”ふ、拭けって....”
”後始末させる気....”

沙織は、由紀の感覚が解らなかった。
ただ、パンツをかぶって手錠を掛けられたまま、何もされず立たされているより、早く終わらせてしまった方が良いと思った。

ふらふらと、沙織は由紀に近づく。


「...解りました。手錠を外してください。」
従うしかない。
「何もごもご言ってんのよ!」
由紀は、沙織に被せたショーツをはぎ取ると、汚さそうに、床に放り投げた。

「何?」
由紀は聞き直す。

「やりますから、手錠を外して...」
後ろに回された、手首を由紀に差し出す。

返答は、沙織の想像以上だった。

「口で綺麗にしてあげれば?」
「元彼女でしょ? 少し分けてあげる。」

由紀は自分もベッドに寝そべりながら、悠一の股間に掛っていたガウンを退かす。
沙織の目の前に、見慣れた悠一の物があった。

昨日までであれば、こんな躊躇はしなかっただろう。
ただ、今はもう別の女性の物であり、悠一自身にも、その証拠がまとわり着いて光っている。

「で、できない....」
沙織は羞恥で俯く。
悠一の物だけであっても、他の女性の前では恥ずかしくて無理だった。
さらに、目の前には、その女性の名残がおぞましく残っている。

「毎回、毎回 厭、厭って、あんた断れない立場でしょ?」 
由紀が付き合ってられないと言わんばかりだった。

”解ってるわ...けど....”
沙織はベットで横たわる悠一の横に膝を着いた。
後手に手錠を掛けられているため、腹筋の力だけで、悠一自身の前に顔を近づけた。

沙織の胸の先が悠一の太ももに当たった。

「悠一さん......」
沙織は、悠一の方を向く。
悠一も少しは罪悪感があるようだったが、同性の他人の処理をさせられる元彼女の姿も見てみたいという、
好奇の視線だった。

”悠一さんまで、見世物みたいに.....”
沙織は、悠一の物を口に含むしか無かった。

好きでは無かったが、悠一のためならと思っていた今や懐かしい味が、咥内に漂う。
ただ、それ以上に、由紀の香りの方が強かった。

”由紀さんの.....”
まるで、同性に咥内を犯されているようだった。

沙織が屈辱に耐え、必死にやらされているにも関わらず、悠一の物が反応してくる。

「...悠一。」
口に出せない感覚だった。

”私の口でもまだ.....”
あまりに自分を卑下した感覚に、沙織は揺れる。そしてまた濡れてしまう。
”私..変態だった。”

太ももまで垂れているのではないかという錯覚を覚える。

逆に、自分を卑下して貶めないと、プライドが許さない行為だった。
沙織の口は、掃除から愛撫に変わっていく。

「何時まで咥えてんのよ。」
由紀の声に我に返った。

「掃除しなさいって言ったのに、興奮してどうするのよ!垂れてるわよ!」
沙織は、自分が手も使えず、その行為をすると、自分自身を由紀の視線から遮る事が無いと解った。

”濡らしてるとこ、みられた....”
「す、すみません。」

何故か謝ってしまう自分がいた。

「次は私よ。悠一が溢れてきちゃうから、分けてあげるわ」

おぞましい悪魔だった。
断る事のできない相手でも、許せない命令だった。

「悪魔!!っつ」
沙織は、由紀の目を見ながら、そう言った。
由紀は、何の動揺もしなかった。

「なぁに 生ごみ?」
由紀は笑っていた。

「なんでもやれるわよ!!」
沙織は、泣いていた。 泣きながら、由紀の股間に頭を埋める。
ふと目を向けると、由紀の性器が視線に入る。

”....ここも綺麗なの!!!!!!”

薄紅色の汚れを知らないかのような色形だった。

許せなかった。
ここまで自分を蹂躙する相手に何処まで敵わないのか?

沙織はもう由紀に逆らう気も起きなかった。
由紀の場所にも沙織は口を付ける。

見た目は綺麗でも、悠一に泡立てられた由紀の体液は臭かった
”こんな綺麗な人でも臭い....”

