[   雑感 若者たちに寄せて



 この頃、若者たちに励まされることが多い。若者の世代を過ぎかかっている私が言うのも変なのだが、
今の若者たちの姿に感動することが多い。


今をときめくMr.Childrenという若者たちのグループ。

例えば、彼らの歌だ。

ただ、単に、恋や愛を歌っているのではない。

がんばろうと歌っているのでもない。

できないことをできないと言いにくく、

つらいことをつらいと言いにくい、

ただ、がんばれでは、がんばることがしんどくなっている時代。

所詮、心の痛みを抱えながら前向きに生きるしかないのだけれど、

そして、現実にそうやって生きているのだけれど、

ふと、気がつくと、すごく疲れている自分がそこにいたり、

無理をしている自分に気がついたりする。

彼らの歌は語りかける。

他の誰でもない自分、

その自分が自分であることをもっと大事にしようと。

自分を責めたり、人と比べたりせず、もっとせつないくらい自分を愛そうと。

それがすべての拠り所であると。


 多分私が彼らの歌にひかれるのは、人はいろんな痛みや矛盾を抱えながら生きているということを正面から歌い、
そこを大切にしていきましょうと言っているからなのだと思う。


 さらに、新聞に目を移せば、自分がエイズ感染者であることを表明し、東京HIV訴訟に立ち上がった川田龍平君、
そしてそれを支援する多くの若者達。彼らの行動は厚生省や製薬会社の数々の不正をあばいてきた。 また、ひと
つの事件が大きなうねりとなり、そこに住む住まないを問わず、多くの人に鋭い問題をつきつけたのは沖縄の地で
あった。県民投票に合わせて自分たちの声も、と自主投票を行った沖縄の高校生たち、彼らの姿も忘れることが
できない。

 人の痛みをただ人の痛みとせず、自分の生き方に重ねていける感性、臆せず向かっていく行動力。なんとすば
らしいことであろうと思う。

 若かりし頃の自分をふりかえる時、無鉄砲さやあやうさのあふれた行動、周囲に不安や困惑を与えた言動は数
々あった。今となれば恥ずかしさでいっぱいの思い出だけれど、反面でそれらの記憶にふたをすることで今を生き
てきたのではないか。過去の無軌道さをいとおしみつつ生きる、どこかに捨ててきた大切な感覚を自分の中でもう
一度、呼び覚ます、そんなことを今の若者たちの行動に自分を重ねて思う今日このごろです。