第23回日本外来小児科学会報告 2013. 8月・9月  福岡 

 

@ 子宮頸がんとそのワクチン

日本では、年間1−2万人発症し、3,500人亡くなっています。つまり、毎日30人以上発症し、10人亡くなっています。特に20−30代で亡くなる方が多いです。ワクチンで半分以上防げます。現在、ワクチンを積極的に接種しないことになっています。このままワクチンが再開されない場合、10年後には年間数十人の重度な副作用を防げます。そのかわり、年間6,700人が、防げたはずの子宮頸がんを発症してこどもを生めない体となり、そのうち2,350人が死亡します。これが毎年続きます。

A 小児の腹痛

便秘や軽い胃腸炎など心配のないものが多いですが、ごくまれに絞扼(こうやく)性(せい)イレウス(腸がねじ曲がって通過できなくなってしまう状態)があります。腹痛に加え、顔面(がんめん)蒼白(そうはく)、呼吸困難などがある時は、大至急医療機関に受診してください。

B  乳児の肝臓の病気(胆道(たんどう)閉鎖(へいさ)など)

肝臓移植の導入により、飛躍的に治療成績が向上しました。乳歯(抜けた歯)の歯(し)髄(ずい)から幹細胞を取り出して、小さな肝臓をつくる研究も始まっています。

C タンデムマススクリーニング
新生児の先天性代謝異常症が一度に25種類以上わかるようになりました。すべて予防や治療が可能です。ひとつひとつは数十万から百数十万人に1人ですが、全部あわせると、9,000人に1人みつかります。
しかし、“見落とし”もありえます。結果から母親の病気も見つかってしまう、せっかく治療法があるのに、保険適応がない、などの問題もあります。

D こどもと歯

@) イオン飲料 : 頻繁に飲んでいると、特に哺乳瓶で飲むと虫歯になりやすくなります。酸性が強く、歯の脱灰(だっかい)がおこります。脱水回復後も頻回に飲むのは、やめましょう。

A) 母乳 : 1歳までは問題ありません。その後も飲んでいると、特に寝ながら飲むと、母乳が上の前歯にたまり、虫歯になりやすくなります。

B) おしゃぶり : 鼻(び)呼吸(こきゅう)促進(そくしん)効果(こうか)ありといわれたこともありますが、効果は疑問です。1歳すぎには減らしましょう。ホルダーをはずすと、おしゃぶりの時間が減ります。遅くとも2歳半までには中止を。さもないとスキッ歯になってしまいます。

C) 指しゃぶり : おしゃぶりと同様ですが、やめさせるのは難しいです。
3歳過ぎたら外遊びを多めに。小学生になってもしゃぶっていたら専門家に受診を。

D) 舌(ぜつ)小帯(しょうたい)短縮症(たんしゅくしょう) : 3歳までは経過観察。4,5歳で機能障害がある時は、手術を考慮します。