多摩川散策日記2003年12月)

文:上田大志

 

 

12月3日 大丸用水堰上流

晴れ。目の前に100羽ほどのカワウの群れが舞い降り、水際でガサガサを始めた。あっという間に数十匹(100匹以上かもしれない)の小魚を平らげると、バシャバシャと水しぶきをあげて下流に飛び去った。カイツブリ、カワウ、ダイサギ、アオサギ、マガモ、コガモ、カルガモ、オカヨシガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、オオタカ(若鳥)、オオバン、イソシギ、セグロカモメ、ユリカモメ、カワセミ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、キセキレイ、ヒヨドリ、ツグミ、ジョウビタキ、ホオジロ、アオジ、スズメ、カワラヒワ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト。

 

12月6日 大丸用水堰上流

曇り、寒い。多摩川ふれあい教室へ。カワウ、ダイサギ、カルガモ、チョウゲンボウ、オオバン、ユリカモメ、キジバト、コゲラ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、ツグミ、スズメ、カワラヒワ、オナガ、ハシブトガラス、ドバト。

 

12月7日 大丸用水堰上流

晴れ、暖かい。多摩川ふれあい教室へ。カイツブリ、カワウ、ダイサギ、アオサギ、マガモ、カルガモ、オナガガモ、コジュケイ、ハイタカ、チョウゲンボウ、オオバン、ユリカモメ、キジバト、コゲラ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、ツグミ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、メジロ、ハシブトガラス、ドバト。

 

12月10日 三窪高原

晴れ。飛龍山は薄らと雪化粧をしている。稜線は風が強く猛烈に寒いが、森の中は暖かだ。厚く積もったブナやミズナラの落ち葉を踏みながら、静かな山歩きを楽しんだ。

奥多摩湖はほぼ満水(貯水率95%)。ホシハジロが1羽飛んできた。

 

12月13日 柳山公園〜羽村堰

晴れ。「カワラノギク・プロジェクト」の作業日。大増水による実験地のカワラノギクの流失に備えて種子を採取するとともに、来春にカワラノギクの発芽を妨げそうな丸石の縁に芽生えているヒメムカシヨモギなどの実生(ごく小さい)を除去した。また、今後に向けてこれまでの活動の課題を出し合った。

カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、キジ、トビ、イソシギ、キジバト、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ツグミ、ジョウビタキ、ホオジロ、カシラダカ、アオジ、スズメ、カワラヒワ、シジュウカラ、メジロ、ハシボソガラス、ドバト、ガビチョウ。マユミやツルウメモドキの実。

 

12月14日 大丸用水堰上流

晴れ、暖かい。多摩川ふれあい教室へ。カイツブリ、カワウ、ダイサギ、アオサギ、コガモ、カルガモ、オオタカ(若鳥)、オオバン、セグロカモメ、ユリカモメ、コゲラ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、ツグミ、ジョウビタキ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、シジュウカラ、メジロ、ハシブトガラス、ドバト。

今日は定例自然観察会「多摩川でクリスマスリースをつくろう!」。クズのつるをベースに、ヘクソカズラ、センニンソウ、ノイバラなどを使ってオリジナル・リースをつくった。多摩川の植物をかんさつしながら、現地で材料を集めたことが好評だった。大勢の参加者と天候に恵まれ、土手の陽だまりで楽しい時間を過ごした。

 

12月18日 羽村

晴れ。羽村堰の魚道には水が勢い良く流れている。堰下の河原に「どんど焼き」のやぐらがつくられた。羽用水は水量豊富。用水沿いに小道がつけられていたので、中州の探検もした。カイツブリ、カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、マガモ、コガモ、カルガモ、ホオジロガモ、トビ、イカルチドリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ツグミ、ジョウビタキ、ホオジロ、アオジ、カシラダカ、スズメ、カワラヒワ、シメ、シジュウカラ、ガチョウ?、ドバト。

 

12月18日 多摩川上流部

カワラノギクの群落を発見した。この秋に開花した株100以上、ロゼット個体数千。おそらく自生のものと思われる。

 

12月20日 大丸用水堰上流

晴れ、寒い。多摩川ふれあい教室へ。カイツブリ、カワウ、ダイサギ、アオサギ、ヒドリガモ、キンクロハジロ、トビ、オオタカ(成鳥および若鳥)、イソシギ、セグロカモメ、ユリカモメ、キジバト、ヒバリ、ハクセキレイ、キセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ツグミ、ジョウビタキ、ホオジロ、アオジ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、メジロ、ハシブトガラス。いつもの?若タカに会うことができたが、心なしかやつれて見える。まだ冬は始まったばかり。たくましく生き抜いてほしい。

 

