多摩川散策日記2002年6月)

文:上田大志

 

 

6月1日 多摩大橋〜日野用水堰上流(44〜46km付近/両岸)

晴れ、暑い。小宮駅から日野用水堰(右岸)へ。右岸側に立派な魚道ができあがったが、魚道下の澪筋は細い。魚たちは、近々新設されるという左岸側の魚道を心待ちにしているだろう。むせかえるようなクリの花の匂い。土手にはノアザミ、ブタナ、コウゾリナ、ホタルブクロ、タツナミソウ、ミヤコグサなどが咲き乱れる。「ケー、ケーッ」、あちこちからキジの声が聞こえてくる。今日もラジコン飛行機が飛んでいる。サバイバルゲーマーも10人ほど行動中。交通量が非常に多く歩道が異常に狭い多摩大橋を渡って、左岸へ。多摩川上流処理場からの排水路には、サンカクイが青々と茂り、カルガモ親子のいい隠れ家になっている。高水敷にはグラウンドが続く。

今日は「多摩川と生きる昭島市民の会」の植物調査に参加。八高線鉄橋下から日野用水堰へ、水遊びの親子連れで賑わう水辺を歩いて行く。カワヂシャがたくさん見られるが、下流で急増しているオオカワヂシャは1本も見当たらない。ノイバラの花は終わったが、代わってテリハノイバラが咲き出した。オギが一気に茂ってきたので、ヤブコギの連続。ウキヤガラやタコノアシなども観察。日野用水堰上流に造成している“ワンド型ビオト−プ”を見学。ワンド内には本流からの水が入っているが、周りにはロープが張られており、今後も工事が続けられるとのこと。堰の下流で石河原の広がる中州に渡って、鉄橋まで戻る。

観察できた野鳥は、カイツブリ、カワウ、ダイサギ、カルガモ、キジ、コゲラ、ヒバリ、ツバメ、イワツバメ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ウグイス、オオヨシキリ、セッカ、ホオジロ、スズメ、ムクドリ、シジュウカラ、オナガ、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

6月2日 是政橋〜大丸用水堰上流(31〜33km付近)

晴れ、暑い。南多摩駅から是政橋を渡って、多摩川ふれあい教室へ。近くで事故でもあったのか、上空を消防庁のヘリコプターが旋回し、消防車がサイレンを鳴らしながら通り過ぎる。是政橋付近の石河原の中州は、すっかり緑に覆われた。南武線鉄橋下の高水敷は、帯状に草が刈られている。カワラサイコが咲き出した。コマツナギの花も。グラウンドの脇にはニワゼキショウ。白い花と紫の花とがあり、なかなかきれいだ。あちこちにテリハノイバラの見事な群落も見る。カワウ、コサギ、ダイサギ、カルガモ、カワセミ、ヒバリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ウグイス、オオヨシキリ、セッカ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、ハシブトガラス、ドバト。

 

6月4日 一之瀬川本谷(124〜128km付近)〜笠取山一帯

早朝、適度な湿り気のある空気がおいしい。作場平から笠取山へ向かう。

カラマツ林は「ムゼー…」とハルゼミの声一色。鳥の声が聞こえないほどの大合唱だ、と思ったら、ミズナラ林に入った途端に、ピタッと鳴き止むからおもしろい。シロバナノヘビイチゴ、キンポウゲの花。ニリンソウも名残の花を咲かせている。ウグイス、メボソムシクイ、エゾムシクイ、センダイムシクイ、どれも姿はそっくりなのに、声はまるで違う!

ヤブ沢峠を通って笠取小屋へ。静さんが新しい小屋を建てている。水干は“文字通り”水が干上がっている。すぐ下の湧き水で喉をうるおす。黄色い菫はキバナノコマノツメ。大きな桜草のクリンソウも咲き出した。

左の坂を登って笠取山山頂へ。木の根や岩が張り出してくる。オオカメノキ、イワカガミの花。そして昼なお暗い原生林のあちこちに、ピンクのアズマシャクナゲが咲き乱れる。その様は派手ではないけれど、とても幻想的で、奥秩父らしい味わいがある。もしここへ来るのが1週間遅かったら、こんなすばらしい光景に出会うことはできなかっただろう。

