水彩絵の具の基礎知識


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 水彩絵の具は、ヒグメント(顔料)とアラビアガム(糊材)水溶液を練合せた水溶性の絵の具です。一般的に透明水彩絵の具はアラビアガムの含有量が30%、不透明水彩絵の具では10%程度とされています。この他保湿剤が加えられています。
 古くはチェリーガムやその他の水溶性樹脂も使われていましたが、現在ではアラビアガムが水彩絵具の中心になっています。プロが使用している水彩絵の具は、殆どアラビアガムが使われています。
 18世紀頃から。鉛チューブが発明され絵の具の普及が一段と進みました。



【用語解説】

ヒグメント(顔 料)
 「顔料」は、小さな粒子性の色素で水や油に溶けません。この顔料を液状のバインダーに分散させると絵具ができます。人類は、数万年前から天然の顔料を利用してきました。始めは、赤い土や黄色い土、褐色の土などが使われ、しだいに色のついた石を砕いて顔料とすることになりますが、これら天然の鉱物を主原料として顔料を作っていた時代は18世紀半ばまで続きました。現在、合成顔料が数多く作られ、絵画材料に使われるものだけでも1000種類を数えるまでに増えています。豊富な色は、表現の可能性を限りなく増大させましたが、混色による「色を作る」という作業は、安易な中間色を使うことで重要視されていな気がします。
 顔料を大別すると、土や鉱物、合成の金属化合物などから作られる「無機顔料」と主に石油化学合成から作られる「有機顔料」とに分けられます。古代から使われてきた鉱物質の顔料を含む無機顔料は、耐久性に優れ絵具の中心的材料と考えられています。天然の鉱物から作られる顔料は極めて高価で、日本画に岩絵具として使われています。洋画系の顔料でも希少金属(水銀やコバルト、カドミウムなど)を原料とするものは比較的高価です。
 油絵具との違いは、水との安定性の悪い顔料は、油絵具にあって水彩絵具にない色があることです。
シルバーホワイトなどはその代表例です。有機顔料は、最先端の石油化学合成技術により作り出され、種類も量も現在作られる顔料の大半を占めています。また、一般的には固形水彩絵の具の方が発色が良いとされています。
アラビアガム(糊 材)
 アフリカのスーダン、コードファン地方にのみ生育するアカシア科の植物から採取される天然樹脂で、アラビン酸を主成分としており、水彩絵具の色素を定着させる目的でバインダーとして使用される。アカシア科の植物から淡褐色の球塊として採取される天然樹脂のひとつ。水彩絵の具のメディウムとしても発売されています。
 また、清涼飲料水の乳化剤などにも広く使用されており、意外と身近な存在です。
絵の具の危険性
 「学童用不透明水彩絵の具」とよばれる絵の具では、低価格にするために価格の高いアラビアゴムは用いず澱粉系の糊、デキストリンがメデュームとして使われていますが、澱粉は腐敗が大変早いために劇毒物の殺菌剤フェノールが多量に添加されています。フェノールは人体に悪影響を及ぼし環境を汚染します。このフェノ―ルはアラビアゴムを精製せずに使っている、専門家用の水彩絵の具にも殺菌剤として添加されています。絵の具の臭いと思われている「ツーン」とした臭いは、このフェノール臭です。
 また、カドミウム、コバルト・・・・など聞いただけで「毒」とわかるものも沢山あります。絵の具を扱った後は必ず手をよく洗いましょう。また、食器類を洗う流しでは、パレットなどを洗わない方が良いかも知れません。



【Shiroの吟選カラー】

レンブラント

  吟選! Shiro's Colors
カーマイン ウルトラマリン セルリアンブルー
フーカスグリーン サップグリーン カドミウムオレンジ
カドミウムイエロー バーントアンバー ローシェンナ
 みなさんもご存じの通り、「色の3原色」とは「赤」「青」「黄」です。作品の中にこの「3原色」を取り入れる事を考えながら描くと、とても自然な感じに仕上がります。「黄」はローシェンナなども含まれます(ちなみに”フルカラー印刷”といわれる印刷物でもこの3色に「黒」を加えたたったの4色で全ての色を作り出し、印刷されています)。

 色環の反対側にあたる色同士を「補色」と呼び、この「補色」同士を混ぜ合わせると劇的な変化をもたらします。また、絵の具には粒子の大きさにも差があり、例えば”ウルトラマリン”や”セルリアンブルー”、”ローシェンナ”などはとても粒子が大きく、紙の窪みにその粒子が溜まり、独特の風合いが出ます。逆にカドミウム系の絵の具は粒子がとても細かく、なめらかな感じがします。
 試しに、雪の絵を描く場合に、ウルトラマリンとローシェンナで作ったグレーをそっと馴染ませると、ザラついた感じの雪の凹凸や影を描くことができます。”サップグリーン”などは定着度が高く、一度乾燥すると水を塗って筆で白抜きしようと思ってもなかなか色が抜けません。こういう性質を利用した技法も試してみる価値はあります。サップグリーンをベースに作った色を塗り、その上に重色する・・・・。完全に乾いたらその一部分を白抜きしてみると、重色した絵の具は簡単に白抜きができ、下塗りしたサップグリーンはそのまま残ります。林や森の表現に使えます。
 「寒色」「暖色」という考え方も一般的です。通常、遠くの物は「寒色」系の色で描くと、遠くにある物に見えます。逆に「暖色」で描くと近くにあるように見えたりします。建物や木を描くとき、その上の方を「寒色」で描き、地面に近い方を「暖色」で着色します・・・・そうすると地面からの照り返しがごく自然に表現できます。ここでいう「寒色」とは”冷たく寒い印象のある色”の事です。「暖色」はそれ以外の色を言います。グリーンだけはどちらにも属さない「中間色」です。




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