こころの教室 遊びの指導 学習指導案

1 単元名 電車ごっこで遊ぼう

2 単元のねらい
 ・友だちといっしょに楽しく電車ごっこの遊びをすることができる。
 ・切符を購入したり 改札を通過したりする際、自分なりの意志を伝えて、相
  手とやりとりをすることができる。
 ・段ボールを使って、自分なりに工夫して、電車やゲームを製作することがで
  きる。
 ・教師や友だちと場所や物を共有しながら、自分なりに好きな遊びをすること
    ができる。

3 単元について
 ・子どもたちは知的な発達だけでなく、社会性の発達に大きなハンディキャッ
  プを抱えている。人との関わりは少なく、一人遊びが多い子どもたちである。
  自発的な意欲に支えられて、友だちと遊びの中でやりとりをしたり、楽しん 
   だりする力をつけていくことは、社会性の発達に欠かせないことである。対
   人意識を育て、望ましい社会的行動を身につける上で、遊びの指導は何より
  も大事にしなければいけないものであると考える。
 ・本単元において、「電車ごっこ」を取り上げたのは、どの子も電車に乗った
   ことがあること、電車の図鑑やビデオを見るのが好きな子が多いことが理由
  である。つまり、子どもにとって、電車がイメージしやすいということが第
  一の理由である。また、電車ごっこを通して、一人遊びだけでなく、複数で
  の遊びも作りやすく、やりとりの場面も設けやすいと考えた。
 ・電車ごっこだけでなく、それに乗ってゲームセンターに行くということにし
  た。そこには、自分の好きな遊ぶ物を置いたり、いくらか友だちとのやりと
  りが必要なゲームを置いたりする。これによって、自由に好きな遊びをする
  時間も保障でき、内容に変化を持たせることができると考えた。

4 指導にあたって
(1)児童の実態について(略)

(2)研究仮説との関連
 研究仮説は、子どもたちの知的発達や社会性の発達の特性から、次のように設定している。

   状況を整え、適切な課題を準備することで意欲が増し、自分のもっ
   ている気持ちや考えをいろいろな形で表現することができる

 本学級では、「状況を整え」るというのは、具体的には、次のように考え、少しづつ実践をしてきている。
ア、学習に必要なものが児童の手のとどきやすいところにあること。
イ、児童がわかりやすいように整理されてあること。
ウ、児童の理解に必要な表示などがはっきりしていること。
エ、活動に必要な十分な空間があること。
オ、活動に必要な十分な時間があること。
カ、楽しい雰囲気作りに留意すること(教室内装飾、音楽)

 また、「適切な課題を準備する」は、次のように考えている。
キ、一人一人の実態にあった適切な教材・教具などを工夫すること(感覚を刺激
  するものから手や指、体を動かして遊ぶもの、道具を使うもの)。
ク、補助を受ける度合いが極端に多くなく、自発的な活動ができるもの。
ケ、児童の興味や関心に結び付くものであること
 ・形や色彩が興味を引くもの
 ・具体的操作によって反応が表われるもの
コ、操作による反応が短時間に表われるもの
 ・短時間に結果が表われ、活動への意欲が継続するように
サ、生活に密着した物で、具体的な操作ができる物。
シ、場の設定
 本単元の「電車ごっこで遊ぼう」においても、上記のような点を念頭に置きつつ、課題が適切かどうか吟味し、
状況の整備を図ることに配慮したい。
 また、子どもたちの気持ち(気分・感情・意図・情動)を受け止め、行為を意味づけし、柔軟に対応することで、
子どもたちの気持ちや考えをいろいろな形で表現することができる力を伸ばしていきたいと考える。

5 指導計画

題 材 名 時数 指 導 内 容
電車のVTRを見よう。 2   ・電車のVTRを見て、電車ごっこをやり たいという意欲を持つ。
自分が乗る電車を作ってみよう。  ・段ボールを使って、自分が乗りたい電車を工夫して作る。
駅や踏み切り、切符などの必要な物を作ろう。 3  ・電車ごっこで使う駅、踏み切り、切符などの必要な物を挙げ、工夫して作る。
電車ごっこVER.1をしよう。 3  ・作った駅、切符、踏み切りなどを並べて電車ごっこを楽しむ。
ゲームセンターを作ろう  3   ・電車ごっこの経路の途中にゲームセンタ ーを作る意欲を持つ。
 ・ゲームセンターに置く遊ぶ物を段ボール などで工夫して作る。
作った物を並べ、ゲームセンターで遊ぼう。 ・ゲームセンターを作り、一人で遊んだり 複数で遊びを楽しむ。
電車ごっこVER.2をしよう。
本時
(2/2)
・電車の経路やゲームセンターに遊ぶ物を 工夫して並べる。
・電車ごっごとゲームセンターでの遊びを 楽しむ。 
実際の電車に乗って、行ってみよう。 ・実際に電車に乗って××に行き、食事をして帰ってくる。
電車の勉強のまとめをしよう。 1   ・電車の勉強のまとめを絵や写真や文章を使ってまとめる。