笠取山西面の急坂を下り、雁峠で昼食。高原を吹き抜ける風が心地良い。広々としていて開放感あふれる場所だが、周りをよく見ると、ゴミがたくさん落ちていてがっかりする。レンゲツツジはまだ咲いていない。

笠取小屋まで戻り、一休坂を下る。

ホトトギス、コゲラ、ビンズイ、ミソサザイ、ウグイス、メボソムシクイ、エゾムシクイ、センダイムシクイ、アカハラ、コマドリ、コルリ、ルリビタキ、オオルリ、ホオジロ、ヒガラ、コガラ、カケス、ソウシチョウ。遠くでキビタキらしき声も。

 

6月7日 多摩川市民フォーラム・「水流実態解明プロジェクト」についての勉強会

多摩川の水質に関して、現状と課題をきちんと認識しておこうと、多摩川市民フォーラムで勉強会を行った。

最近の多摩川は、下水処理場の努力でBODが下がり、着実にきれいになってきている。しかし、中・下流部を流れる水の大半が、その処理水であることに変りはなく、多摩川の水を水道水源とすることに対して、住民のコンセンサスを得ることが難しいという現状がある。大腸菌や硝酸窒素を取り除くことも課題である。下水処理場のさらなる改善を図り、関係する機関相互の連携を促していくことが欠かせない。しかしそのためには、まず私たち市民が、多摩川が水道水源であることを認識するとともに、その川をきれいにするために自分たちのできることから行動を始めよう、という心がけが重要だろう。

多摩川市民フォーラムでは、多摩川を“飲める水にする”ためのシンポジウムやフィールドワークの企画がすすんでいる。

 

6月8日 永田橋〜羽村堰(52〜54km付近/右岸)

永田地区のカワラノギク復元活動(第2回)。3月にまいた種から発芽した実生が、他の植物に負けずに生長できるように、競合する植物の草むしりをした。倉本先生の指導のもと、作業には20名以上が参加。

朝から晴れて暑いが、河原を吹く風ははさわやかだ。3月に来たときは工事が終わったばかりで、辺りは草1本生えていない広い丸石河原だったが、もうオオブタクサやメマツヨイグサなどが育ちつつある。まだ小さな実生を踏まないように気をつけながら作業をすすめる。その後、ちょうど1年前に種をまいた方形区の草むしりもする。冬を越した2年目のカワラノギクは元気に育っており、順調にいけば、秋にはたくさんの花を咲かせることだろう。

アユ釣りが解禁になり、河原には大勢の釣り人。「ピィ、ピィ…」、営巣中のイカルチドリが飛び回っている。カッコウ、ホトトギス、オオヨシキリ、ホオジロ、ガビチョウ…、河川敷の広い林はとても賑やかだ。

帰り道、土手の植物を観察しながら羽村まで歩く。ノアザミ、ナンテンハギ、テリハノイバラなどの花。ノジトラノオの花序も大きくなってきた。

 

6月11日 二子橋(18km付近右岸)/宿河原(22km付近右岸)

二子新地駅から多摩川へ。高水敷はグラウンドほか人工施設ばかりだが、低水敷は小石の河原。昨秋の洪水で澪筋が左岸側に寄ったことで、河原が広がったが、河原植物は流されてしまったのか、見つからない。

 宿河原駅から多摩川へ。堰下流の早瀬で投網を打っている人たちがいる。遠くてよく見えないが、大漁のようだ。堰上流の水たまりは、減水してよどんでおり、コイやフナが元気なく泳いでいる。ヤブジラミ、ハルシャギクなどの花。

 夕方からは多摩川流域懇談会の運営委員会。話し合われたのは、水流実態解明プロジェクトのすすめ方など。

 

6月12日 宿河原(22km付近右岸)

TRMでせせらぎ館へ。梅雨に入り、昨日までとは一変して曇り空。ときどき小雨も落ちてくる。朝のうちは蒸し暑かったが、日中はどんどん気温が下がる。午前中に団体客があったものの、来館者はまばら。カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、イソシギ、コアジサシ、ヒメアメツバメ、ツバメ、イワツバメ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス、ドバト。

 

6月16日 浅川合流点〜日野橋(37〜40km付近/右岸)