沙織はそれがなんと無く嬉しかった。
悠一と由紀のまじりあった生ごみを舌先で清掃する。

”臭い.......”
沙織はそう思いながら、興奮している。
手錠により、触る事も出来ず、自分の子宮もまた熱くなる感覚を覚える。

「ほら、しっかり掃除しなさいよ!」
由紀が急に沙織の頭を自分の性器に押しつける。

「うぐっ!」
呼吸がしづらくなる。
「悠一ぃ..これが好きだった女よ!」
由紀の声が聞こえる。

”ゆ.う.いち...さん”沙織は頭の中で悠一を思い浮かべる
が、妄想の悠一は沙織に蔑みの視線を向ける。

”逝く.....”

沙織はまた、悠一と由紀の前で失神してしまった。




「ガチャっ」
沙織は何かの音で目覚める。


”こ、ここ何処.......”
沙織は妙な違和感を感じた。
”ああ、私、意識が無くなったんだ.....”

そう思った。
”まぶしい”
夕焼けの西日が沙織の視線を遮る。
右手をかざし、沈みゆく日光を覆った。

”夕方??”
由紀の部屋を訪れたのは、夜だったはずだった。

沙織は、ベッドサイドの時計を見る。
「一日 回ってる!!」

驚きだった。
それ以上に、自分の手の手錠が消えていた。

「な、何?」
ただ、ベッドで全裸だった。
沙織は、周りを見渡す。  そばにあったガウンを手に取ると裸の体に纏った。そして、寝室を出る。

昨日見覚えのあるソファーだった。

「起きたの? 沙織さん」
由紀が、ソファーで紅茶を飲んでいた。

そして、可愛らしく沙織に微笑みかけた。

「沙織...さん?」
なぜ、由紀が自分に”さん”付けするのかわからなかった。
由紀のあまりの変わり様に、驚いた表情をする。

「沙織さんずっと寝てたのね。 さっき映画の撮影が終わって私たち戻ってきた所よ。」

由紀が、シャワールームを指差す。
見えはしなかったが、おそらく悠一が、シャワーを浴びているようだった。

「昨日は悠一さんを借りて悪かったわね。」
由紀が沙織にそう言った。
「えっ!」

由紀が何を言っているのか沙織には解らなかった。
きょとんとする沙織に気付いたのか、由紀が口を開く。

「悠一さんには、本番撮影の時は他の女性の事を忘れて欲しかったの。 私も悠一さんだけを思う女性になりきりたかったし。」
由紀が笑っている。
「大丈夫よ。私が悠一さん見たいな一般人に本気になる訳ないでしょ?」

一瞬、由紀の目つきが昨日の冷酷な目付きに変わる。
「そう言えば、このホテル、明日の朝まで借りてるから自由にしていいわ。私は、自宅に帰るから。」

由紀は、そう言ってソファーから立ちあがる。
「あっ..悠一さんは、まだ本気で私が好きだと思ってるから、説明しておいてね。」

そう言って、部屋のカード鍵を由紀に渡した。

「ゆ、由紀さん.....」

突然の事過ぎて解らない事だらけだった。
昨日の事は夢だったかの様に沙織は思った。
”昨日は、由紀さんのお芝居??”

そう思った時だった。

「もう会う事は無いだろうけど、あなたも相当好きよね...そうだ、あなた、悠一さんどうするの?」

由紀は返答を待つ事無く、部屋から出て言った。
「ま、待って!」

沙織が声を掛けるが、もう由紀の姿は部屋の外だった。

何も考える事ができず、沙織は立ち尽くす。

「悠一さんと二人.....」
沙織がそう思った時だった。
シャワールームから悠一が現れる。

二人の視線が会った。

「沙織.....起きたの?」
悠一が由紀では無く、沙織がリビングに居る事に驚いた様だったが微笑む。

沙織の知っている何時もの笑顔だった。
ただ、悠一の視線は沙織が大好きだった柔らかいまなざしでは無かった。

昨日まで、彼氏だった。
昨晩、他の女性の物だった。

そして、今晩はどうなるのだろう......
そして明日は..

もう邪魔する由紀は居ない。


”私はどこまで許せるのだろう...”
そして
”私はどこまで許されるのだろう..”


沙織は悠一に対峙した。