覚悟していたものの、詩織は、身構える。
「み、見せろって...何を?」
高橋に、詩織は確認する。
高橋は、そんな詩織をなめまわすように、全身を、見渡す。
「どこ見てほしいの? 先生!」
高橋が、詩織に確認するが、視線は、詩織の胸元だった。
「見せたいなんて...もう、帰りましょう。」
高橋をあやすように、詩織が、声を掛ける。
「なんだ。先生は、みんなに、便所映像を見てほしかったんだね。 それじゃあ、帰ろうか?」
高橋は、椅子から立ち上がった。
そして、詩織を完全に無視して、視聴覚室から、外に出ようとした。
”こ、この子..本気で映像ばら撒く気?”
詩織は、考える。
「高橋君..待って。」
少なくとも、映像をばら撒かれるのは、やめてもらう約束を取り付けなくてはならなかった。
「はあ? 今更なに?」
高橋が、あきれたような声を挙げた。
「高橋君、こ、公開は、しないでね...」
一瞬、ビックッとしたが、詩織が、恐る恐る切り出した。
高橋は、余裕の笑みを浮かべて、突き放した。
「だって、先生、見せてくれないんでしょ?」
何ともいえない空気が、二人の間を流れる。
「...何を見せればいいの?」
詩織が折れるしかなかった。
おずおずと、上目づかいで、生徒を見上げた。
「何見せてくれる?」
高橋は、詩織を試すようだった。
”何を...下着を取れってこと...”
詩織は、考える。
ただ、下着を生徒の前で取る羞恥と、屈辱は、受けたくなかった。
「これ以上、ぬ、脱げっていうの?もう下着しか付けてない...」
詩織は確認するように、高橋に言った。
「だから、便所映像ばら撒くから、脱がなくていいって!」
煙たそうに、高橋が、言った。
”ほ、本気でばら撒く気かしら...”
詩織は、考えながら、高橋の様子を伺う。
ただ、高橋の目つきを見ると、本当に、やりそうだった。
「ぬ、脱げば、公開しない?」
詩織は、高橋の術中にはまったようだった。
高橋は、詩織には答えず、詩織の胸を凝視した。
「先生の乳首、つまめる?」
高橋の口からでた答えは、詩織を仰天させた。
「な、何言ってるの高橋君!」
詩織は、驚き、高橋の視線をさえぎるように、腕で、胸元を隠す。
腕で、潰された胸は、歪んで、さらに詩織の豊満な胸が、強調される。
その様子を楽しそうに、高橋は、見つめる。
「こないだ、エロ本で、乳首、摘んでる写真を見たんだよね。」
その言葉に詩織は、ことさら、胸を腕で、隠すように抱いた。
”わ、私は、そんな写真の女性じゃない!!”
詩織は、高橋が、そんなことを自分にさせようとしていると思うと、
怖かった。
今までの行為だけでも、耐えられない行為だった。
最後に、胸を見せることで納得するなら..と最悪の決断に、悩まされるだけだった。
「わ、私は、そんな人とは、違うのよ!...あなたの先生よ。」
詩織は、半分、泣きながら、高橋の言葉をさえぎった。
高橋は、一瞬詩織の剣幕に驚く。
そして高橋は、言葉を続けた。
「結構、乳首って伸びるんだよね? 先生どれくらい伸びる?」
結局、詩織の言葉など、高橋は聞いていなかった。
”そんな事絶対できない...”
詩織は、高橋を一瞥する。
「高橋君..あなた人間じゃない!!」
詩織は、必死の形相で、高橋に叫ぶことしかできなかった。
そんな詩織の態度も、無視するように、高橋は、余裕の返答をした。
「どちらにしろ、便所映像持ってるの俺だぜ!」
その言葉に、詩織は、俯くことしかできなかった。
”これじゃあ..どこまで...”
大人として、子供の脅迫に屈することはできなかった。
「好きにしたらいいじゃない!!」
ついに、詩織は、禁断の言葉を口にした。
「いいんだ先生。」
高橋は、口元をにやりとさせながら、詩織を見つめる。
”ここで負けちゃ駄目”
詩織は、体を隠すように、高橋を無視して、脱ぎ捨てたスーツを慌しく、身に付ける。
その決意は、まるで、戦場に向かう侍が、甲冑を身に付けるようだった。
高橋は、その様子を何も言わず監視する。
詩織は、高橋を必死に無視しながら、視聴覚室を後にしようとした。
そんな詩織に、高橋が声を掛けた。
「先生! 明日楽しみだね。」
不気味な言葉を必死に振り切り、詩織は、そのまま、下校した。
頭の悪夢を振り払うように、自宅に戻った詩織は、明日の授業の準備をしていた。
”幾らなんでも、ばら撒くような事は、あの子でもしないだろう”
そう思った。いや、そう祈った。
普段よりもあっという間に、次の日を迎えた。
1,2時間目の授業を受け持つ。
高橋のクラス以外の生徒達は、幾らかの生徒が、詩織を、女としてみる視線を感じるものの、
それは、好意の視線であり、別段変わった様子でもなかった。
”よ、良かった..高橋君も、やっぱり高校生なのね”
詩織は、昨日と変わらない、風景に安堵する。
そして、詩織はさらに、緊張を深めた。
”ここをのりきれば...”
