余韻




シャワーのお湯が肌を伝っていく。

ほうっと息をついていた。
なんとなく全身が気怠かった。

仮にもスポーツをやっていて、人よりは体力には自信があったけれど…この疲れはそれとは違う。

体の節々が痛い。
無理な体勢を続けていたから、筋肉が強張っているような気がする。
それと声。散々に喘ぎ、声を上げ続けていたから喉がひり付いている。
かすれた弱々しい声なんて、自分の声じゃないみたいだ。
それもこれも………。

あいつ…。
全部、あいつのせい。

いくら次の日、練習がないからといって、ずっと彼に付き合わされたのだ。…ベッドの上に。

シーツの上に押し倒され、服を破がされ、全身を撫で回された。
舌が自分の肌の上を舐めていく。
そんなところにまで…と、言いたくなるようなところまで舌が這っていったのだ。

きっと自分の体で、彼が触れていない所なんて無いんじゃないかと思ってしまうくらいに。

だって、自分でさえも触れたことが無いところを彼は知っているのだから。

唇はもちろん。
胸も腹も、腕も足も。もっと奥深い所。足の付け根と…その中心。後ろの場所まで、彼の舌で舐められていた。
外側だけじゃない。
自分の中まで、彼は知っているのだ。
内側の快感の芽さえも彼には曝かれている。

彼は自分以上に自分の体を知っているんじゃないかと思うくらいに。

彼に抱かれるまで、自分がこんな声を上げることも、快感にこんなに弱い体だったということさえ知らなかった。
何もかも彼に知らされたのだ。

男に抱かれて…こんなにも乱れる自分がいたということをだ。

キスだって…。

キスだけで感じてしまう自分なんて知らなかったから。

そっと自分で自分の唇に触れてみる。
まだ彼の唇の感触を覚えているのだ。

彼に口づけされると、それだけで力が抜けてしまう。
あの逞しい体に強く抱きしめられ、口づけられると頭がぼうっとなってしまう。
舌を絡め、口の中を嬲られると腰が砕けそうになる。

今まで、他の奴とキスをしなかった訳じゃない。

ただ…キスだけでこんなにも感じてしまった事が無かっただけ。

口づけられると、それだけで体が熱くなる。
もっとと、強請りたくなってしまう。
キスがセックスの前戯であるということを、改めて彼に教えられたような気がするのだ。

何度も何度も口づけられた。
口腔内を彼に舌で嬲られ、唾液を飲み込み、舌を絡め合う。
息苦しさとぼうっとする頭とで、彼にしがみついてしまったような気がする。

今もまだ…唇が腫れているんじゃないかと思うほど、キスを繰り返したのだ。

彼に抱かれている間にも、だ。

セックスの余韻が、自分の体をまだ支配している。

きつく抱きしめられた。
全身を撫で回された。

感じすぎるくらいに感じさせられて、喘ぐというよりは泣いていたかもしれない。

だって…彼の愛撫は優しくて、激しいから。

乳首を舐められるのも、腹を舐められるのもまだ耐えられたのだけれど、自分自身を彼の口で銜えられるのは、何度されても恥ずかしさが先に来てしまうのだ。
恥ずかしいのに…それを望んでしまう自分自身もいることを知っている。
脳天にまで突き抜けるような快感。
それを口で銜えられ、歯で、舌で、指で嬲られると知らずに腰を振ってしまうから。

嫌だと、恥ずかしいからと喘ぎながら、自分から彼の頭に手をやってよがっていた自分。

こんな淫らな自分なんて知らなかった。
男に抱かれる事を喜びに感じる自分なんて。

キスだけで体がとろけてしまいそう。
全身を嬲られると、それだけで体の中心に熱が籠もってしまうのだ。
熱を持ち、立ち上がる自分自身。それを彼の指で、舌で舐められると、蜜が溢れ出す。
もっとと、腰を突き出してしまうくらい。

前だけじゃない。
今の自分には、それだけではない快感を知っている。

後ろ………。
今もまだ、後ろには彼の熱い肉の感触が残っている。
後孔に男を銜えこんだ。
狭い蕾の中に男の逞しい肉の欲望を埋め込まれた。

最初はただ痛くて、苦しいだけだったはずなのに、いつのまにかそこで快感を感じてしまっている自分。
内側の、自分でさえも知らなかった場所の快感の芽を、彼に教え込まされた。
そこを突かれると、背中が反り返る程に感じてしまう。
よくてよくて、乱れてしまう。
尻を男に向かって突き出して、彼の肉の欲望を中に深くくわえ込む。
あまりの気持ちよさに啜り泣き、そのくせ体は彼の愛撫を望んでしまうのだ。

