”...濡れちゃう”
加奈は、何を言われた訳ではないのに、スカートの上へ、自分の手が移動してしまうのを
感じていた。
”...へんな事考えちゃだめ。”
そんな時だった。
「もう、付きますよ。」
運転手の声がする。
”や、やっと着いた....”
加奈はどうにか安心する。
「そ、そこの角に止めてください。」
家族に、タクシーを使ったことがばれない様に、50mぐらい手前で加奈は、降りようとした。
「7280円です。」
運転手が、声を掛ける。
加奈は、財布を空け、1万円札を取り出そうとした。
”....な、無い”
先ほどの1万円札が、消えていた。
幾ら財布を捜しても、万札は消えたように無くなっている。
もちろん、加奈自身の財布の中身は、収まっていたが、学生の加奈は3枚の千円札と、小銭ぐらいしか持っていなかった。
慌てた様に財布をごそごそさせている加奈に運転手も気づいたようだった。
「7280円! さっき万札持ってたでしょ?」
さすがの運転手も、後部座席で、ごそごそしていた加奈に、ため口で、催促しはじめる。
”早くお金出して!!”
頭の中で男に必死に頼むが、相変わらずこんなときには応答が無い。
仕方なしに、運転手に詫びるしかなかった。
「そ、それが..さっきのお金なくしちゃって...」
加奈は、申し訳なさそうに返答する。
「そんな訳ないだろう!!」
運転手は、怒った様な口ぶりになってくる。
「最近、ねえちゃんみたいな客が多いんだよね。女だから許してもらえると思ってただ乗りしようとする輩がさあ。」
その怒気に加奈も動揺する。
「そ、そんなつもりは無かったんです。さ、さっきまで1万円持ってたの..運転手さんだって見たでしょ?」
加奈は、恐縮した声で運転手に詫びる。
運転手は加奈の言葉に何か気づいた様だった。
「御姉ちゃん、さっき万札隠しただろ?そこに!」
運転手は、加奈の下腹部を指差す。
「え!か、隠してなんかいません!」
加奈は、運転手の視線と指をさえぎるように、手でスカートを押さえる。
「じゃあ、さっきから何ごぞごそしてたんだよ!」
それは、運転手が加奈の一連の行動を見ていた事を表していた。
”み、見られていた...”
加奈は、自分の顔が高潮していくのが解る。
ただ、”いじってました”とも、”見えない男に脅迫されて”とも言える訳が無く言葉に詰まる。
「そうなんだろ、男の運転手だったら、パンツの中に隠しちゃえば見られはしないと思ってるんだろ?」
「最近の若い女は、たちが悪い。」
運転手は、そういいながら車を降りる。
”ど、どうしたの?”
加奈がそう思った時には、後部座席のドアが空き、運転手が加奈の隣に乗り込んでくる。
「ほら、全部脱げよ。」
運転手の言葉に、加奈は体を硬直させる。
「そんなことできません!!」
加奈は、運転手から逃げるように反対側に少しでも寄ろうとする。
ただ、運転手の方が一枚上手だった。
「じゃあ、警察行こう。 こっちは悪いことしてるつもりは無いんだよ。」
脅すように、運転手が落ち着いて説明する。
「乗り込んで来たときには、1万円札見せ付けておきながら、降りるときに無いなんて...
しかもだよ、乗車中にスカートごぞごぞしながら、股間触ってたって警察に言えば、警察だって調べるだろ?」
加奈にも運転手の言うことは理解できた。
明らかに、自分に理が無いことは解る。
ただ、警察に届けられて無賃乗車したなんて事が親や学校にばれたら、トンでもないことになると思った。
「ほ、本当に隠してなんて無いんです。警察なんて言わないでください。」
加奈は、何度も運転手にお願いするしかなかった。
「けど、ねえちゃん。さっきここ触ってたよね。」
運転手は、デリカシーも無くモロに加奈の股間を指差した。
加奈の隣に乗り込んできている運転手の指の先から、本当の場所まで10cmほどであり、明らかな場所を指さす。
”恥ずかしい....”
とは言って居られなかった。
「す、すみません。 で、出来心で...」
その言葉を運転手は、逆の意味で取ったようだった。
「そこに隠しちゃったんだ。」
優しく加奈に言い聞かせるように言う。
「か、隠したんじゃなくて...」
加奈は、恥ずかしさで、死にそうだった。
ただ、無賃乗車をしたことを認める訳には行かなかったし、実際にそんなことをするつもりも無かった。
「隠したんじゃないの? じゃあ何してたの?」
運転手が訝しげに、加奈を見る。
”もうどうにもならない....”
