浜松町 「M 亭」      全店一覧へ

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    dancyu に掲載された後直ぐに行ったら「当分の間休みます」との張り紙。がっかりしていたら、ほどなく開店していた。
   早速入ったらやっぱり6席のカウンター席は一杯。そこで、指示通り外で黙ってまつ。
   席が空き、中に入るとやはり dancyu の記事どおりの品書き。ちょっと違ったのはまずおやじさん独りではなく、おばさんもいたこと。出したり下げたり、勘定したり、手伝っていた。
  それから、おやじさんの顔は Dancyu のイラストだと「積年の労苦が顔に深く刻み込まれたような老料理人風」に見えるが、それよりはもっともっと穏やかで笑顔のかわいいおやじさんだった。
    さて、「もり」2枚、と「そばがき」と思ったが、「そばがき」は売り切れで、「かけ」にした。たしかに「もり」一枚は3口分くらいしかない。2枚で手打ち高級店の1枚ぐらいか。1枚300円だから、しめて600円。
   やや太め。色は「そば」とはこういう色といういい色をしている。まず、生(き)でいただくと、蕎麦の香りが口一杯に広がり、コシのある麺。清冽・芳醇。つゆも適度に出汁が効いたすっきり・しっかり味。麺とよく合う。
   しかし、圧巻は実は庵主はめったに食べない「かけ」であった。小さな「こね鉢」のような形の木製の器。それに本当に麺だけしか浮いていない。それに出汁の効いたかけ汁。この超素朴な食べ物の織り成す世界の奥の深さいったいなんとしたことか?
    通常、かけ汁を飲み干すこともない庵主もつい最後の一滴までいとおしくいただいた。期間限定かもしれないこのお店、dancyu をお持ちの方はぜひこっそりとお訪ねになることをお勧めしない訳にはいかない。
    確かにご亭主は「今満員なんです」と待たれるのがお嫌いのよう。決して徒党を組んでは行かぬことか。(2000.5.7)

(dancyu 筆者の意向を尊重し住所等は掲載しません。)

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