書くのがかなり遅れてしまったけど、昨日の話の続きを…もう一つの「ショッキングな敗戦の記憶」について。

これまた昔の飯田橋東風荘に出入りしていた頃の話。
あるタイミングでカップル(と言うよりは女連れの男、と言った方が近いのかも知れんが)と同卓する事になったんだけど、
男の方が見た目がドラえもんに出てくるスネ夫をさらに醜悪にした上にヲタ風味をプラスしたような風貌で、第一印象に近い要素だけで
ここまで人を不快にさせられるだけの人間はそうそう居ないんじゃないの、ってくらい生理的に受け付けない男と同卓する事になった。
しかも麻雀の打ち方までもが、牌捌きからして既に勘違い全開で(第一印象の悪さがそのまま印象の悪さに直結しているからかも知れんが)
全局ゼンツの繰り返しなのにも関わらず、至る所に散りばめられる上手ぶり感がますます人を(俺を?)不愉快にさせた。

しかもそんな男が女連れである。まぁ女の方はかなり地味で人畜無害そうな印象しかなくて、しかも失礼ながら結構関取体型でもあったんでw
別に「こんな潰れたスネ夫に女なんて」みたいな思考にはならなかったが、ただその人の良さそうな感じがますます男の不愉快さを
際立たせる要素にもなっていて、まぁとにかく文面だけでは伝えきれないほどの、えもいわれぬ不快感が漂いまくりの状態だった。

いくらノーレートとは言え、当時はこういうタイプの打ち手は何が何でもボコっておかないと気が済まない体質だった自分は、
とにかく早目に凹ませてとっとと帰らせようと思いながら、もう気合を入れまくって全力でスネ夫叩きに走った。

幸いスネ夫の麻雀は先に書いた通りただひたすらゼンツするだけの麻雀で、苦せずして次から次へと当たり牌を供給してくれた事もあって
南2局を迎えた時点で俺が59300点持ちのダントツトップでかつスネ夫が飛び寸と言う、素晴らしくスカッと爽やかな展開になった。

この店は誰かの持ち点が60000点を超えると、その時点でゲームが終了するルールだった。
自分があと1000点でも和了すれば「俺トップ・スネ夫ラス」という完璧な展開になるって所のその南2局で、最高に上手い按配で
配牌から場風牌である南を3枚自手に収め、しかも4順目には既にダマでの聴牌が完成していた。
もう既にこの時点で16777216%勝利を確信し、自分の内心は「スネ夫断ラスで何も出来ずに終了 ププ 一色だった。

いかにしてスネ夫が早くラス半コールしたくなるような「ラスト〜」の言い方について真剣に検討に入ろうかとした頃、
対面のスネ夫が満面の不気味な笑みを浮かべながら、その4順目に「ツモッ!」などと口走った。

げっ、この完璧な展開で俺の6万超えが潰された…なんて思ったのも、ほんの一瞬の間でしかなかった。

その手牌が倒された瞬間、スネ夫が何と言ったか…今、その部分だけ記憶が完全に欠落している。
おそらく自分の精神状態を本能的に自衛する為の、自己防衛本能の働きなんだろう。

そしてその倒された手牌には、一九字牌しかなかった。

しかもあり得ないのが、その時に親番だったのが何故か俺というこの不条理さ…。

ただそれでもトビ寸だったスネ夫はこれでもまだトップが確定した訳でも何でもなく、俺と点差がほぼ無くなるくらいだけだったが、
今よりも更に青くて精神力もなかった当時の自分が、そのスネ夫の国士和了の時の嬉しそうな表情を記憶から取り払える訳も無く。

軽く放心状態で迎えた次の南3局に無理染めをしていた所で、スネ夫の女からリーチされて手詰み状態になってしまう。
これを逃げ切る事が出来ずに結局満貫を放銃するハメに。見事なコンビネーションアタックであっさりと撃沈してしまう自分…。
ただそれでもオーラスにまだワンチャンスがあったんだが、スネ夫のクソ軽い仕掛けに結局追いつく事が出来ずに逃げ切られて終了。
そして卓上で繰り広げられるスネ夫の「これが実力、勝って当然、まくって当然」と言わんばかりの不快な言動に対抗出来る唯一の俺の行動は、

「……ラス半」

だけだった。あー、今思い返しただけでも情けなく、腹立たしい気分になる。

ちなみにスネ夫が客で来たのは、その時一回だけだった。
スネ夫に4順目で国士をアガられた上にまくられたっていうクソみたいな結果だけが、いつまでも残る事になってしまった。


…まぁ「リベンジしたかった」って思いよりは、不快だから二度と見たくないから別にいいって思いの方が強いけど。笑


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