自分のショーツを他人の異性に渡すと言う行為は、百合にとって屈辱の行為だった。
さすがに、かしこまりましたと渡す訳にも行かない。

狩森は、そんな百合を冷ややかに眺めると急かせるように、片足を貧乏ゆすりしながら
、さらに命令をする。

「別に嫌なら良いけど? その代わり社則を朗読してる最中に自慰行為をした事を、
社員に通達して訓告処分とする。」

そう言うと狩森は笑いながら、付け加える。
「様は、同期の皆にお前は社内の玩具って事をばらしちゃう事だ....まあ同期の男
子の夜のオカズになれるぜ。」

百合には選択肢は用意されていなかった。
何処まで狩森が本気か否かは分からなかったが、楯突いて、本当にばらされたら社内に
いられなくなってしまう。

恥ずかしさを堪えながら、百合はスカートに手を入れ、ショーツを脱ぐしかなかった。

「若い女の子が、よくやるよな。」
狩森の言葉を浴びながら、百合はショーツを脱ぎ、自分の恥ずかしい布切れを自分の征
服者に渡した。

狩森は畳まれた百合のショーツを受け取ると、何の感情も表さないまま、百合の
胸ポケットに、ショーツを差し込んだ。

「え!?」

百合は何が起こったのかわからなかった。
一瞬の時間の間に、百合は頭の中でさまざまな思考をめぐらせ、狩森の魂胆が理解でき
てしまった。

ただ、その行為は百合にとって想像するのも嫌な事である。

「ハンカチみたいだろ?」

狩森の言葉は百合の妄想と同じだった。

胸ポケットに差し込まれた百合の汚れたショーツは、色が白だったこともあり、
礼服のハンカチの様だった。

もちろん近づいて良く見れば、違和感があるが、狩森はそんな事は気にもしていなかっ
た。


「ノーパンで、染み付きパンツを見せびらかしながら、一生に一度の内定式に出席でき
るなんて、お前は幸せだな。」

狩森はそういい残すと、医務室を後にした。

”.....ひどい。”

百合は呆然と医務室に立ち尽くしていたが、それも一瞬だった。
「戻るわよ。」

玲子が狩森の指示を実行に移そうとする。
「け、けど..こんな格好で戻れない!!」
百合は反論する。

ただ、玲子の一言により百合の羞恥心は壊れ始める。

「あなたも私も専務の奴隷でしょ?」


”奴隷....”
自分の立場がどんどん悪化していくのを百合は防ぐこともできず、
自分のショーツを胸に掲げながら、内定式会場に戻るしかなかった。

会場に百合が戻ると、数人の同期の女子が百合を取り囲む。

「もう大丈夫? パニック痙攣だったんでしょ?」
立食パーティー会場内では、百合の話で持ちきりだったようだが、
誰も、まさかリモコンでオナニーしていたとは思っていない。

さらには、そのときの残骸を染み込んだショーツが胸元にあるハンカチだとも気づかれ
ていなかった。

”良かった....”

百合は適当に会話しながらも安堵する。
ただ、胸元に刺さった自分のショーツがばれないかと思うと、どきどきしていた。

だた、その心配を他所に何事も起きず、時間が過ぎていく。
そんな中、壇上に狩森が上がった。

”嫌...何もおきないで!!”

百合が必死に願う。

「皆さん。今日から我が社の社員として、規律を守ってしっかりがんばってください。


それは閉会の挨拶だった。

”...良かった。”

百合は無事に内定式が終わった事を喜ぶ。
その後、人事から、明日の予定などの説明があり、内定式が終了した。

「百合さん。 専務室に戻るわよ。」
玲子に百合は呼び止められる。
同期の面々が帰社する中、百合は帰社を許されなかった。

「...はい。」

百合と玲子は専務室に戻る。
玲子は何も言わないまま、広い専務室の下座の端にいすを2脚並べると、百合をそこに
座る様に促すと自分も座った。

「....」
無言の時間が流れる。
「これから何が....」

静寂に耐えられず、百合が口を開いた。
「....」
玲子はしばし黙っていたが、思わぬ言葉をつぶやいた。

「奴隷に解かる訳ないでしょ...専務のお望みのまま..」

ぞっとするほどの冷徹な声だった。

”お望みのまま.....”
百合は、この綺麗な玲子が専務のいやらしい命令に従っていく姿を想像すると、
身震いした。


「入りたまえ。」
突然に狩森の声が響くとドアが開く。

狩森は一人ではなかった。
一人の若い男を連れて専務室に入ってくる。

若い男に百合は見たことがあるような気がしていた。

「稲田君。 今年度のキャリア採用として今後がんばってもらわないとならないな。」
稲田と百合は先ほどの内定式で一度顔をあわせていた。

「はい。がんばります。」
稲田は初々しく狩森に返答する。

「先ほど、内定式で同期を見ただろ? あれらの同期を束ねて管理するのが、君の仕事
だからね。」

稲田はいわゆる管理職採用で入社の段階で、一般社員とは違い、
将来が決まっている内定社であった。
全国一の国立大学を主席で卒業し、MBAをA社の費用で取得する予定だった。


