昨日の日記で軽くネタにした、先月の勤務時間についての話。

先月の仕事は、最初から「一ヶ月限定」という話で向かった開発現場だった。
何でもその現場では、納期寸前にも関わらず不具合が大量に残っていて、とても納品出来る代物になってない…
とにかく時間が無いからってんで現場面接も無いままに、8月末日のある日の午後からいきなり現場にブチ込まれる事になった。

こういう「火吹き現場」の存在自体は、いわゆるIT業界ではよくある話で、人によっては「単なるありがちな話」かも知れない。
けれど自分とっては、この9月の一ヶ月間…それは間違いなく今まで経験した現場の中で一番、色々な意味できつい現場だった。

元々、自分はソフトウェアの業界にいながら、今まで幸運にも比較的暇なプロジェクトに多く当たってきたってのは正直ある。
あまり大きな声で言えるような話じゃないけど、過去には仕事が暇すぎてやる事がなさすぎるあまり、仕事中に現場を抜け出して近所のゲーセンに行ったりとか、昼休みは60分フルに昼寝して15時くらいにこっそり抜け出して外でラーメン食ったりした事も、まぁ何と言うか、数回じゃ済まないくらいにある。
昼休みを30分以上もオーバーして戻ろうとしたら、現場で避難訓練が始まって戻るに戻れなくなり、最終的に1時間以上もオーバーして自席に戻った事もあったっけ。
(さすがにこれは現場のリーダーに相当キレられたがw)
こんな「暇な現場ばかりだった」訳ではないけど、それでも自分は楽をして来た方だという自覚は一応持っている。

ただそれでも一応、最大で58時間連続勤務とか月360時間勤務とかも一応経験はしているし、そう数は多くはないにせよ…さすがに「多忙とは何たるものか」くらいは心得ているつもりなのでw その歴史?の中においてもやっぱり、今回は一番に辛かった現場という事になる。

話を戻して。

そもそも通常、仕事が選べるほど豊富に開発案件がある好景気な頃であれば、まともな会社ならこんな火消し仕事なんてまず受けない。
こんな環境は人材育成や社員のスキルアップと言う観点からも不適だし、金銭的にはいくら儲かるったって、激務によって社員に強い負荷を掛けるのは明白だから。
もし止むを得ない理由で現場に社員を送り出す事があったとしても、それは会社の上層部や管理職から、最大限に配慮されて出される事だろう。

…あくまでも通常なら、ね。でも今回は、残念なからそんな状況ではなかった。
不況のあおりをモロに受けて、自分の会社みたいな中小ソフトウェア会社は今、仕事が無くてどこも苦しい状況(と聞く)。
うちも例外じゃなく、特に経験の浅い若手技術者が大量に売れ残って、自社で「金にならない・客のいない仕事」をしている状態だった。

とにかく売上を上げなければいけない状況の中…会社にしてみれば、悪く言えば絶好の「金ヅル」が降って来たようなもの。
さすがに表には出さずとも、「出来るだけ残業して休日出勤しまくって3人分くらい金稼いできてね」という雰囲気がアリアリしてましたよ。それはもう。
そしてこの状況のおかげで、会社に文句や泣き言を言っても「暖簾に腕押し&糠に釘」状態になるんだろうとは容易に想像できた。
(実際、この仕事に選抜された人間は皆「非・若手」で、過酷な現場に耐えうるだけの経験と言う名の我慢強さを持った人間ばかりだった)


そしてその開発現場の参入当日。
いきなり愕然とさせられたのが、どう見ても自分の席が無いという事だった。
現場初日なら「席がまだ用意されていない」「PCが無い」くらいなら、別に珍しい事じゃない。
でも、今回は明らかにそうじゃなかった。
どう見ても、人がまともに座れるスペースが無かった。その空間そのものが作れない状況だった。
この時点でこのプロジェクトがいかに人を急激に増やしたかを考えると…そして、そうせざるを得ない状況とはどんな状況かを想像して「予想通り、定時なんてあって無い状態なんだろうな」くらいの覚悟はした。

でも状況は、その遥か斜め上を行く事になる…。


…次回に続きます。


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