「-16cmだね。」
吉田にも、形が解るという声が聞こえたが、まったく無視するように、淡々と、計測結果を読み上げた。
”ひどい...”
百合は、すぐに、裾を気にしながら、体を起こす。
男たちの視線は、検査着で隠すことはできたが、全員の視線が、百合の股間に向けられていることが許せなかった。
「も、もういいです。 帰ります。」
百合の目には涙が浮かぶ。
”いくら何でもひどすぎる!!!”
百合は、覚悟を決めた。
自分が健康診断を忘れてしまったとはいえ、これ以上の屈辱を味わうことなんて許せなかった。
この態度に吉田も、驚いたようだった。
「帰るって!! 君が、健康診断受けたいっていったんだろ!」
吉田は、自分の保身を考えてしまったようだった。
ただ、その百合の覚悟も、採用課の女性社員には、痛くも痒くもないようだった。
「解りました。百合さん。帰ってもいいですが、ここまでお願いされて、受けさせてあげたのに、途中退席なんて許せません。」
百合に向かって言い放った。
「うちの業界で二度と採用されないように、各社に通達しますから!!
一生、就職浪人してなさい!」
この言葉に、百合は、その場で立ち尽くす。
「ほ、ほかの会社は、関係ない....」
ぼそっと百合はつぶやく。
採用課の人間は、そのつぶやきを聞き、さらに百合を押し込め始める。
「関係なくありません。 事前通知の事項を忘れて、無理に再検査をしてもらってるのに、
途中退席する人材は、この業界...いいえ、社会に出てもらっては、困りますから。」
そう言って、高飛車に、腕組みをしながら続ける。
「お願いを聞いてあげてれば頭に乗って!! 人事部を舐めないでね。」
「早く帰りなさい!!」
今度は逆に、採用室の女性は、百合を追い出そうとした。
”ほ、ほかの会社にも採用されないようにされちゃったら...”
百合は愕然とする。
もう少し大人になれば、全業界に対する採用拒否など難しいことが解ったが、
動揺してしまった百合は、真実と受け取ってしまう。
”そ、それだけは困る.....”
”他の会社にも就職できなかったら....”
「す、すみません......」
百合は、謝ることしかできなかった。
”嫌なのに....”
百合は、また吉田の方にうなだれながら、戻るしかなかった。
「はあ? 何戻ってきてるの? 早く帰りなさいよ。」
採用室の女性が、戻ってくる百合に罵声のように言葉をぶつける。
百合は、はっとして採用担当の方に視線を向ける。
「帰るんでしょ?」
視線のあった百合に、さらに催促する。
「す、すみません。 つ、つい言ってしまって。続けさせてください。」
百合は、苦悩の言葉を言うしか無かった。
採用室の女性は、百合のその言葉を待っていたかのように、返答する。
「じゃあ、見られたって我慢するのね。」
そういって、計測器の中央に、採用の女性が、仁王立ちした。
「...はい。」
百合は、聞き取れるか取れないかのか細い声で返答した。
「それじゃあ、本当か、試してみましょう。 ここに来なさい。」
そういって、百合を、内定者が見守る前に呼び出す。
百合は、のろのろと、その指示に従って、皆の前に立った。
「後ろ向いて!」
百合はその指示にも従った。
ただ、採用係の女性は、それだけでは済ませ無かった。
「そこで、腰を曲げなさい。」
計測台よりも、内定者達の距離は、近い。1mも無い距離だった。
”しょうがないわ....”
百合は、恥ずかしさを堪えて、腰を曲げ始める。
すると、採用係の女性は、百合の曲げられた腰に手を置いて、そのままの姿勢をとり続けるように抑える。
幸い、台の上に上っている訳では無かったため、指を、床につける程度で済んだ。
太ももは、露になってしまったが、それ以上は、見えそうで見えない程度だった。
ただ、見守っている男性たちは、先ほどよりも、興奮していた。
百合の透き通るような日焼けのない太ももが、すぐそこにあるからだった。
近すぎて、太ももに透ける血管の一本一本が、手に取るように見えていた。
”ま、まだ?”
文句も言えないまま、百合は、必死に耐えていた。
男たちの視線が、自分の足に差し込んでくる。
恥ずかしさを必死で耐えていた時だった。
「百合さんそれじゃあ、試して見て?」
採用係の女性が、急に優しい声を出した。
”た、試してみて? やってるじゃない!!”