多摩川の自然の守る会の定例自然観察会。曇り空だが心配された雨はない。暑くも寒くもなく、歩くにはちょうど良い。

多摩都市モノレールの万願寺駅から多摩川へ。日野バイパスの架橋、堤内側の道路建設工事がすすんでいる。昨秋の洪水で被災した四谷本宿用水堰の復旧工事もすすみ、付近の高水敷に置かれていたコンクリートブロックなどの資材は、きれいになくなっている。堰の左岸側に設置されている魚道を、水が勢いよく流れ落ちている。素人目には、こんなに傾斜が急で、うまく上れるのかな?と思ってしまうが、何しろ下流では、宿河原堰の魚道をたくさんの若アユたちが上ってくるのを、上流では、日野用水堰や羽村取水堰に魚道ができたのを見ているだけに、一安心といったところか。

カワラサイコとテリハノイバラが満開になり、まさに一面のお花畑。カワラナデシコの苗も大きくなり、花が咲くのが待ち遠しい。あちこちの潅木の上では、ホオジロが高らかに囀っている。そんなのどかな場所だが、今日はラジコン飛行機、サバイバルゲーマーの数も負けずに多い。3月に種をまいたカワラノギクはあまり育っていないようで、残念…

オギ原を抜けて浅川の合流点へ。オオヨシキリ、キジの声。浅川は減水気味で、根川への分水路に水はない。百草床固の下流に中州が発達し、植生の繁茂が著しい。クリーンセンター前の水たまりも観察。

昼食後は、ウツボグサ、ナンテンハギ、レンリソウ、ウマノスズクサなど、土手の植物を楽しみながら日野橋まで歩く。マツヨイグサ、コマツナギ、クララ、ネジバナなども咲いている。

観察できた野鳥は、カイツブリ、カワウ、ダイサギ、カルガモ、キジ、コチドリ、キジバト、ヒバリ、ツバメ、ハクセキレイ、ウグイス、オオヨシキリ、セッカ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、オナガ、ハシブトガラス。

 

6月18日 多摩大橋上流(44km付近左岸)

雨は、午後になって小降りになってきた。

TRMの“総合的学習の支援”として、昭島市立玉川小学校が多摩川で体験学習をする際のお手伝いをすることになり、担当の先生や保護者の方と一緒に、事前打ち合わせと現場の下見を行った。5年生62名が化石、野鳥、水質の3班に分かれ、多摩大橋と八高線鉄橋の間の多摩川でグループワークに取り組む。この区間の多摩川は、第三紀露頭の河原が広がり、本川に多摩川上流処理場から処理水が流れ込み、その排水路はカルガモ一家の“マンション”になっているなど、おもしろいポイントがいくつもある。子どもたちに「来てよかった」と思ってもらえるように頑張りたい。

打ち合わせを終えて帰り道、歩道橋の上から西の空を眺めると夕陽が輝いている。そして東の空にはうっすらと虹が…

 

6月19日 宿河原(22km付近右岸)

川崎市立東高津小学校の子どもたち(4年生116名)が、せせらぎ館にやってきた。やはりテーマごとに分かれて体験学習をするということで、僕もTRMのスタッフとして、野鳥のグループを担当した。

まずは宿河原堰の堰柱にいつもいる、カワウとアオサギを観察。どちらも体が大きい上に、じっと動かないので、じっくり観察することができる。双眼鏡の扱いに慣れたら、フィールドスコープで迫力のある姿を。手が届きそうなくらい近くに見える。周りにはコアジサシもたくさん飛んでいる。ときどきホバリングして狙いを定め、まっしぐらに水に飛び込む様子は、いつまで見ていても飽きない。堰下の浅瀬には、ダイサギとコサギの両方がいる。ダイサギは嘴が黒から黄色に変わりかけている。コサギの足先は黄色だ。しばらく見ていると、ダイサギが小魚を捕まえた。子どもたちは、今日見た鳥の絵を描き始めた。

 

6月21日 永田橋上流(52km付近右岸)/羽村大橋(53km付近)