そう、3時間目の授業は、高橋のクラスの受け持ちだった。
詩織は、緊張の面持ちで、教室に向かった。
ドアの前で、一旦、深呼吸をする。
そして、過酷な教室に入っていった。
「授業を始めます。」
詩織は、高橋が微笑んでいることが解った。
”今日は、何もさせない!”
詩織は、授業を坦々と始めようとする。
「詩織先生、今日は、ボタン外さないの?」
その声は、高橋ではなかった。
詩織は、その言葉に動揺した。
「な、何をいっているのですか? 授業中です。」
詩織は、どもりながらも、その生徒を一括した。
「なんだよ...」
その生徒は、残念そうに、黙った。
”よ、良かった...ばら撒かれてない。”
詩織は、周りの生徒が、詩織の痴態を知らないそう思った。
その時だった。
教室の女子達が、ざわついた。
「なにこれ! やめなさいよ...」そんなざわつきだった。
詩織は、女子達の行動を目の当たりにして、注意する。
「授業中ですよ。どうしたのですか?」
詩織は、1人の女子生徒に近づく。
「先生! 高橋君が、えっちなメールをみんなに、送ってるんです。」
詩織は、その言葉に、心が凍った。
「え!」
そうとしか答えられなかった。
”まさか...今みんなにばら撒いたの?”
自分でも膝が震えるのが解った。
その様子に、女子生徒も気付いたようだった。
「先生、こんな写真、みんなに!!」
詩織は、極度の緊張をしながら、手渡された携帯を見る。
”いや!”
詩織は、心の中で悲鳴を挙げた。
そこには、女性が、下着姿で、股間に男性の革靴をあてている”詩織”だった。
ただ、ほぼ、下半身のみで、この写真を詩織と認識できるのは、詩織と...高橋だった。
詩織は、ただ呆然と、携帯の画面を見つめることしかできなかった。
その女性が、詩織だと知らない、女子生徒は、詩織が、純粋だと思ったのだろう。
「先生ってこういう写真、見たこと無いの?」
とからかった。
「えっ..こういう写真は、女性が見るものではありません。」
詩織は、その場を取り繕うように、女子生徒に返答した。
「先生、純粋ねえ。」
その女子生徒が笑っていた。
詩織が、何と答えて良いかわからないまま、返答に窮する。
そんなとき、後ろから声が掛かった。
「ばか、先生は、見るもんじゃなくて、自分でするもんなんだよ!」
その声の主は、高橋だった。
詩織は、高橋と視線を合わす。
高橋は、続けざまに、詩織に罵声を浴びせた。
「女は、見た目じゃないんだよ! この写真の女も、先生みたいに、純粋にみえるぜ!
そうだ、顔も転送しようか?」
高橋は、教室に響き渡る声で、暴露の言葉を吐く。
当然、クラスの生徒達は、”送れ”というムードになった。
「先生!授業中ですけど、写メ送っていいですか?」
高橋が、詩織に確認した。
詩織は、その場に、呆然と立ち尽くしたまま、動くことができなかった。
けして、許してはいけない行為だった。
「た、高橋君! 授業中ですからそんなことはやめなさい!」
詩織は、必死の剣幕で、高橋を抑えようとした。
「まあ、先生がそこまでいうなら、授業中は、やめて、休み時間だな。」
高橋は、詩織を煽り始める。
「休み時間だって、そんな写真は駄目です!!」
詩織は、高橋の行動を止める様に、お願いするしかない。
ただ、教室の生徒達に、その写真が、自分と言う事は隠さなければならなかった。
「じゃあ、みんな悪いけど、家帰ったら、再送するから待っててくれよ。」
高橋の行動は、本来なら止めることができなかった。
注意はできても、制止することはできない。
ただ、教師からの注意ではない。
詩織自身が、それを公開されてはならない身だった。
「こ、こんな写真は、学生はだめです...」
”これじゃあ、禁止できない..”
詩織は、この程度の言葉では、禁止できないと思った。
”職権乱用?”
一瞬迷ったが、躊躇はできなかった。
「高橋君も、受け取って破棄しなかった人も、成績は付けられませんからね!」
詩織は強気に言い放つ。
教室も、さすがに、詩織の剣幕に押され始めた。
ただ、高橋だけは、動じてない。
「別に、成績いらないけど...」
高橋は、軽くつぶやき、詩織を攻略はじめた。
「先生がそんなに嫌だっていうなら考えてもいいかなあ...」
”高橋君...まさか”
詩織は、高橋の術中にはまりつつあることに気付いた。
”逃げられない...”
ただ、公開されることは避けなければならなかった。