百合は、採用係の女性の言葉を疑った。
「..た、試してます...」
百合は、どうにか返答する。
「は?それだから、逃げたりすんでしょ?」
採用係の女性は、百合を小ばかにしたような声を挙げた。
そして、百合の、腰を軽く叩きながら、おぞましい言葉を掛けた。
「とりあえず、ここまで、検査着を捲くりなさい。」
それは、百合の臀部を晒せという指示だった。
「そ、それは.....」
百合は、絶句にも似た嗚咽を漏らしながら、答える。
「やっぱりね。 さすが嘘つき。帰りなさいよ。」
最悪だった。
”酷いわ....”
ただ、百合に、もう拒否など許されなかった。
百合は、覚悟を決め、検査着の裾に、指を伸ばす。
それと同時に、男たちの視線が、百合の下腹部に注がれる。
”なんで見せなきゃいけないのよ...身体検査なのに...”
百合はそう思いながらも、医薬用の絆創膏だけの臀部を、晒し始めた。
太ももまで見えていた検査着は、簡単に、捲りあがった。
白いと思っていた太もも以上に2つの双丘は白く、小ぶりの丘の間に、
貼られた絆創膏が、痛々しそうだった。
「おおおおお。」
男性たちは、耐え切れず、嗚咽を漏らすほどだった。
後で、同僚になる予定の可愛い子が、自ら裾を捲くって、股間を晒している。
後ろ向きに、腰を屈めているため、ことさら、下腹部が、強調されていた。
「うっ。」
百合は、その声で、嗚咽を漏らす。恥ずかしさで、死にそうだった。
それを物語るように、真っ白だった双丘が、ほのかに赤く変色してくる。
「やれば、できるじゃない。」
採用係の女は、嘲る様に語り、追い討ちを掛ける様に、ピシャリと、臀部を叩いた。
「あっ。」
手のひらの感覚に、百合は声を挙げる。
”そ、そこまでしなくても....”
百合は、そう思った。
「吉田先生。 ご迷惑をおかけいたしました。このとおり、百合さんも反省しておりますので、続きをお願いできないでしょうか?」
採用係の女性は、まるで人が変わったような猫なで声で、吉田に媚びる。
吉田も満足げな表情を浮かべていた。
”は、早く続きをしてよ!”
そんな一連の会話の間も、百合は、臀部を晒したまま、検査着の裾を上げていなければならなかった。
そんな百合の気持ちを察し、吉田が、採用係に、返答する。
「反省はしているようですが、さすがに百合さんも恥ずかしそうにしていますし、やはり、今回は見送った方が....」
吉田は、あえて、診察の拒否を伝える。
慌てたのは、採用係だった。
「そ、それは困ります。来年も先生にお願いしたいのですから...」
そして、矛先を百合に向ける。
「百合さん恥ずかしくないわよね!!」
まるで断言するように、お尻を突き出している百合に向かって命令とも言える返答を強要する。
”そんな訳ないじゃない!!”
百合は、思ったが、口にする訳にはいかなかった。
「......」
百合が黙っていると、また急かす様に、採用係が、百合に言葉を掛ける。
「ちょっと、いつまで、お尻振ってるの! あなたからもお願いしなさい。」
”も、戻していいのね。”
あまりに酷い言葉だったが、検査着を戻させてもらえるのなら、お安い御用だった。
百合は、慌てて、検査着を直し、腰を元に戻す。
そして、吉田と視線を合わせる。
”吉田先輩....酷いわ”
百合は心の中で吉田を祟るが、口から出た言葉は、別の言葉だった。
「お、お願いします.....」
吉田は、百合に頼まれ、少し考える素振りを見せる。
「百合さん。皆の前で、お尻出すのって恥ずかしいでしょ?」
当たり前の質問を投げかける。
”恥ずかしいに決まってる!!”
そう百合は思ったが、百合が答えるより早く、採用係が、返答してしまった。
「恥ずかしくないわよね? 検査だもの。」
そういって、百合を睨む。
「...はい。 恥ずかしくないです。」
百合はそう答えるしか無かった。
「解りました。それじゃあ次の測定に入りましょう。」
吉田は、百合の言葉に、おかしな笑みをたたえながら、検査を続行させた。
それから、数項目の体力測定が実施された。
男子たちの好奇の視線を浴びながら、ノーブラで走りまわるのは、
百合にとって、屈辱に近く、恥ずかしいものだったが、
お尻を丸出しにさせられるよりは、まだ我慢のできるものだった。
そんな中、吉田が、全員に声を掛ける。
「体力測定も、最後の種目です。人数も、ちょうど、9人ですので、3人一組でお願いします。」
”9人?”
吉田の言葉に、百合はビクっとする。
慌てて人数を数えると、自分を入れなければ9人にならないことに気づく。
「最後は楽しく騎馬戦をやってもらって、総合的な身体能力を見させてもらいます。」
吉田は、宣言した。