「はい、高橋君も、冗談を言わない! 授業に、戻りますよ。」
詩織は、そう言ったものの、生徒は、詩織の言葉を何一つ信用していなかった。
「高橋! もしかして、お前の言う事、詩織先生何でも言う事聞くんじゃないの?」
一人の男子生徒が、恐ろしい事を口にし始める。
「そ、そんな事ありません。 先生だって怒るわよ!」
詩織は、生徒の意見を打ち消すように、打ち消す言葉を掛ける。
「けど、詩織先生! 普通生徒に乳首見せないでしょ?」
「...」
余りに露骨な言葉に、詩織は、教壇の上で、一瞬固まる。
”ち、乳首...見せる?”
ただ、ここで、話を大きくすることは出来なかった。
「あ、あなた何勘違いしてるんですか?そんな事、先生していません。」
詩織には、たどたどしく弁解するしかなかった。
沈黙を守っていた高橋が、口を開く。
「ばれた? 何でも言う事きくぜ!」
高橋の言葉で、教室が、ざわめく。
「ま、まじ?」
多くの男子生徒が、声を挙げる。
「た、高橋君!!」
詩織は、思わず、叫んでしまった。
”ば、ばらす気かしら...”
余りのショックに、詩織は、おかしくなりそうだった。
聖職だと思っていた教師が、陰部に生徒の革靴を擦り付ける写真を教室中にばら撒かれる。
それだけは、何としてもやめさせなければならなかった。
”な、何て諫めたら...”
詩織が考えをまとめる暇も無く、高橋が、クラスメイトに、報告してしまった。
「詩織先生!その場で、ジャンプ!」
詩織は、高橋の言っている意味が解らなかった
「じゃ、ジャンプ?」
思わず、高橋に確認してしまう。
「そう。とりあえず、言う事聞くことをお披露目するだけだから、簡単でしょ?」
”そ、そんな...”
高橋の命令は、簡単なことだった。その場で跳躍すれば良いだけであったが、
その行為は、教師、否、年上として屈辱の行為だった。
「せ、先生..そんな事出来ませんよ。」
詩織は、高橋を怒らせないように、なるべく丁寧な口調で、高橋をなだめようとした。
ただ、高橋には、全く通じなかった。
「飛べっていったら、飛ぶんだよ!!」
高橋の口調は、先生に向かって話す言葉ではなくなっていた。
”せ、生徒でしょ!!”
詩織はその考えを、口にすることは出来なかった。
高橋は、明様に、例の携帯を見せ付けるように、振っていたからだった。
”も、もう...だめ......”
詩織は、その場で、ちょこっとジャンプをする。
ノーブラの詩織の豊満な胸が、揺れていた。
「おお!!」歓声が挙がる。
それと共に、詩織の女としての部位を露骨に口にされた。
「ぶるんって感じだな..柔らかそう...」
そんな言葉を聞き、詩織は、教壇の上で、真っ赤になってしまう。
”こ、こんな辱めを受けるなんて...”
それでも、高橋は、許さなかった。
「詩織先生。やめるなって言って無いんだけど?」
詩織は、その命令に、意識が飛びそうだった。
”も、もう..恥かしい...”
それでも、自分の半裸の写真をばら撒かれるよりましだった。
詩織は、生徒の遊び道具を演じるしかなかった。
ブラをつけていない詩織は、自分の胸を抱きかかえるように、押さえ、その場で、ジャンプする。
羨望の眼差しで見られていた聖職者の影は無く、詩織のプライドが、壊れていった。
”早く..許して...”
そう思うだけだった。
生徒達の見守る中で、詩織は、何度も、ジャンプする。
詩織の目に、涙が溜まる。
”もう駄目....”
詩織が崩れそうになった時だった。
「詩織先生。胸押さえるのやめろよ。」
高橋の声が掛かる。
羞恥に震える詩織を、高橋は、全く許すつもりも無いようだった。
もう、詩織は何も考えられなかった。
胸から、腕を外し、言われるがままの、屈辱を受け入れる。
男子生徒の視線を揺れる胸に集めながら、教壇の上で飛んでいた。
「もういいよ。」
高橋が、詩織を許したのは、詩織が、羞恥と屈辱で、倒れる寸前だった。
「ほら、授業開始しろよ。」
まっとうな意見が、詩織に告げられる。
”....じゅ、授業...”