晴れ、暑い。永田地区河道修復プロジェクトのモニタリングワーキング(現地見学と室内での検討会)に参加。集合時刻まで柳山公園で昼食。木陰がうれしい。

河道修復工事によって造成された丸石河原は、浮石状態なので歩きにくい。礫がなく、砂が堆積している永田橋寄りの高水敷に、ハリエンジュとオオブタクサが繁茂してきている。野鳥調査の担当者に、イカルチドリの巣(の跡)を教えていただく。巣と言っても、地面に窪みができているというわけでも、草が敷き詰められているというわけでもないので、僕ら素人ではとても気付かない。自然にできた河原よりも、植生管理を加えている場所の方に、植生が多いのは何故だろうか。これは、工事によって土砂が攪拌され、オオブタクサなどの埋土種子が発芽・生長したのではないか、とのこと。永田地区は土丹の露出と、河床の低下が深刻だ。これは、大水などで流されてきた土砂が、小作堰などに堆積してしまい、その下流側に礫が供給されないからだろう、とのこと。検討会では、このプロジェクトの目指す将来像を明確にしていくことが確認された。

 その後、一人で羽村大橋へ。橋の上から下流を観察。左岸側の河原にツルヨシが繁茂してきた。右岸側は昨秋の洪水で高水敷が大きく削り取られ、その爪痕がまだ痛々しい。橋の上流は、床固に設置された魚道の真下に、流れが集中している。魚が上り下りしやすいようにと掘削されたようだ。コサギ、カルガモ、キジ、トビ、イカルチドリ、ツバメ、イワツバメ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ウグイス、オオヨシキリ、ホオジロ、カワラヒワ、シジュウカラ、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

6月22日 大栗川合流点上流(34km付近右岸)

曇り、涼しい。多摩川ふれあい教室へ。郷土の森で、実の生っているヤマモモの木を見つける。

帰り道、関戸橋を渡って大栗川の合流点へ。昨秋の洪水で洗掘された橋下流の水際に、土嚢が積まれている。土手は草が刈り取られたばかりだが、法面にはカワラサイコやテリハノイバラが咲いている。ナワシロイチゴがおいしい。オギやオオブタクサの繁茂する藪が、3m近くの高さまで発達してきた。コサギ、ダイサギ、アオサギ、キジ、コジュケイ、ヒバリ、ツバメ、イワツバメ、ウグイス、セッカ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ。

 

6月27日 兵庫島(18km付近左岸)/第三京浜下(16km付近右岸)/稲城大橋上流(30km付近左岸)/八高線鉄橋下(45km付近左岸)/睦橋下流(49km付近左岸)/五日市線鉄橋上流(50km付近右岸)/羽村堰(54km付近左岸)/圏央道橋上流(57km付近左岸)

雨、肌寒い。国土交通省京浜工事事務所の主催で、「川の通信簿」による多摩川の親水空間の点検が行われた。

市民と行政が共同で、河川親水空間の現状についてのアンケート調査を実施し、その満足度を5段階で評価することで、その良い点と悪い点を把握し、魅力のある河川空間の保全、あるいは改善を図っていこうというもので、兵庫島公園(世田谷区)、せせらぎと親子広場(川崎市)、多摩川親水公園(府中市)、くじら運動公園(昭島市)、福生南公園(福生市)、多摩川中央公園(福生市)、羽村取水堰(羽村市)、青梅市運動公園(青梅市)の8地点をマイクロバスでまわり、それぞれ水辺へのアクセス、水質、自然度、安全性、利便施設などについてチェックを行った。

兵庫島…雨の日が続いており、本川、野川ともに水量は多く、濁りも若干入っている。本川水際の緩傾斜護岸も水に浸かっている。昨秋の洪水で縞状に激しく洗掘され、でこぼこになっていた河原は、平らに整備されているが、段差が生じて、小さなワンドのようになった窪地は、ならされずに残されている。それにしても、底がコンクリートで固められた親水池は何とかならないものだろうか。そうしないと洪水で洗掘されたり、土砂が堆積したときに、“復旧”が大変なのかもしれないが…

第三京浜下…雨が強くなり、調査シートがびしょびしょになる。きれいに整備された“緑地”と、“ワイルドフラワー”の花壇が広がる。すべてが浅く、コンクリートで固められた“せせらぎ”は、確かに安全ではあるが、生命の営みは感じられない。部分的であっても、子どもたちが生き物とふれあうことのできる空間が欲しい。