そんな中、稲田が部屋の隅に座っている百合に気づいた。

稲田は一瞬うれしそうな顔をする。
「ゆ、百合さんも、キャリア採用ですか?」


稲田は一瞬、美しい百合と一緒に2人で仕事をできると想像していた。

ただ、稲田の期待していた返答とは別の返答が狩場から帰ってくる。

「ああ、それは玩具だよ。  君も使いたまえ。」

”!!玩具....”
百合は同期の前で玩具呼ばわりされ、顔が引きつる。

逆に、稲田には何の事か理解できず、
「...せ、専務。百合さんの事ですが....」
聞きなおしてしまった。

狩森は、稲田には何も答えずに百合に近づく。
「お手。」
同期の目の前で、まるで犬を扱うかのような言葉だった。

”ひ、酷い.....”
それでも狩森に逆らうことはできなかった。
玲子が、言った通り、百合は狩森の奴隷に近かった。

百合は屈辱感を味わいながら、狩森にお手をした。
もちろん稲田は、百合を注視している。

”こんな姿を見られたら....”

ただ、それだけでは狩森の要求は済まなかった。
「お座り。」
狩森は、専務室の床を指し示すと、椅子に座ることすら許さなかった。

その行為を見ている稲田の顔が引き攣っていた。
”稲田さん...”

百合は同期のトップに上り詰めるだろう稲田の前で、犬のように、
狩森の足元にうずくまる様に、膝を床に落とした。

”何処までやらされるの.....”
百合は恐怖でおびえる。
やっと内定式が終わったというのに、キャリア組みの内定式の出し物の様に扱われる。

狩森は足元にうずくまる百合に手を伸ばす。
何を触られるか解かった物ではなかったが、拒否できなかった。

狩森の手は、百合の胸元に伸びると、胸ポケットにしまったハンカチを引き抜く。

「そ、それは!!!」
百合が狩森の狙いを悟った時には、既に狩森の手に、百合のハンカチが移っていた。

「稲田君。これを見たまえ。」
狩森はそのまま、何が起こっているのか混乱している稲田にハンカチを渡す。

「や、やめて!!  それだけは駄目。」
百合が必死に訴える。

逆にその必死な百合の態度にハンカチを受け取った稲田は、マジマジとハンカチを眺め
て、驚いていた。

百合の胸元にしまわれていた、白いハンカチだと思っていた布は、明らかに女性の下着
であった。
しかも、この百合の嫌がり方は、本人の者であることを間接的に証明していた。

「ゆ、百合さんの...これ。」
稲田は思わず、確認してしまう。

百合は恥ずかしさから、稲田に渡った自分のショーツを取り戻そうと立ち上がる。
「おい。お座りて言っていただろ?」

冷徹な命令が狩森から出た。
「私と、キャリア組みの玩具だろ?君たちは。 いう事聞かないと一般社員にも公表し
て、内定式での出来事を....」

狩森は笑っていた。
そして、稲田に声をかける。

「キャリア組みのモラル維持のため、玩具を用意した。
これで、稲田君に十分投資しても転職などしないだろう?」

その言葉に稲田も狩森の思惑が通じていた。

「ほ、本当ですか?」
稲田の問いかけに、狩森は笑ってうなずく。
「そのハンカチ広げてみれば、百合がどんな女か解かるぞ。」

”ひ、拡げる....”
百合は自分の目の前でどんどん進展していく現実に卒倒しそうだった。

稲田も、狩森のお墨付きを得て手に持ったハンカチを拡げる。
事もあろうか、百合の顔と手に持ったハンカチを見比べながら、男が見てみたい場所で
、女性がもっとも見せたくない場所を確認した。

「き、汚い....」
その言葉は稲田が発した言葉だった。
稲田の言葉は、百合の心に突き刺さる。

数時間の間、ずっと弄ばれ続けた百合の感情を受け止めていた布だった。
そして、胸ポケットで乾燥させられ、どうしても黄ばんでしまう。

ただ、稲田にとって初めて目の当たりにしたその物体は汚いという感想しか出なかった


「ゆ、百合さんが?」
明らかに黄色に変色した場所と、清楚な顔立ちの百合を見比べる。

「どうなんだ?」
狩森は、それすら本人に言わせるつもりだった。

”この人達のおもちゃ...”

百合は、先ほどまで同じ内定式の会場にいた稲田に向かって、つぶやく。

「はい。   私のです。」

口にした瞬間、百合の目から涙が零れた。