胸を揺らしながらジャンプするという行為を見られていた相手に、真面目な授業をする。
これも、詩織には、辛いことだった。
「こ、ここは中間テストに出します...」
授業を開始したものの、それどころでは無かった。
黒板だけを見つめ、生徒達を振り返ることも出来なかった。
もちろん生徒達も、授業など聞いていない。
「高橋!!何やったんだよ。 俺にも教えろ!!」
その言葉が詩織の耳に聞こえるたび、冷や汗が、背中に伝わる。
それ以上に、女子生徒が、「詩織先生って、最低...」
その声に、胸が、締め付けられそうだった。
「キーンコーン」
授業終了の合図だった。
「...授業終わりです。」
詩織は、待っていたかの様に、呟き、教壇から降りた。
逃げ出すように、教室を後にする。
幸いなことに、今日は、もう受け持つ授業は無かった。
”今日は、もう駄目...帰ろう...”
とぼとぼと職員室に入る。
「どうかしたんですか?」
先輩教員が、詩織に声を掛ける。
”言えるわけ無い。”
「た、体調が悪いので...早退します。」
それだけ言って、帰宅の準備をした。
”こ、これからどうするの...”
詩織は、そう思いながら、職員室を後にした。郊外の高校のため、通勤には、車を利用していた。
こんな気持ちの中、電車に乗らずに済むと思うと、少し安堵していた。
詩織が廊下を歩いていると、背後から、生徒の声が掛かった。
「詩織先生!! なんで高橋の言う事なんて聞いたんですか?」
声の主は、高橋のクラスの女子生徒達、数名だった。
数名の女子生徒に詰め寄られた詩織は、返答に戸惑う。
「じゅ、授業をしたかった...から..。」
最後は、聞き取れるか否かの声だった。
”ごめんなさい...”
心で、女子生徒たちに謝る。
それでも、女子生徒たちは引き下がらなかった。
「あんなやつの言う事聞く必要なんてないわ。 なんか媚売ってるみたい。」
女子生徒達の声が、心に響く。
”媚なんかじゃ無いの....”
言い訳なんか出来るわけも無かった。
「次の授業までには、高橋君に言って聞かせておくから...ごめんね..」
そう言って詩織は、逃げようとする。
それでも、女子生徒は、詩織の後を付回した。
「何よ。 ちょっと可愛いからって、女を武器にするようなことして!!」
女子生徒の非難は、明快な答えをいえない詩織に対して、向けられていく。
”そ、そこまで言わなくても...”
「せ、先生...帰りますから...」
詩織の目の前に、悪夢の始まりとなった職員用洗面室があった。
”こ、ここまでは、付いてこない..”
悪夢が脳裏に走るが、生徒達から、逃げ出すように、職員洗面室に入った。
”どうしよう...”
今は、便意があるわけでもなかった。
個室に篭もり、時間が過ぎるのを待つしかなかった。
その時だった。
「ギャシャン!!」
物がぶつかるような音がした。
「な、何?」
詩織は、個室の鍵を外し、外に出ようとする。
”開かない!!”
ドアが、外から、ロックされた様だった。
そんな時、女子生徒達の声が、職員手洗いにこだまする。
「男たらしの罰よ。 教室で、先生がブラ外すなんて許せない!!」
そんな声がする。
「私達、馬鹿にされてるみたい!!」
罵声に、詩織は、答えるしかなかった。
「貴方達、やめなさい!! こんな事したら、退学よ!!」
必死に訴えるが、女子生徒たちが、ドアを開けることは無かった。
「うざいんだよ!!」
詩織への返答は、それだけだった。
女子生徒達の、それ以外の声は、想像しがたい相談だった。
「そのバケツの水掛けちゃおうよ!!」
「いいわねえ。ついでに、その便所モップを濯いだ後にしない?」
「あはは。」
詩織の耳に、モップを濯いでいるだろう音が聞こえる。
「やめなさい!!お願い!!」
そんな詩織の悲痛の声が、聞き入られることは無かった。
それどころか、女子生徒の行為は、エスカレートしていく。
「この便器洗浄剤入れちゃう?」
「何でも入れちゃいなよ。」
「うわ!泡噴いてきた。泡までなんか茶色っぽい。」
「汚なーい。」
詩織は、個室のドアを必死に開けようとするが、何かを挟みこんだのか、てこでも動かないようだった。
「お願い..やめて。」
詩織の悲壮の声が、個室に反響して木魂した。
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