ぞくりと身の内が震えた。

火照った体を醒ますためにシャワーを浴びているはずなのに、彼との熱い愛撫を思い出している自分。

「何…考えてんだよ」

馬鹿だ、俺。
こんなにも疲れて怠い体を持て余しているのに、自分から進んで欲情してどうするんだ。

でも…。
だって………。

ふいに後ろの方からバスルームのドアを叩く音がした。

ハッとして振り返る。

彼がドア越しに呼んでいた。
「どうした?中で倒れているんじゃないんだろうな」

ヤバ…。
あんまり長く入りすぎて、彼が心配しているんだ。
普段、あんまり干渉しない彼なのだけれど、意外なところで心配性なのだ。
このままいつまでもぐずぐずと中にいたら、本当に心配して入ってきそうだった。

シャワーのお湯を止め、ドアの向こうにいる彼に向かって声を掛けてやる。
「な、なんでもない。ちょっとぼうっとしてただけ。もう上がるから」
そうか?と彼が答えてくる。
本当に今にも入ってきそうな雰囲気を感じて、慌てて頭を振り払い、火照り始めた体を冷やそうとした。

ふと…視線を下げてみたら…。

「うそ…」
思わず声が漏れていた。
ついさっきまでの彼との熱い情事を思い出して余韻に浸っていたせいか、自分の前が緩く立ち上がり始めていたのが目に入ったのだ。

あんなに何度も何度もいかされて、もう吐き出すものさえ残っていないんじゃなにかと思うくらいだったのに…。
浅ましい自分に頬に朱が走ってしまう。

「オイ、ティーダ?」
さっきの自分の声を彼が聞きとがめたのか、再度ドアの向こうから彼の呼びかける声が聞こえた。
「な、何でもないってば。す…直ぐに出るから、こっち入ってくんなよな」
こんなところを彼に見られたら、何を言われるか分かったもんじゃない。

言われるのはまだいい。
もう一回なんて、言われた日には、それこそ腰が立たなくなってしまうに違いない。

何とか自分を鎮めようと、自分の中心に手をやってしまう。
「んっ…」
途端にズキリと股間に衝撃が走ってしまった。
手をやっただけで、どうして感じてしまうんだ。

あいつに散々いたぶられて、体が過敏になってしまったんだろうか?
それにしたって、鎮めるつもりが返って感じてしまってどうすればいいんだろう。

ドアの向こうから、彼が問いかける。
「今の声は何なんだ?ティーダ…おい?」

「だ、だから何でもないから。あっちいけよ!」

言い返した瞬間、ヤバイと思った。
あからさまに邪険にしたのもそうだけど、返した声が完全に上ずっていたから。

一瞬の沈黙。
それからバスルームのドアがゆっくりと開かれる。
「ちょ…入って来るなって!」
「お前、いったいどうした…」
彼が自分を見詰める。

俺は咄嗟に自分の前を隠した…けど、しっかり彼に見られたんだろう。

彼の目が怪訝そうにすがめられ、それから口元が歪んでいた。
「…なるほどな」

アーロンの目が男臭い色を滲ませたのが分かった。

「なるほどって…なんだよ」
悔しくて、恥ずかしくて言い返してやると、アーロンがゆったりと俺に近づいてくる。

「まだ…したりなかったのか?」

言いたいことは一杯あった。
あったけど、しっかり興奮しかかっている体を見られて、今更何も言えない気分に陥っていた。

だから覆い被さってくるアーロンの顔を眺めながら、言い返してやったんだ。

「るせ…」

そんな憎まれ口を叩く俺の唇に…アーロンの唇が静かに降りてくるのを見届けて…俺はそっと目を閉じたんだ。







END


はい、てなわけで今回はアロ×ティっす。
もしかして途中までジェクティかと思いましたかしら?
書いている本人も途中まではどっちでもいいように書いていましたが、
今回はまぁ、相手がアーロンでもいいかなぁ〜と、何となく思ったのですよ。

再三、サイトでも言っておりますが、私は確かにジェクティ大好き女ですが、
決してアロティを疎かにしようとも思っておりません。

もちろんジェクティは大好きだけど、アロティも好きだから。
うん、アーロンはいい男だもんね〜。

ちなみにこの絵も小説も、最初は表に置こうと思っておりました。

だって只の裸程度では、うちでは表扱いですから。
ただね〜。小説がこれでしょう?
この文章は表に置いたら、マズイかなと思って裏扱い。

しかも最初はさら〜としたHにしようとしたのだけど、長くなっちゃった。

予定は未定の見本のようですな。




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