誰も何も言わず、百合そのものを注視していた。
勝気で綺麗な百合が内診台に座り、女性の全てを晒している。
誰も視線を外す事などできなかった。
M字開脚と言えば一言で済むが、百合の白い足がM字に曲がり羞恥で朱に染まった太もも
の中心に百合に似合わない性器が見える。
性器に着色など無く、綺麗といえば綺麗だったが、やはりグロテスクだった。
「それじゃあ百合さん。膣の中が見えるように中身出してください。」
吉田が、陰湿に百合に近づく。
”そ、そんな事できるわけ無いじゃない!!”
「そ、それは、で、できない!!」
百合は必死に首を横にする。
「そうですか....自分で広げられないとすると...これで。」
吉田が30cmほどの器具を取り出す。
「な、何それ!!」
百合が驚く。
それは、ほとんど知識のない百合がどうにか想像できたクスコと呼ばれる機器とは似ても似つかない物だった。
「外科手術用しか用意できなくて大掛かりになってしまうけど、大は小を兼ねるので大丈夫ですよ。」
吉田が平然と言い放った。
その機器は、針金で作った天板の無い小さめのテーブルの様な形だった。
4本の足は稼動式でかなり長かった。
「この足の部分を性器に挿入してこのレバーを引きます。」
吉田が、機器を操作すると、4本の足が外側に拡がった。
「痛みが伴うかも知れませんが、麻酔しますから、少し裂けちゃっても大丈夫ですからね。」
吉田がにやりと笑った。
「カチャ、カチャ。」
機器の足を拡げたり閉じたりする。
百合は余りの恐ろしさに顔を引きつらせる。
吉田が鉄製の足を拡げるたび、本当に自分の大切な場所を、遊びのために、こじ開けられ
体の中まで見世物にされる気分になる。
もう耐えることなどできなかった。
数々の恥ずかしい映像を撮られてしまっていたが、そんなことよりも、こんな機械で、弄ばれるよりましだと思った。
しかも、これで終わるとも思えなかった。
百合は何も言わず、太ももを固定されたバンドを外す。
「逃げたらどうなるか解ってるの!!」
採用係の女が、百合の行動に気づく。
百合に近づき、耳元でささやいた。
「今の映像も全部私が持ってるのよ。」
こんどは百合もひるむ事は無かった。
「ばら撒けばいいじゃない!訴えるわ。」
”就職なんてどうでもいい!!”
百合は内診台から降りる。
たくさんの視線から逃げる様に、体育館の端のロッカーに走った。
「内定は取り消しよ!!」
後ろで叫び声が聞こえるが、百合は無視する。
慌しく服を着ると、ブラウスの裾も直さずに、体育館から飛び出した。
”これからどうなるんだろう...”
”あんな映像がばら撒かれたら...”
百合は必死に走りながら、そんなことを思った。
自分が何処に向かっているのかも解らないまま、ひたすら走り続ける。
もうどれくらい走っただろう。
走る気力も無くなり、とぼとぼと歩いていた。
”...就職どうしよう。”
現実が百合に戻ってくる。
ふと自分の格好を見るとブラウスの裾がスカートからはみ出ていた。
立ち止まり衣服を整える。
それでも、何も着ることのできなかったあの場所よりはましだった。
”今日は帰ろう....”
百合は家に帰る。
「どうだった?新しい会社は?」
家に戻ると母親が百合に話しかけてきた。
「...」
百合は何も言わず首を横に振る。
母親は、勝気な普段の百合と違う態度に、察したようだった。
もちろん、その母親が想像以上の事が百合の身に降りかかった事はわからなかった。
それから簡単に数日が過ぎた。
”忘れよう...”
そう思うしかなかった。
そして現実にも取り立てて代わることは無かった。
毎朝早く目覚めてしまい、近所に変わった様子がないかなんとなく確認してしまったが、
事件は起きなかった。
それどころか嬉しいできごともあった。
10月1日に行かなかった少し給与は安いが、業界トップの採用室に駄目もとで電話したところ、2次採用分で採用してくれるとの返事ももらっていた。
”夢の世界の出来事だった...”
思い出すのも嫌だった。
そして、年が明ける。
百合の元に、大手アパレルメーカからの内定通知書が送られてきた。
”しっかり読まないと..”
今度は、中身を百合は確認した。
ありきたりの内定書であったが、百合を”ドキッ”とさせる文面が記載されていた。
「2/1の内定式までに、指定の病院での健康診断を受診しておくこと。」
そして指定病院の一覧があった。
”嫌...”
百合はそう思ったが、一覧の病院は大小様々な病院が記載されており、取り立てて可笑しい所は無かった。
それでも百合に戦慄が走った。
”行かなきゃ...”