12月21日 平井川から多摩川・秋川合流点へ

快晴。多摩川の自然を守る会の定例自然観察会。東秋留駅〜二宮神社〜平井川というコースで睦橋方面へ。広大な河川敷に大小の沼・オギ原・ハリエンジュ林・丸石河原などが広がり、僕の一番好きな場所のひとつである。昼休み、カワラニガナの群落やオオタカの飛翔を眺めながら、“多摩川らしい”野草の保護について話し合う。帰りには石川酒造で恒例の“望年”会も。カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、マガモ、コジュケイ、トビ、オオタカ、ノスリ、チョウゲンボウ、イソシギ、キジバト、カワセミ、セグロセキレイ、キセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ツグミ、ジョウビタキ、エナガ、ホオジロ、カシラダカ、スズメ、カワラヒワ、シメ、ムクドリ、シジュウカラ、メジロ、ドバト。

 

12月23日 大丸用水堰上流

快晴、暖かい。多摩川ふれあい教室へ。カワウ、ダイサギ、アオサギ、マガモ、コガモ、オカヨシガモ、ヒドリガモ、キンクロハジロ、オオタカ(若鳥)、セグロカモメ、ユリカモメ、キジバト、コゲラ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ツグミ、ジョウビタキ、ホオジロ、アオジ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、メジロ、オナガ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト。

 

12月24日 多摩川上流部(羽村市〜青梅市)

快晴、暖かい。18日に発見したカワラノギク群落の現地確認を、多摩川の自然を守る会・倉本さん・京浜河川事務所(上流出張所)で行い、この場所の保全策について話し合った。また、出水などでこの場所のカワラノギクがなくなってしまったときに備えて、種子を採取するとともに、方形区(1m四方)をつくって、ロゼット個体の数を数えた。倉本さんによると、「この群落は開花個体よりもロゼット個体の方が遥かに多く、現在発達中のひじょうに貴重な存在であり、ぜひとも守っていきたい」とのこと。

解散後、丸石河原を求めて上流へ。カワラニガナの大群落が復活しつつあるのが嬉しい。カワラノギク(開花個体)も1本見つけたが、周りにロゼット個体はなく、最後の1本を思わせた。

一昨年9月の出水によって、それまで存在したカワラニガナ群落の多くは流失してしまったが、同時に多摩川のあちこちに丸石河原が生まれた。幸いにも生き残った株は開花して結実し、種が周囲の丸石河原に散らばった。それから2年、新たな群落も生まれ、カワラニガナはその数をどんどん増やしている。本来はカワラノギクも同じであろう。あちこちに群落が残っていれば、出水時に生き残った株から、新たにできた丸石河原に群落を広げていくことができるはずだ。しかし、現状では、現存するわずか数箇所の群落がなくなることが、種の絶滅に直結しかねないのである。

帰宅後、柴田さんから「別の場所にも新たな群落を発見した」とのニュースが飛び込んできた。希望を胸に2004年を迎えることができそうだ。

※文中に「カワラノギク(開花個体)も1本見つけた」とありますが、これは誤りでした。柴田さんおよび倉本さんから『ホソバコンギク』ではないかとの連絡をいただきました。ここに訂正してお詫びいたします。

 

12月27日 大丸用水堰上流

明け方まで雪、のち晴れ、寒い。多摩川ふれあい教室へ。カワウ、ダイサギ、アオサギ、コガモ、オカヨシガモ、ヒドリガモ、コジュケイ、トビ、オオタカ(成鳥)、イソシギ、キジバト、セグロセキレイ、タヒバリ、ツグミ、ジョウビタキ、ホオジロ、ホオアカ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、メジロ、オナガ、ハシブトガラス、ドバト。

 

12月28日 大丸用水堰上流

快晴。明け方の冷え込みで水たまりが氷りついたが、日中は穏やかな一日。多摩川ふれあい教室へ。カワウ、ダイサギ、アオサギ、コガモ、カルガモ、キンクロハジロ、キジ、コジュケイ、イソシギ、セグロカモメ、キジバト、ヒメアマツバメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ツグミ、ジョウビタキ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、メジロ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト。

 

12月29日 大丸用水堰上流

晴れ、暖かい。多摩川の水量が減ってきた。川底の石はヌルヌル、水際はヘドロ臭い。中州に渡り、石河原を半日かけて歩き回ったが、河原植物は発見できなかった。カイツブリ、カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、コガモ、カルガモ、オナガガモ、キンクロハジロ、コジュケイ、トビ、オオバン、イカルチドリ、セグロカモメ、キジバト、ヒバリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、ツグミ、ジョウビタキ、ホオジロ、カシラダカ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、メジロ、ハシボソガラス、ハシブトガラス。

 

12月30日 是政

晴れ。南武線鉄橋下流(右岸)の工事は一休み。今日も石河原を歩き回る。カワラサイコの大群落が無事で何より。風裏の陽だまりでホトケノザが咲き始めた。帰り際にいつもの?オオタカ(成鳥)がやってきた。こちらを向くと雪のように真っ白。ふっくらとしていて隣に止まったハシブトガラスよりも大きく見える。