ある湾岸地帯に、かなりの音量で鳴り響く音楽があった。
その音律に合わせながら、20人近い女の子が一定のパターンで踊っていた。
一昔前にクラブで流行ったパラパラの進化系というべきか。
菜奈美は、そのチームのまとめ役だった。
「おつかれ。今日はこれで終わり。」菜奈美は、チームのメンバに声を掛けた。
その掛け声と共に、メンバは、雑談をしながら、荷物の片付けを始めた。
メンバの多くは、バイトをしながら、日々遊び暮らす子が多かったが、
菜奈美は、大学に通い、来年には、社会人になる予定であった。
そもそも菜奈美は、カリスマ性に優れ、メンバからも信頼があった。
何のきっかけでリーダ的存在になったのかは、明確でなかったが、菜奈美の行動力と、
仲間を大切にする性格に加え、集団で踊っていても明らかに目を引くスタイルと顔立ち
があったからであろう。
菜奈美は、あと少しで終わる青春を満喫していた。社会人になってからは、
こんな怠惰な生活ができないことも解っていたし、今いる仲間を大切にしたかった。
ある程度片付けが終わりいつも仲間でたむろっている、空きスタジオに向かった。
そのスタジオは、現在は、使用されておらず、メンバの1人の親の所有物だった。
いつもどおりの雑談をしていると、チームのメンバの理沙が、思いがけない相談をしてきた。
理沙は、菜奈美とは、このチームができる前からの中学の後輩で、内向的な性格な子だった。
その性格が少しでも直ればとの親ごごろ的な事も働き、このチームに誘ったのも菜奈美だった。
今日の練習に、その理沙の姿はなかったはずだった。
その理沙が、目を真っ赤に腫らして、菜奈美に近づいてきた。
その姿を見て、他のメンバに聞こえないように菜奈美は、理沙に言った。
「どうしたの?その顔、練習にもこないで。」その問いかけに理沙は、申し訳なさそうに、
「お金。お金貸してください。」そう言った。
理沙は、そんな浪費家ではないはずだった。何か訳があるに違いない。そう菜奈美は確信した。
「幾らいるの。」そう聞くと、「100万円。」そう理沙が答えた。
菜奈美は、訳も聞かず、貸すつもりだったが、あまりの金額に驚いた。
「そんな大金何に使うの?」菜奈美は、理沙に確認した。が、
100万円という金額は、菜奈美にも用意できる金額ではない。
「・・・ごめんなさい。」そう言うと理沙は、状況を泣きながら話し始めた。
「なんてことに。」菜奈美は、最悪の状況であることに愕然とした。
詳細は、
理沙が、メンバの智子にそそのかされ、バストアップの薬を試したらしい。
ところが、その薬は、合法ドラッグだったようだ。それを知ったものの、合法との事で、2人はやめられず、
はまってしまったとの事だった。
初めは、1回300円だった物が、手に入りにくくなったとかなんとか理由をつけられ、
5000円、1万円と値段が上がっていき、ついに借金という形で常用したようだった。
ついに回収に廻ってきたようで、利子分の100万円を本日返さないと、智子が、まずいことになるようだ。
「利子100万って、いくら借りてるの?」菜奈美は、問いただすものの、
契約書に何回もサインしたので、金額が解らないとの事だった。
「智子は、どこにいるの?」との答えには、
「店の販売店に捕まっていて、理沙がお金を持ってくるのを待っている。」との答えだった。
”とりあえず行かなくちゃ”責任感の強い菜奈美は、自分のチーム内で起こった状況に対し、
解決しなければならないと思った。
また理沙の答弁には、あいまいな点が多く、事実を確認すべきと思った。
「お店はどこなの?」菜奈美は、そう言って理沙に確認し、早速、2人でその場所に向かった。
2人がたどりついた場所は、お店とは程遠い、雑居ビルの3Fだった。
菜奈美は、怪しみながら、ドアを開ける。
理沙は、内部を心得ているようで、中に入っていった。菜奈美もその後に従う。
奥には、革張りのソファーがあり、そこに1人の男が座っていた。その脇には、2人の男が立っていた。
”本物のやくざ”菜奈美は、実物を見たことも無いのに、直感した。
座っている男は、一見サラリーマン風だが、たっている男は、チンピラと言うより、
格好も年も本職ぽかった。
「着たか。金は?」男が、理沙に言う。
「智子は?」理沙が智子を探す。
「ここには、いない。」男は、そう答えた。
「智子をどこにやったの?お金は何とかするから返して」菜奈美が、たずねた。
”このままじゃまずい。お金はカンパで何とかするとしてこいつらから切れないと”
菜奈美は、そう判断した。
