Mr McKinlayからのメッセージ



御挨拶:友へ!
 
 私が,あなたの事を何も知らないのに,自分の友人だと初めから決めてかかっている事を,不思議にお思いになるかもしれません.しかし,我々トウレット症候群の仲間にとってすばらしい事は,単に同じ神経障害をもっているというだけで,すてきな仲間達と出会う機会があり,たちまち,彼らと強く,深い絆を築くことが出来る事だと,私は思うのです.私ことDuncanは,あなたにお目にかかったことはありません.しかし,あなたがトウレット症候群だからこそ,あなたを友人と呼ばせていただきたいと切に望んでいるのです!このように考えると,トウレット症候群は我々にとって,すばらしい贈り物だといえるのではないでしょうか?
 
 現在の私は,心理学の博士号をとるために大学院に学んでおり,これまでも,また,今後も国際的な講演の依頼を受けており,非常に多くの友人,養父母に囲まれた,本当に恵まれた環境にあります.友人をはじめとするこれらの恵まれた環境は,私がトウレット症候群であるにもかかわらずというよりも,むしろ,であるからこそ出来たのです.私は,断じて嘘を言っているのではありません.
 
 あなたは,まさに今,トウレット症候群に苦しんでいるのかもしれません.それは,私にとって,驚きではありません.何故なら,トウレット症候群というのは,その謎を解き,利益を得られるようになるまでには,たくさんの研究が必要なパズルのようなものです.あなたがそれを良く知り,その謎を解くまで,それはあなたを支配します.
 
 本当に,私の子供時代は惨めなものでした.いつも自殺したいと思っていました.そして,それを試みたのも一度や二度ではありませんでした.同年代の子供達や家族との関係は,最悪,いやむしろ,完全に敵対状態でした.私は,一日として,自分の生きがいを見出す事が出来ませんでした.いつも怒り,困惑し,イライラして歩き回っていました.でも,その理由が分からなかったのです.
 
 まさに今,あなたは辛い時を経験しており,あなたが救いの手を必要としているにもかかわらず,私が非常に冷淡で現在の自分の幸せに安住し,傍から楽しんで眺めていると思われるかもしれません.私も以前同じように考えていました.そして,私の19歳までの人生は無味乾燥だったという事をあなたに伝えたかったのです.時代は移り変わります.
 
 人の言葉に耳を傾ける必要があった時,誰かが,私に語りかけてくれた事があったのかどうか分かりません.もっと大切な事は,私が人を信じてきたのかどうか分からない事です.何故なら,私はいつも一人ぼっちだと思っていました.結局.私は,自分と同じような者は誰もいない,あるいはいても,私の気持ちを理解できるはずがないと思っていました.そして,大方,私の考えは正しかったのです.私が住んでいた小さな町では,誰もが"普通"にみえました.しかし,私が,トウレット症候群のことを知れば知るほど,トウレット症候群の友人に会えば会うほど,その暗く、長い闇の先に光があるのを見出したのです.それは,私の肩の荷をおろしてくれたばかりではなく,私にその光への道を見出す力と決意を与えてくれました.
 
 もしあなたがトウレット症候群を学び始めたばかりだったり,診断を受けたばかりだったら,私は,あなたに,あなたは人生の岐路に立っているのだと断言できます.我が友よ!これから,事態は好転します.何故なら,今後は,あなたの今までの人生において不可解だった全ての事が,明らかになる出発点だからです.あなたが得られなかった全ての援助,それは,それをあなたが必要としているのを他の人が知らなかったせいかもしれませんし,あなたがどんな援助を必要としているのかが分からなかったせいかもしれません,でも,今やそれがあなたのものになるのです.とにかく,私は,現在のあなたに非常に注目しているのです.診断がついたことで,あなたは,人生における,最も大切なそしてあなたの今後に最も実りのある旅のまさに出発点にいるのです.あなたの人生は,見違えるほど好転するでしょう.様々な話し仲間が増え,カナダトウレット協会,米国トウレット協会のような大きな組織の仲間になる事が出来るでしょう.仲間から学んでください.あなたがトウレット症候群だという事が,世界の終わりを意味するわけではないのです.トウレット症候群の人達がもっている共通の長所を見て,自分自身の中にあるそれを確かめてください.
 
 私は,断じて嘘を言っているのではありません.ありのままの自分を認める事が出来るようになるまでの道のりは,長く辛いものです.私はトウレット症候群と診断されて7年が経ちます.そして,今も年月が重ねられています.時の経過には,それだけの価値があります.後退する時もあるでしょう,でも,誰だって何時でも前進するわけではないし,向上するわけでもないという事を思い起こしてください.あなたが転んだ時,本当に全てが転んでしまいます.しかし,それは,あなたが出発点に戻ってしまうという事を意味するわけではありません.歯ぎしりをして,元の位置に戻ってください.そして,どうか忘れないで下さい,あなたも幸福にも,友好的にも,生産的にもなれる可能性があるのです.その術を実際に学ぶことは,あなたを非常に強い人間にするでしょう.

 どんな人でも一人で生きていくことは出来ません.あなたが"普通"であっても,トウレット症候群であっても,指先にかすり傷を負っていようとも,誰でも,人生において援助なしに生きる事は出来ません.その必要性は,あなたが怒ったり,落ち込んだり,不安を抱いたりなどしてみればよくお分かりになるでしょう.あなたのような立場にある人は誰でも,これらの全ての感情を経験した事があると思います.誰もが!例外なく!そんな事はなかったという人達には,あなたが経験してきた事を理解する事はできないでしょう.
 
 あなたのお役に立つ事があれば,いつでも私に声をかけてください.私は,いつでもここにいます.それが私の生涯の唯一の勤めだと思っています.私は,これからの人生を青年期までの私のような人達の援助に使いたいと思っています.私は,ある朝,あなたが目覚め,自分がトウレット症候群である事に心から喜びを感ずる(何故なら,あなたは自分を好ましく感じており,あなたのその資質を作っているのがトウレット症候群なので)ようになるまであなたのお役に立ちたいのです.

 あなたは価値ある存在です.諦めないで下さい.我が友よ!皆んな,あなたを心配しています.私もあなたを応援しています!
                       
                                 Duncan McKinlay, M.A.Sc.



Mr B Duncan McKinlay はカナダの大学院で心理学を勉強している若者です.御自身がトウレット症候群をお持ちであり,カナダトウレット協会(1976年設立)を中心にトウレットの仲間達の支援を続けています.
環境の違いはあれ,トウレット仲間の考えには共通するものがあると考え,御本人の了解を得て,ここに掲載させていただきました.
また,日本トウレット協会設立の折には,全面的なご支援もいただけるとの励ましの言葉もいただいています.

Mr McKinlay のHPへは「リンク集」のページの「LIFE's A Twitch」からリンクできます.