メディウムの基礎知識 水彩画情報源メニューに戻る Watercolor水彩画 トップへ


 水彩画を描く上で、表現をより広げるためにメディウムを使う方法があります。このHPに掲載している作品では、「マスキング液」をご紹介していますが、他にもいくつかのメディウムがありますので、ご紹介します。メディウムとは絵の具の特性(性質)を変えて、絵の具の透明感を高めるもの、のびをよくしたり絵の下地を作るものなどさまざまな物があります。どれも画材屋さんにいけば数百円〜1000円程度で買えるものばかりですので一度試してみるのもいいかもしれません


マスキング液
 このHPでも多くの作品に使用しています。塗り残したい部分にこの液体を塗ることにより、その部分にだけ、絵の具が付かないようにします。そうすることで、その部分が白く塗り残すことができます。私の場合、空に突き出た煙突や小さな屋根などはマスキングしてから空をウォッシュします。こまかな神経を使わずに一気に広い空をウォッシュできるので、ムラになることもなく安心して取りかかれるからです。上級者の中にはマスキング液を使用する事を「邪道」だと言われる方もいらっしゃいます。しかし、便利なものは使わない手はありません。
 紙から剥がすときは指でこすれば簡単に取り除けます。もし取りきれない場合でも、消しゴムで軽く擦れば問題はありません(あまり強く擦ると紙が傷むことがありますので、事前にテストすることをお勧めします)。筆で塗るのが一般的ですが、すぐに穂先が固くなるので通常は石鹸水等に浸しながら使用します。私の場合は「爪楊枝」で代用しています。
絵の具を艶やかにする
 ウインザー&ニュートンで”ガムアラビック”という名称で発売されています。成分はアラビアゴムで、この水溶液を絵の具に混ぜて描くと、発色がとても鮮やかになり、透明感も一段と高くなります。淡い(薄い)色合いの作品なども、このメディウムを使用することにより、かなり鮮やかに発色しますので、作品全体が締まって見えたりもします。
 アラビアゴムは水彩絵の具の主成分の一部で、天然ゴムを水で溶かしたものです。透明水彩絵の具に使用するには、通常水の3割程度を目安に混ぜます。私が使用する時は、3層になっている筆洗い器の一番大きい所は”筆を洗う為”に使いますので、ここは水のままにして、ほかの2つの仕切りのうち1つにこのメディウムを入れて使用しています。筆を洗ったらここに穂先をつけてからパレットの絵の具を取るようにしています。
絵の具ののびをよくする
 ”オックスゴールドリキッド”という名称で発売されています。成分は牛の胆汁からできています。広い面積などをウォッシュする場合、ムラなく均等に塗ることができます。通常はある程度のムラが逆に”水彩画らしさ”を演出しますが、必要に応じてこういうメディウムがあるということを知っておいたほうが良さそうです。また美しい”ぼかし”にも有効です。
 使用方法は、水1リットルに対し、5〜7滴ほど混ぜた溶液を使います。また、予め紙にこの水溶液を薄く塗っておく方法もあります。
注意点としては、「にじみ止め」が強い紙で使用しないと紙の中まで絵の具が浸透して、乾いた後で色が退色したように見えてしまいます。これが独特の風合いにもなりますが、作品が少しぼやけた感じになるので好みの分かれるところでしょう・・・。
サイジング液
 通常、水彩画用の紙には”サイジング”という滲み止めが施されています。これは絵の具が紙に染み込むと発色が悪くなるのでこれを抑える目的があります。また、適度な水分を紙の上に保つことで、あらゆる水彩画の技法も可能となります。しかし、和紙や布などに水彩絵の具でいつも通り描こうとすると、絵の具が染み込みすぎてうまくいきません。そこで、サイジング液を薄く塗布すれば、それらの素材感(風合い)を損なわずに水彩紙と同じように描くことができます。
 常温ではゼリー状に固まっていますが、温めると液状に溶けます。これを原液のまま平筆などで塗り、よく乾かします(乾かすときは冷たいほうがよく固まりますので、ドライヤーなどは使用しないほうが良いでしょう)。筆はお湯で洗い流せば大丈夫です。
”プリペアドサイズ”という名称でウインザー&ニュートンから発売されています。




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