「ねえちゃん。誰?」そう聞かれ、菜奈美は、「この子達が所属しているチームのまとめ役です。」と答えた。
「ほお。わいは安藤だ。」中心の男、安藤は、そう答えると、菜奈美をなめまわす様にみた。
「ほら、借用書。けどな、あんたのチームには、まだまだ予備軍いるぜ。
あんたの様に、みんな乳でっかくないからな。 がはは。」
そう答えた。
露骨に菜奈美の胸を見る男を菜奈美は無視し、何枚もの、借用書を確認した。
その合計額は、1000万を超えていた。利子率は、30%近い。
”ぎりぎり合法..物も合法ドラッグ”警察では相手にしてもらえない”
菜奈美は、相手の弱みに付け込む商売をしている安藤を睨みつけたが、
予備軍がいるとの事にも愕然とした。
金額があまりに多きかった。
「何とか、100万、いやもう少し集めます。うちのチームから手を引いてもらえませんか?」
菜奈美が、交渉を始めた。
安藤は、待機している男に、理沙を連れて行くように指示した。
傍らの男は、理沙を連れて行こうとした。
「何をしているの!」菜奈美は、抵抗しようとした。
安藤は、
「あんた、これから金の交渉をするんだろ。こいつは要らないから、もう一人と同じ場所に行ってもらう。
交渉がまとまれば、解放するから安心せい。」
そう言った。
理沙は、その言葉を聴き、「菜奈美さん。お願いします。」と言って素直に出て行った。
”なんでそんな素直に..”菜奈美は、1人残され安藤と対峙した。
1人になった菜奈美は、心細くなったものの、気強く、
「お願いします。2,3日で集めますので。」再度、安藤に食い下がった。
安藤は、その菜奈美の要求に対し、返答した。
「解った。あんたに免じてあんたのチームから手を引く。但し」
そう言って手元のタバコに火をつけた。そして話し続ける。
「3日以内に100万。」そこまでは、菜奈美の要求どおりだった。
「と、今の2人だけは、中○国に売らさせろ。」といたって平然に菜奈美にいった。
「う.売るって。」菜奈美は、思わず聞き返してしまった。
「最近中○国には金持ちが多くてね、過去の腹いせか、日本の女を ひいひい いたぶって
遊びたいらしく、2,3年風俗で泳がせて、最後にマニアに下取りをさせれば、
マニアが、かってに ばらして くれる。」
安藤は、笑みをこぼしながら続ける。
「警察も、”中○国に遊びに行く”って置手紙書かせれば、失踪扱いだからな。
失踪程度だと件数が多くて取り合わない。問題なしだ。」
菜奈美は、安藤の話しを聞かされ、怒りを募らせた。
「そんなことさせない。2人を返してください。」
”2人を見捨てて、そんな目にあわせるわけにはいかない”その一念だった。
「100万なんてカスなんだよ! そもそもお前の要求が子供なんだよ。
女1人で乗り込んできた勇気を買ってやったんだ。飲めないなら、
さっさと帰れ。お前のチーム根こそぎ売りさばくのに忙しいんだ!」
安藤は、菜奈美に興味を失ったように手を振って帰るように指示した。
”仲間を失うわけにはいかない、どうにかしないと。”
菜奈美は、もう一度、安藤にお願いするしかなかった。
「3日で100万円、1週間で、もう100万円用意します。お願いします!」
菜奈美は、もう100万円上乗せした。
できるかは解らないが、カンパとチームの貯金、自分の貯金と、限界ぎりぎりの金額提示だった。
その必死さは、安藤にも伝わった。
「必死だな。お前が売られるわけでもないのに。
いい子ぶってどうすんだ。本当に頼みたいなら、土下座して靴なめれるか?」
安藤は、冗談交じりに菜奈美に言いながら、帰れのしぐさをした。
中学からの後輩の理沙や智子が、これから味わう苦汁を思えばと思い、
”土下座で許してもらえるなら...”とその場で土下座をした。
綺麗な長い髪が、地面に広がった。
目の前に安藤の靴があった。 土下座までは、躊躇がなかったが、
実際の靴を前に、屈辱感が、菜奈美を襲った。
しかし、その感情を押さえ込み、安藤の靴にやわらかい唇を触れさせた。
”靴に唇を当てている”押さえても押さえても、屈辱感が生まれた。
「あっ!」菜奈美は、声を上げた。
安藤は、菜奈美の髪を鷲掴みにして頭を上げさせると、あごのしたに靴を持って行き、
靴をゆっくりと上下させた。
靴と、手で挟まれた菜奈美の端麗な顔が、上下する。
菜奈美は、なすがままで、外すことのできない自分の立場に更なる屈辱を覚える。
「面白れえ。お前みたいな意地っ張りの鼻をへし折るのも楽しめそうじゃないか。」
安藤は、そう言った。
菜奈美は、その言葉が何を意味するのか判断できなかったが、若干の恐怖を覚えた。