百合はなるべく家の近くの病院に向かった。
個人の病院はなんとなく避けてしまった。
市内ではそこそこ大きめの病院にした。
病院内に入ると百合は内定書に同封されていた依頼書を受付に差し出す。
「健康診断ですね。」
受付の看護婦は感情も無く百合に言う。
「..はい。」
「お待ちください。」
この一言すら、百合には辛かった。
待合室で待っている間も百合はドキドキしていた。
「茨木百合さん。 診察室にお入りください。」
百合は覚悟を決める。
診察室に入ると中年の男の医師だった。
簡単な問診、血液採取、身長体重など、てきぱきとこなす。
「はい。 聴診しますので、そこに座ってください。」
医師にしてみれば、健康診断など、面倒くさい職務なのかも知れなかったが、
百合にとって緊張の一瞬だった。
最近は、服を脱がずに聴診を行ってくれる病院もあった。
”このままで済みますように...”
百合は丸椅子に座って医師と対面する。
「茨木さん。シャツの前を開けて、下着を取ってください。」
恐怖の体験をしたばかりの百合にとって、羞恥の宣告だった。
「...はい。」
相手は医者だった。
逆らうことなどできなかった。
百合は自らブラウスのボタンを外し、白いレースのブラを露にする。
見事な形の胸が現われる。
さすがの医者も吸い込まれるように視線を移す。
”嫌...なんで医者なんかに....”
医者の視線に、下着を取るのを躊躇するが、医者はただ、待っている。
百合がいくらそう思っても、ブラも外さなくてはならなかった。
背中に手を回すと、百合はフォックを外す。
一段と、医者の視線が、百合の胸に絡み付いてくるような錯覚を覚える。
「と、取らないと..駄目ですか..」
百合が最後の抵抗をする。
「診察の邪魔ですので渡してください。」
そう言ったのは、看護婦だった。
医者にも、単なる患者であった百合を、恥ずかしがる女性として興味を与えてしまった様だった。
「恥ずかしいの?」
百合にとって追い討ちを掛ける言葉を医者が吐いた。
「えっ...」
百合が答える前に、看護婦が下着を渡すように、手を伸ばす。
これ以上の拒否はできなかった。
百合はブラのカップを自らの胸から外すしかなかった。
上向きに跳ね上がったと表現できる綺麗なお椀型の胸を医者に差し出す。
透明と思える乳房に、薄紅色の可愛い乳首が乗っていた。
百合はいつも以上に健康診断に敏感になってしまっていた。
医者の視線は、明らかに、自分の胸の突起に向かっている。
”なんで...会社に入るのにこんな仕打ちを..”
百合は、自分の胸に聴診器の冷たい感覚を覚える。
柔らかい自分の胸に、食い込むように押し当てられる感覚に、百合は自分の胸の突起が反応してしまっている事に気づいた。
”恥ずかしい..”
今回は本物の診察であったが、百合にとっては何も変わっていないような気がした。
「はい いいですよ。 問題ありません。」
ただ、今回は本物の検診で、診察はいたって簡単に終わった。
百合は慌てて下着と服を身につけ診察室を後にした。
百合は、受付で診察結果を受け取る。
”これさえ済ませておけば...あんな事には...”
後悔が募った。
2/1 大手アパレルメーカの2次採用式の日になった。
百合は、リクルートスーツを纏って、A社の本社に向かう。
さすが、上場企業の本社ビルといった感じの学生には近づきがたいフロントだった。
就職活動中は、受付に行けば”新卒採用はこちら”の看板があったのだが、今回は何の案内も無かった。
”2次採用って少ないから?”
百合は、社会人に混じって受付に並ぶ。
「いらっしゃいませ。ご用件は?」
さすがの百合でも引いてしまうほど綺麗な受付の女性がにこやかに微笑んだ。
「A大学の茨木百合と申します。2次採用の内定式に出席したいのですが?」
百合が受付嬢に依頼する。
「...人事部に確認しますのでお待ちください。」
受付に話が言っていないようだった。
百合は少し不安を覚える。
受付嬢が、電話を取り人事部に連絡する。
「人事部ですか?受付ですが2次採用の学生さんがお見えです。いかがいたしましょうか?」
「聞いていない? はい。解りました。待ちます。」
「...」
百合は受付の電話の受け答えに耳を向ける。
”き、聞いていない?”
百合に不安が募る。
「はい。 人事部採用ではないのですね。 ...えっ」
「狩森専務の採用ですか? 解りました。」
受付が受話器を置き、一瞬確認するように、百合に視線を向ける。
そしてまた受話器を挙げた。
「専務室ですか? 学生の茨木様がお見えです。」
「解りました。」
今度はすんなりと行ったようだった。
「学生さん。 専務の秘書が参りますのでお待ちください。」
受付が百合に声を掛けた。
”専務採用?”
百合には意味が解らなかった。
しばらく経つと、秘書の女性が現われる。
受付の女性とは違うタイプの美人だった。
「茨城百合さん? 専務室までどうぞ。」
冷たい感じの秘書が、冷たく百合に声を掛けた。