教室へ。

ニセアカシア林が芽吹きはじめた。すっかり緑におおわれた土手にはハタザオの群落。コウゾリナも咲きだした。「バシャンバシャン…」大きなコイが産卵している。“白いハンカチ”コアジサシもやってきた。

読売新聞社前の水辺は埋め立てられてしまったが、その下流左岸側の流路に僅かながらも水が流されていて、とりあえずホッとした。

コサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、キジ、コジュケイ、コチドリ、イソシギ、コアジサシ、ツバメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ウグイス、セッカ(多)、ツグミ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、オナガ、ハシボソガラス、ハシブトガラス。

 

4月20日 野川公園

曇りときどき小雨。「ココーキキョーキー」新緑の雑木林にイカルの澄んだ声が響く。

野川流域連絡会では水質分科会のメンバーを中心に、市民、自治体、学識者などが共同で野川の実態を調査した結果を公の場で発表し、野川の環境を良くするための市民の取り組みや自治体の施策に活かしていくことを目的に「野川の通信簿」をつくっている。今日はそのたたき台を現地でテストしてみようということで、設問内容を吟味しながら、断面積と流速から流量を測定したり、パックテストによる水質調査などを行った。

 

4月22日 睦橋付近(48〜50km付近)

晴れ、爽やかな一日。

タチヤナギ、シダレヤナギ、コゴメヤナギなど各種の柳とハリエンジュの新緑が美しい。陽だまりにはカントウタンポポの群落。「ケー、ケーッ」草原のあちこちでキジが鳴いている。「キョロン、キュルル」ツグミが歌を思い出そうとしている。カジカガエルの声も。丸石河原を歩くときはチドリの卵を踏まないように気をつけて!昨秋見つけたカワラニガナの群落は?レモン色のかわいい花をたくさん咲かせている。子どもの頃から、この花を見ると何故か氷砂糖の味をイメージしてしまうのだが、石ころばかりの厳しい環境の中で、小さくもたくましく生きている姿は高山植物を連想させる。

カワウ(1)、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、キジ(多)、トビ、イカルチドリ、キジバト、アマツバメ、ヒメアマツバメ、カワセミ、ヒバリ、ツバメ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ツグミ(多)、ホオジロ、アオジ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、ハシボソガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

4月26日 大丸用水堰上流(33km付近左岸)

曇りときどき晴れ、蒸し暑い。多摩川ふれあい教室へ。

コウゾリナ、ノヂシャ、ヘラオオバコなどの花。ハリエンジュ、ノイバラのつぼみ。カラスムギの穂が出てきた。

工事地点下流の石河原に重機が入ったらしく、澪筋が掘削されていたが、何のためにそうしたのだろうか。その河原にはオオカワヂシャ、カキネガラシ、ナガミヒナゲシ、セリバヒエンソウ、オランダミミナグサなどの帰化植物が広がりつつある。残念ながら河原植物は見つからなかった。

カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、コジュケイ、コチドリ、イソシギ、コゲラ、ヒバリ、ツバメ、ハクセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、ウグイス、セッカ、ツグミ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、オナガ(多)、ハシブトガラス、ガビチョウ。

 

4月27日 永田橋上流(52〜53km付近右岸)

曇りのち晴れ。永田地区のカワラノギク復元活動。野生個体群を観察した後、実験区で先月に播種した場所の芽生え状況と、越冬したロゼットの数を確認した。今後、除草作業などの際には、自然に種がこぼれて発芽した方形区外の実生にも気をつける必要がある。

草花湿地にある沼の新緑が美しい。フジの花が満開。土手にはキンポウゲ。ツマキチョウが飛び、イヌコリヤナギの綿毛が舞いだした。

ダイサギ、カルガモ、キジ(多)、コジュケイ、キジバト、カワセミ、コゲラ、イワツバメ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、オオヨシキリ、ツグミ、ホオジロ、スズメ、ムクドリ、シジュウカラ、オナガ、ドバト、ガビチョウ(多)。

 

4月29日 大丸用水堰上流(32〜33km付近左岸)

晴れ、多摩川ふれあい教室へ。アカバナユウゲショウが咲きはじめた。緑色の紐のようなオニグルミの雄花は終わり、紅い雌花が残っている。カワウ、コサギ、ダイサギ、カルガモ、キジ、コジュケイ、トビ、コチドリ、イソシギ、コアジサシ、キジバト、カワセミ、ヒバリ、ツバメ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、ウグイス、オオヨシキリ、セッカ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、メジロ、ハシブトガラス、ドバト。