「今月17日まで、お会計時にこの画面提示で¥1000割引!」

近所にあるチェーン系の焼き鳥屋から、今週頭にこんなDMが携帯に飛んできた。

ただ先週末から続いている風邪がまだ完治していないって事もあって、この体調の時にアルコールは少々まずいよなぁ…などと
一度は思って(自戒して)みたんだけど、さすがに一人で飲む時に1000円引いてくれるってのは相当にデカい。
しかもこの店は生ビールの中ジョッキ(かなりインチキ臭いジョッキではあるけどw)が何杯飲んでも199円というサービスもやっていて、
生ビールだけで考えても何とジョッキ5杯分が無料になるってのはさすがに捨て難くて、結局鼻水をすすらせながらw 店に行く事にした。

ただこの割引は「¥4000以上の利用に限る」という条件があった。
この店はチェーンの割には少々値段が高いので、普段はつい「鳥もも」とか「砂肝」とか安いものばかり注文しがちになってしまうんだけど、
今回は当然、敢えて4000円を超える会計にすべく…普段は高くて注文しないような「つくね」やら「豚トロ」やらを次々と注文。

それに腹が膨れてしまいがちで金額を稼げないビールも2杯くらいに抑え、これまた酔い過ぎないようにと敢えて梅酒やらを注文して…
しかも普段、まず注文する事もないような「蔵元の梅酒(一番高い)」などを注文して「…どの辺が蔵元の味なんか良く分からんぞ?」
などと一人で突っ込みを入れながら、店に居た約2時間の間に次々に注文を繰り返した。

最後に締めのつもりで注文したジンライム(自分はジンって少し苦手なんだけど、居酒屋で度数の強いカクテルって他に無いし…)が
グラスの1/10くらいしか入ってなかった上に「これ本当にライムジュース入ってんの?」と言いたくなるような味だったんだけど、
さすがに焼き鳥屋やら居酒屋で「すみません、これちょっと味がドライ過ぎなんですけど」などと言ったところで、どうせ店員の反応は

「ドライ………プ

くらいなもんだろうし、特にカクテルというモノの性質上、イチイチ味に文句を言うのも少々みっともない。
それにまぁ今回は1000円割引があるんだし贅沢も言うまいと、自分に言い聞かせるように我慢して飲む事にした。

そして近くに店員がいない事を確認して、おもむろに携帯の電卓を取り出して注文の品の合計金額を計算し出す俺。
生2杯と梅酒と…などと最初から最後まで2度も通して計算して、そして2度ともしっかりと4000円を100円ほど超えている事を
この目で確認したのち、この店から飛んできたダイレクトメールの「割引します!」って書いてある部分を画面の中央に合わせて、
さぁこれで全ての準備はバッチリだと万全の自信を持って「すみません、お勘定お願いします」と申し出た。

そしていざ会計。自分はポケットに既に手を突っ込み、速攻で携帯が取り出せるよう準備していた。


「お会計、3970円になります。」


  _, ._
( ゚ Д゚)


…。な、何故だ。2度も注文の品の合計金額を計算したと言うのに。

ここで思わず「…この金額って本当に合ってますか?」などと店員に言ってしまう俺。
と言ってもここでまさか店員がおもむろに「はい、間違ってます」などと言う筈もない。
結局手渡されたレシートを1分近くマジマジと見つめて、「……合ってる…」などと呟きながら絶望感に打ちひしがれる俺。

ここで俺にもう少し勇気があれば、「あのすみません、このDMなんですけど…4000円に限りなく近いって事で割引OKですよね?
などと見苦しく値切り交渉に臨めたのかもしれないけど、もう既に「レシートをマジマジ見つめて、しかもそれに間違いが無かった」って
時点で一刻も早くこの場を立ち去りたいという思いしかなくて、速攻で代金を払って逃げるように店を出た。


うーむ、俺が計算したあの金額の一体どこに間違いが…などと一人でブツブツ言いながら、全く酔う事もままならずに帰宅した。


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