もう学生生活を終えて社会人になってから結構経つけど、それでも現在の東風繋がりみたいな人間関係を続けていると、
あと雀荘で知り合った人間でそうなったりもするけど、未だに大学生とかその年代の人間との交流みたいなものが結構あったりする。

そんな中で、初対面でのタイミングでは特にそうなんだけど、自分自身の職業とか仕事についての話を軽く挨拶代わりにする事も多い。
それで自分がIT関連業…単純に言うとプログラマーという職業をしている事を相手が知った時に結構多く返ってくる反応が、
「自分も将来、その分野への就職を考えている(その分野の仕事がしたい)」とか、それに類似する反応だ。

確かにこの職業は、特にここ数年は就職の間口も広くて、それに一度技術を身につけてさえしまえば食いっぱぐれたりする心配もない。
優秀な人材を欲しがるのはどの分野の企業でも当たり前だとは思うけど、この分野…技術者という仕事は特に技術と経験は重宝される。
しかもその技術ってのも、(確かにピンキリとは言えど)言語とか環境を身の丈に合った物を上手く選択して立ち回っていけば、
さして苦労する事も無く、普通に日本語を解読出来る力があるくらいの能力だけで充分、身に付ける事が出来るものといった感じがする。

でも、そこで…将来この分野への就職を考えている人に対して、「この仕事はお勧めだよ」とかいう返事を返した事はない。

自分は「本来自分自身だけが決める・決められる物」に対してあれこれ口を挟むような事は好きではないんで、こういう場面でも
余計なお節介的なことは何も言わないようにしているんだけど、もし本人の事を考えて、あえて言うとしたら絶対にこう言うだろうと思う。

「あなたは本当に、コンピュータプログラミングという行為であったり、システムを作るといった行為が好きか?」
「もしそうでなければ、あなたには人一倍の我慢強さがあるか?」

と。

はっきり言ってしまうと、この職業は「やり甲斐」を見つける事が非常に難しいと、自分は常日頃から思っている。
もっとぶっちゃけた言い方をすると、この職業は人に喜ばれたり、誉められたりする機会が本当に少ない。無いと言ってもいいくらいだ。
逆に、本来自分の責任ではないような問題まで責任転嫁みたいな事をされ、客の不平不満とか文句に対応しなければいけない事が非常に多い。

例えばゲームプログラマーとか、エンタテインメントの要素がある作り手であれば、良い物・面白い物を作ればそれはダイレクトに
ユーザーの反応として返ってくるし、それらをやり甲斐にまた頑張ろうという気持ちにもなれるかも知れない。

でもこの職業はユーザー(客)が企業であったり、ある特定の人間が使用するものでしかなく、指示された物の通りに作るというだけで…
しかも悪い言い方をすれば「ユーザーが思い描いているような物」をちゃんと作れるかどうかという話でしかなくなってくる。
その上「ちゃんとした物が出来上がって当たり前」とユーザーは思っているから(まぁそれ自体は当然の話ではあるんだけど)
何か不都合であったりバグであったり、はたまた「思い描いていたものと違う」ってだけでも文句を言われたりする。

そしてその「ちゃんとした物を作る」ってのは、チームメンバーの中に使えない人間がいるおかげでどうしても穴を開けてしまったりとか、
場合によってはユーザーが無茶な要望を出してくる事もあって、ただ「ちゃんとした物を作る」って単純な事がなかなか出来ない。
結果どれだけ努力しようが頑張ろうが、その部分を評価される事はなく、ただ歯車のズレた部分だけをクレームとして指摘される。
その繰り返し。

その上にこの職業は、仕事内容そのものを第三者的な観点から評価するといった行為が難しい。
個人プレーで何かをする事はほとんど無いし、常にチームという集団の中で…さらにそのシステムの内部的な部分を製造する訳だから、
客観的に良し悪しが判断出来る物がないというのも仕方の無い構図なのかも知れないんだけど、この分かりにくい構造によって、
使えない人間のフォローを優秀な人間が必然的に行うという構図が蔓延していて、常に優秀な人間が被害を被るような形になっている。
(自分が優秀だからいつも被害を受けているとか、そういう事を言ってる訳ではないんで念の為w)

「チームプレーなんだからフォローし合うのは当たり前」という考え方もあるだろうが、ここで言う「使えない」ってのは
能力的な事ではなくて、むしろその人間の怠慢な考え方とか仕事のやり方にあったりする事が多い。
結果「ダラダラして仕事してない奴の分まで共同責任って形で(優秀な人間が)尻拭いをする」という構図になってしまっている。

逆に、優秀な人間一人ではどうにもならない&出来ない事が多いけど、責任はチームメンバーという形で全員均等にのっかかってくる。
(よほど酷いメンバーがいるとかであれば話は別かも知れないけど)
結果、客・ユーザーに努力その他が評価されにくいだけでなく、身内・社員としての自分自身の評価さえもされにくい。


昔、就職2年目の頃だったかに、某会計系の社内システムの開発プロジェクトに加わって仕事をしていた事がある。
そこで一通りの開発が完了して、いざ本番環境への移行となった時に…単体(個人)レベルの動作テストしか行っていなかったために
(まぁ今にして思えばおかしな話だけど)いい加減なテストしかしていなかった人間の担当分から絶望的な数のバグが出て、
連日連夜の泊り込みモードに突入してしまった。

そのチームのメンバーは全員、開発者用のメーリングリストに入っていて、顧客からの不具合報告やらクレームがもれなく全員に
メールで行き渡るような形になっていたんだけど、その時はそれはもう悲惨な状態だった。
こちらの修正作業よりも不具合のメールが飛んでくるペースの方が早くて、やればやるほど残りの作業が増える。
トイレに行って帰ってくると問題が2〜3箇所は増えている。
徹夜明けでフラフラになりながらも何とか気力だけで作業していると、顧客から
「こんなデタラメで動かない物を作って、あなた方は一体何をしていたんですか?一体どう責任を取ってくれるんですか?」
といった大激怒メールが飛んできたりする。そう言えば、生まれて初めて胃炎になったのもこの頃だったなぁ…。
極端な例かも知れないけど、それでもこういう場面でのモチベーションは結局、プログラムが好きかどうかだけに掛かってくる気がする。


何度もくどいようだけど、この仕事は本当に好きでなければ出来ない仕事だと思う。
そして自分自身は、いくら考えても…残念ながらこの仕事が好きだという感覚はない。ただ食うための手段として、今までやって来た感じだ。

でも未だに本当にやりたい事を見つけられない自分のような人間は、ただ黙って我慢しているしかないのかも知れないけどね。


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