6 本時の学習
(1)題材名 電車ごっこVER.2をしよう

(2)ねらい 
 @全体のねらい
   ・自分たちが作った電車に乗って、友だちと一緒に楽しく遊ぶことができる。
   ・ゲームセンターで、それぞれに自分の遊びを楽しみながら、教師や友だ
    ちとも一部分一緒に遊ぶことができる。
 A個別のねらい(略)

(3)仮説との関連で本時で提案したいこと
 本時の学習の流れは大まかに言うと、次の四つになる。
  @電車に乗って、ゲームセンターに行く。(10分)
  Aゲームセンターで遊ぼう(25分)
  B遊んだ物を片付ける。(5分)
  C電車に乗って、帰る。(5分)
 @とCは「研究仮説との関連」の項目の「キ」に相当する内容である。発達段階から見て、子どもたちは
無理のない設定の中で、やりとりをする場面を多く作っていく必要があるように思う。その意味では、@と
Cのような、いわゆる「ごっこ遊び」は大切にしたい活動であると考える。
 さらには、意欲的な活動を促す上で、子どもたちが興味を持っていることに依拠すべきであろう。そこで、
電車を作ったり、電車に関係する道具立てをしてみたわけである。
 また、Aでは、「イ」や「エ」、「オ」に留意した。
 ただ、活動の空間を用意するのではなく、空間を区切って「ここはこれをする。」「あっちはあれをする」と
いうように空間を区切ることで、今何をすればいいか子どもにとって視覚的に状況がわかりやすいように
することを念頭においた。


(4)展開

学 習 活 動 指 導 上 の 留 意 点
1はじめのあいさつをする。 
・今日の活動の見通しをもつ。
・めあてをつかむ。

@みんなでつながって、楽しく電車ごっこをしよう。
Aゲームセンターで楽しく遊ぼう。    
・段ボールで作った電車に乗り、ゲーム
センターに行って帰ってくる活動である
ことを絵や写真など視覚に訴えて提示し
見通しを持たせる。
2出発の準備をする。     
・窓口で切符を買う。     
・改札で切符を切ってもらう。
・「まもなくゲームセンター行きの……
…乗る準備をしてください。」の合図に
合わせて切符を買う活動をさせる。
・副担が駅員に扮して、切符購入、及び
改札の際に一人一人とやりとりをする。
・主担は子どもたちの活動を援助する。
・Aには駅員と視線を合わせて話すよう
留意させる。
・Bの動きが状況と合わない場合、場面
の絵が描かれているカードを見せて、理
解を促す。
3みんなで段ボール電車に乗る。
・自分の電車を誰の後ろにするかは前時 
に決めさせておく。       
・Cが乗ることに抵抗を示した場合は落
ち着かせてから、単独で出発させる。
4「ゲームセンター前」駅に向け
て出発する。         
・ベルの合図に合わせて、出発させる。
・先頭の電車には主担が乗る。   
・副担は脇から子どもの動きを援助する
・Dに、途中の要所(踏み切りや鉄橋な
ど)で掛け声をかけさせる。
5「ゲームセンター前」駅で降り
る。             
・駅員に改札で切符を渡す。  
・並べて電車を置いておかせる。
・副担が改札で一人一人とやりとりをす
る。
・主担は2と同じように、子どもたちの
動きを援助する。
6ゲームセンターで楽しく遊ぶ。
・一人で。 

 

・複数で(教師と、友だちと)。 

 

 

 

 

 

 

・Cが落ち着いて好きな遊びができない
場合、興味を引きそうな遊び道具を提示
する。       
・一人一人が好きな遊びをする時間を保
障する。

・一人一人の遊びの動きを読み取りなが
ら援助的に関わって、子どもと教師の一
対一の遊びにつなげていく。 
・Aの遊びを基に、交代のルールが入っ
た遊びを構成し、一緒に遊ぶ。    
・A,Bにはしている遊びと同じ遊びを
教師がすぐ近くでして、少しでもやりと
りが生まれるようにしたい。
・全体の動きが停滞している場合は、新
しい遊び道具を提示することで、活発な
動きを導き出したい。       
・子どもと教師の一対一の遊びから、発
展させ3人、4人への遊びへとつなげて
いきたい。

7遊んだ物を片付ける。 ・「まもなく××小学校行きの………入
ってきます。」を合図に片付けさせる。
8みんなで段ボールの電車に乗っ 
って帰る。 
・行きと同様に窓口で切符を買い、改札
を通らせ、やりとりが必要な場面にする
・ベルの合図に合わせて、出発させる。
9今日の勉強のまとめをする。 ・着いたところで、今日の勉強について
めあてが達成されたかどうか、一人一人
について、よかった点をほめる。
・自分で言える子には話させる。