好きまでの距離感〜暴走編〜


「何で…!あ…ちょっと…どこ触って!!」

先輩と朝、ちょっとしたやり取りの後、俺は桂一郎に呼ばれてあいつの部屋へと赴いた。
そこであいつに色々尋ねられて、こっちも別にやましいことは何もないからさ、正直に答えたんだ。…だって、ここで下手に隠し事をしたらそれこそもっとマズイことになるんじゃないのかなって気がしたから。
だからさ。ありのままに喋りましたよ。
聞かれるままに全部を。

でも、だけどだ。
どうも俺はいらないことまで話してしまったみたいだったんだ。

先輩に抱きしめられたところまではよかったんだけど、耳を舐められたくだりであいつの表情があからさまに動いたのが分かったんだ。
しまった!と思いましたよ。
案の定、桂一郎が低い声で確かめてきたんだもん。

「先輩に耳を舐められた?」って。

俺の妙な声を聞いたのは確からしいんだけど、何をされたのかまでは見えなかったんだろうな。
よくよく考えればあいつは練習してたし、ちょっと離れてたから実際に俺が先輩にされていたことまでは分からなかったんだろう。視力も良い方じゃないし。
黙っていれば事なきを得たのかもしれないけど、こっちもさ、気分的に負い目があるじゃない。先輩に良いようにされていたっていう状況だったし。
それで余計なことまで話しちゃった訳なんだけど…。

でもさ、本当にそれだけなのよ。
本当にただそれだけなのに、桂一郎のアホが余計な事を想像したんだろう。
それからあいつがいきなり俺にキスしたいとかぬかしやがって、こっちがどうすればいいのかも分からないうちに無理矢理にされてしまったんだ。

いきなりキスをされ、訳が分からないうちにベッドへと押し倒され、体を触られた。

「ちょっと…どこ触って!」
「和の胸」

だからって本当に答えるな!
…シャツの下から手を差し込んでいる?
お前それは、そこまでは許してないぞ。

「け、桂。嫌…だってば!」
「止まらない」

それはどーいう言いぐさなんだと思ったね。
止まらないじゃなくて、止める気がないだけなんじゃないのかと。
そこんところを突っ込みたかったんだけど、こっちも既にそれどころじゃなくなってきていたんだ。

「馬鹿、そんなところ触るんじゃ…あ…や…駄目、だってば」
桂一郎の手が、俺のシャツの裾から差し込まれる。
直接当たる、あいつの手。指。
ぞくりと背中が震える。
藻掻いて、あいつの胸を押し戻そうとしても、体の下に押さえ込まれてどうしても抜けられない。

「や…だ。桂…ん…」
足掻く俺の唇を、あいつがもう一度キスをして塞いでくる。
その間にも、桂一郎の指が俺に悪さを仕掛けてくる。

腹とか胸とか脇腹とかを。
特に脇腹は駄目だった。それでなくてもくすぐったがりなのに、そんなところを触られたら、身をよじるしかなかったんだ。
「………!」
頭を振ってあいつのキスから逃れようとしたけど、深く合わせられた唇は容易く外せない。
キスから逃れられないんだ。

指が俺の体の上を這い回っていた。
「あっ…!!」
桂一郎の指が俺の胸の一番敏感な部分を擽り始めてきたんだ。