加奈は覚悟を決めるしかなかった。
「お、....」
言葉に詰まる。
加奈は、自分の背中に冷や汗が垂れていくのが解った。
「お、なに...したくなって...隠した訳では無いんです。」
最初の単語は、聞き取れるか取れないか解らないほどの声だった。
「”お・なに”したくなった??」
運転手は初め意味が解らなかったが、運転手自身が発した自分の声で、目の前の女の子が何を言ったか理解した。
「き、君!! タクシーの中でオナニーしたくなったの?」
露骨な表現で、運転手が加奈に聞きかえす。
”...脅されてたから....”
そんなことを運転手に言ったら、変人と思われてしまう。
もう素直に加奈は、頷くしかなかった。
見も知れないタクシーの運転手に、”オナニーしたくなった?”と聞かれ頷くことは加奈にとって死にそうなことだったが、
無賃乗車で、警察沙汰になるくらいなら仕方が無かった。
加奈は、運転手の視線がまるで変態を見るような目になるのが解った。
「ねえちゃん、スカート捲ってみろ。」
運転手は、軽蔑の視線を加奈に向けながら言い放つ。
「そ、そんなことできない!!」
加奈は抵抗するが、分が悪かった。
「人様の車内で、オナニーするやつが恥ずかしいも糞もあるか!!四つんばいになってケツ上げろ!!」
まるで動物を扱うかのような命令だった。
「俺が確認して隠してなかったら、ちゃらにしてやる。隠してたら、警察だからな!!」
運転手の言葉は、有無を言わせない感じだった。
”ど、どうしてこんな事に....”
加奈は、恥ずかしさに耐えながらも、見ず知らずの男の前で、四つんばいの姿勢をとるしか無かった。
狭い車内で、スカートを捲らなくても淫猥な格好だった。
只でさえ、隣に運転手も乗っていて狭い。
加奈は運転手に、されるがままに、普段は足を置くスペースに無理矢理、頭を入れさせられ、お尻を運転手に差し出す様な格好をさせられる。
ついに、運転手の手が、加奈のスカートに触れる。
「や、止めて!! 嫌!!」
加奈は、思わず声を上げる。ただ拒否することなど出来ないことだった。
運転手は、加奈のスカートから一旦手をどける。
「そうだよな。別に俺は、強制してるわけじゃないんだよ。嫌なら止めて警察いこうぜ!」
その言葉に、加奈は、謝ることしか出来なかった。
「すみません...」
頭を車の下部に入れ、お尻を突き出したまま、情けない声を上げる。
「誤るくらいなら、自分でスカート捲れよ!!」
運転手は、加奈に更なる羞恥を与える。
自分で捲るくらいであれば、捲られた方がましだった。
”そ、そんな...”
ただ、捲ってくださいと、もう言える訳も無かった。
先ほどと同じような恥ずかしさが、加奈を襲う。
それでも、自分のスカートに手を伸ばし、運転手の視線に、太ももを露にしていった。
「おお!見えてきた。」
馬鹿にするような言葉を浴びながらも、加奈はさらにスカートを捲くり、白いショーツを見せるしかない。
そのときには、運転手の視線の先にも加奈の純白のショーツが見えていた。
”なんで私...こんな人に見せなきゃいけないのよ!!!”
そんな思いが募ったが、加奈にそれどころでない感覚が起きる。
運転手が、ショーツの上から、しかも、女性が一番触れてほしくない場所にいきなり触ってきたからだった。
「な、何するのよ!!触って言いなんて言ってない!!!」
加奈は、叫ぶように言った。
運転手の反応は、意外な反応だった。
「ねえちゃん..本当にオナニーしてたんだ。」
あからさまに運転手は、触った指の匂いを嗅いでいた。
「パンツ、ベッチョリだぜ。」
今日、加奈に起こった数々の羞恥を受け止めてきたショーツだった。
加奈にも解るほど濡れていた。
ただ、いきなり触られ、そのことを指摘されながら、あろう事か匂いを嗅がれている。
「嫌!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
車内に、加奈の絶叫が木霊した。
もうどうでも良かった。
加奈は、身を起こし、スカートの裾を戻す。
その時だった。
加奈の頭にやつの声が響く。
『何やってんの?万札握りしめながら』
加奈は、気づく。
手に万札を握りしめていた。
「み、見つかったわ!!」
加奈は、運転手に握りしめた万札を差し出す。
「え! な、何? え?」
運転手は唖然としていた。スカートから取り出したわけでは無いことは、彼自身が見ていることだった。
「は、早く降ろして!!釣りはいらない!!」
加奈の声に圧倒されてか、金もあり運転手は、ドアのロックを解除する。
そして加奈は、慌てて逃げるように、タクシーを後にした。
家に向かって加奈は走る。
部屋に戻りさえすれば...その一心だった。
今日あった羞恥を忘れ去りたい。
必死に全速で道を走る。
そんな加奈の頭に、やつが話しかけた。
『楽しかった...部屋では何しようか?』