 稲城大橋上流…多摩川流域をイメージした親水公園。本川だけでなく、支流や区市町村のこと、距離感などについても工夫されているが、もう少しわかりやすく、また楽しく学べるようにするにはどうしたら良いだろうか。“せせらぎ”は、やはりコンクリートで固められているが、その上には砂利が貼り付けられている。公園の前に広がる丸石河原を横切ると、多摩川の水際に出ることができる。

 八高線鉄橋下…第三紀層の河床が剥き出しになっている光景は、何とも不思議で表現しがたい。この岩盤からは「アキシマクジラ」をはじめ、多くの化石が出土している。水遊びや自然観察、また子どもたちの体験学習の場として格好の環境だ。

 睦橋下流…高水敷は福生南公園として整備されている。自動車用通路が川沿いに公園の奥までのびており、歩行者はつまらない芝生側を歩かなくてはならない。テニスコートやゲートボール場など、川とは関係のない人工施設が目立つ。本川の反対側を流れている水路はコンクリート三面張りで、フェンスが張り巡らされている。

五日市線鉄橋上流…高水敷は多摩川中央公園として整備され、“せせらぎ”も流れているが、いつ来ても丸石河原の広がる自然の川で遊んでいる人の方が多い。

羽村取水堰…多摩川の歴史を語る上で、欠かすことのできない羽村堰と玉川上水。「投渡堰」や「筏通し場」をはじめ、堰の仕組みは江戸時代に造られた当時から変わっていないという歴史的遺産だ。上水沿いの桜並木や遊歩道、近くには郷土博物館などもあり、年間を通じて訪れる人は多い。遠足や社会科見学などで訪れる学校も多く、夏には水遊びを楽しむ親子で賑わう。多摩川もこの辺まで上ってくると、目に見えてきれいになってくるのがわかる。

圏央道橋上流…高水敷にはグラウンドが広がっている。駐車場もあり、休日にはバーベキューやデイキャンプなどを楽しむ人々で賑わう。3月の渓流釣り解禁時にも賑わうところだ。今春開通した圏央道橋の上を車がビュンビュン通っている。昨秋の洪水で丸石河原のカワラニガナは激減してしまったが、生き残った株から種が散らばり、再び群落が広がりつつあるのがうれしい。

「親水」をどう考えるか。最近は“川の中に川をつくる”のではなく、そこにある自然環境を活かし、「水辺の楽校」のように、自然の川を教育の場、遊びの場にしよう、という考え方が広まってきている。

 

6月28日 河口域の干潟(2km付近右岸)/六郷橋下流(5km付近左岸)

河口域の干潟…潮が引き、干潟が広がっている。小さなカニがたくさんいる。トビハゼが飛びはね、アオスジアゲハが水を吸いに飛んでくる。ヨシ原が茂ってきた。干潟には相変わらずコンクリートガラやガラス片などが多数散乱している。カワウ、アオサギ、カルガモ、コアジサシ、ウミネコ、キジバト、ハクセキレイ、オオヨシキリ、スズメ、ムクドリ。

六郷橋下流…雑色ポンプ所の放流渠新設工事の現況を見に行く。ポンプ所のすぐ前には、動植物の宝庫である干潟やヨシ原などが広がっており、そこに排水が直接流れ込むのを避けるため、吐口を1kmほど下流の六郷水門のところまでもっていくことになったのだ。6月に入り工事は中断、秋以降に再開されるようだ。水際(低水護岸上)の植生はきれいに刈り取られ、ホームレスホームも撤去され、地面が平らにならされている。干潟には護岸に沿って、矢板が一列に打ち込まれている。散歩をしている人(数人)から声をかけられた。「工事はもうこれで終わりなの?」「この矢板はこのままじゃないんだよね。」「カモにエサをやっていると自然観察をしている人が、“鳥が自分でエサをとれなくなるから”やめてくれって言うんだよ。」

 

6月30日 宿河原(22km付近右岸)

曇り、日中は薄日が射す。TRMでせせらぎ館へ。昨晩はまとまった雨になり、多摩川は増水気味、ササ濁り。宿河原堰下流の土丹も水に浸かって見えないが、堰のゲートを開けるほどではないようだ。アユ釣りの人多数。土手の下はじめじめとしていて、湿地の植物も見られる。カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、イソシギ、コアジサシ、ツバメ、イワツバメ、ムクドリ、ハシブトガラス、ドバト。チュウサギもいたそうだが、僕が見たときには確認できなかった。