「2人を売り飛ばせねぇのは残念だが、2,3日、お前で楽しめれば許してやるよ。」
「100万も勘弁してやるし、お前も解放してやる。」
安藤がそう言った。
「私で楽しむ?って何をすれば。」菜奈美は、土下座の格好で安藤に聞く。
「俺が喜ぶ全てのことだ。裸で”どじょうすくい”したり、ケツにバット突っ込んだりすんだよ。
はははは。」
冗談か本心か、想像もできない要求を突きつけられ菜奈美は、どうして良いのか、その場で固まった。
安藤は、菜奈美の髪から手を離すと、ソファーにふかぶかと座り、
「さてと。お前、名前は?」
タバコ臭のする口から、床に唾を吐いた。
「菜奈美です。」菜奈美は、場所もわきまえず、唾を吐いた安藤の行動に嫌悪を覚えながらも、答えた。
「菜奈美。汚れた床、綺麗にしろ。」自分で吐いた唾を指さし、菜奈美に指示した。
菜奈美は、安藤を見たが、にやにや笑っているだけだった。唾は、若干黄ばんでおり、触れるのもおぞましかった。
しかし、菜奈美の行動を安藤は、見守るだけだった。
ポケットからティッシュを大量に取り出し、直に触ることのないように拭こうとした。
「ふざけんな。口で舐めるんだよ。」
安藤は、一喝した。
菜奈美は、ありえない要求に、完全否定した。
「これ舐めるなんて人間のすることじゃない。」我慢にもほどがある。
立ち上がり、安藤を睨んだ。
「そうだろ。帰れ。あの2人見捨てりゃすむことだ。あいつらは、人間やるのももう少しだからな。」
安藤は、何事もなかったかの様だった。
「そんな..あの2人は、これからどうなるの。」菜奈美が安藤に問いただす。
「お前が助けてやれなかったから、こんな感じだな。」
安藤は、1本のDVDをデッキに入れた。
再生された画像には、安藤と少女が、この場所に写っていた。
音声が聞こえる。
”安いチケットが急遽、手に入ったこれから中○国語の勉強を中○国にしにいきます。”って書いて
安藤が言っていた。
「それでな。結局こうなんだよ。」安藤は、菜奈美に言いながら、早送りを掛けた。
「ほら、再生。」安藤は、再生を始めた。
”嫌、やめて”
「嫌、やめて。」画像の少女と菜奈美は、同時に声を上げた。
かなりやつれた、先ほどの少女が、全裸で縛られていた。
周りに集った男数人が、よってたかって少女に暴行を繰り返す。
シーンが変わり、少女がぐったりとしていた。
そこで、安藤は再生をやめ、
「これを1,2年繰り返すだけだな。」
と菜奈美に説明した。
菜奈美は、愕然とした。理沙が..と思うだけで体が震えた。
「もういいから、帰ってくんないかな。」そう言って
安藤が菜奈美を催促した。
「2人を、助けます...」 菜奈美は、安藤の前でひざを折り、
安藤が吐き出した唾を凝視した。
汚かった。変色した唾は黄色く淀んでいる。
「あぁ。」思わず悲痛のため息がでたが、ついに舌を伸ばし、
接触させた。舌先に感触が伝わる。 生臭い匂いとタバコの味だった。
菜奈美の頬には、自然と涙が伝わった。
安藤は、その菜奈美を確認して、「お前、きたねえ。」とあざ笑った。
そして菜奈美の髪をつかみ、自分の唾に菜奈美の口を押し付けた。
「うぐっ。」菜奈美は嗚咽を漏らす。
ぬるぬるした感触が口の周りに感じた。
安藤は手を離したが、菜奈美は、屈辱で起き上がることもできなかった。
「ははははは。」高笑いをした安藤は、菜奈美を起き上がらせた。
菜奈美は、ブラウスで必死に口を拭いた。
ブラウスと、顔は、口紅で汚れる。その汚れた顔も、丹精で美しかった。
屈辱で放心状態にあった菜奈美に対し、
安藤は、ブラウスの上から菜奈美の豊満な胸を鷲掴みにした。
「やめて。」菜奈美は、我に帰り、身をのけ反らせた。
「何がやめてだ。お前が触って欲しいっていうから、触ってやってんだろ。」
安藤がそういった。
「そんなこと言っていません。床も..掃除したんだからもういいでしょ。」
菜奈美は、安藤を非難した。
「床掃除だけっていつ言った?少し遊ばせろって言ったはずだが?」
これは、安藤が正しかった。
”しばらくの辛抱よ”菜奈美は、そう思うしかなかった。
あのDVDに比べれば。そう思った。
「お前が触って欲しいって言ったよな?」安藤が再度確認した。
「..はい。」
そういわざる終えなかった。
菜奈美は、顔を背けながらも腕で胸を隠す行為をやめた。
再度、安藤は、菜奈美の胸を揉む。
遠慮のない力加減で、もまれた胸から痛みを感じたが、それ以上に嫌がることのできないことが、悔しかった。
この後、何が起こるのだろう。自分は、2人を守れるのかそのことが頭をよぎった。