作者突撃インタビュー!
vol1.序章
こんにちは、リリアンかわら版現編集長、山口真美です。 今日は、リリアン女学園高等学校の新聞部を舞台にした小説、「こちらリリアンかわら版編集部」の著者、赤木保さんにインタビューしました。 え? そんな奴のインタビュー一年生にやらせてベタ記事扱いすればいいって? 私もそう思ったんですけど、(以下の発言はオフレコのため略) 新作は真美・三奈子がいたからこそ −−こんにちは。本日は12月末刊行予定の「こちらリリアンかわら版編集部〜停学の謎を追え」について色々お話を伺いたくお邪魔しました。よろしくお願いします。 赤木「はい、よろしくね。何でも聞いてください」 −−では、まずは、この作品を書こうと思ったのはいつ頃ですか? 赤「んー、正確には覚えていないんですが・・・最初に考えたのは、2004年の秋頃かな。当時、オリジナルファンタジー「光と共にありて 第二部」の終わりが見え始めた頃だったんだ。次は何をやろうかな、と」 −−ちょうど去年。ずいぶん早いですね 赤「俺は書いている作品の次々回作を考えるのが得意で(苦笑) 「第二部」が終わったら、第三部を書く構想もあった。でもその頃は、ファンタジー一辺倒はどうなのかな? と思いつつ、方向性を探している時期でもあった。「マリア様がみてる」の構想を考えたのも、多角化の一環なんだよね」 −−確かに赤木さんは、2005年春に証券取引のリポート「赤木証券」やセンチメンタルグラフティを題材にした「センチの旅」といった、それまでになかった本を書いていますね 赤「そう。あのころは実験を繰り返した時期だった。「赤木証券」は失敗したけど、「センチの旅」は自分としてはすごく成功した。その時思ったんだな。二次創作は面白いぞ、と」 −−それで「マリみて」なんですね。でも、私とかお姉さま(本紙元編集長・築山三奈子)を主人公にしたのはなんでですか? 私たちって、残念ながら脇役で、もっと中心になる人がいると思うのに 赤「いや、むしろ、君らがいるからこそ、「マリみて」本を書こうと思ったんだ」 −−え、どうして? 赤「二次創作をやるとして、何をやるか。ホームページに書いたけど、新しいもので俺が分かるのは、「マリみて」ぐらいしかないんだよね。じゃあ「マリみて」で何を書くか。一番好きなキャラは蓉子と祥子(編注:当時。今は祐巳と可南子の方が好きらしい)。だけど、二人を主人公にして、何が書ける? すでに多数出ている同人誌よりも面白いモノが書けるとは思えない。俺は微妙な心の動きとか、そういう繊細な話が苦手だからね。 そこで、ふと思った。俺は以前、学生新聞編集部みたいなものに属していた。だから、三奈子や君には以前から親近感を持っていたんだな。君らを題材にすれば、単なる二次創作じゃなくて、ジャーナリズムを題材にした硬派な内容が扱える。俺のこれまでの方向性を生かせるし、他のうまい人とも差が出せると思ったんだ」 −−なるほど、新聞がキーワードなんですね 赤「そう。新聞は俺の持っているネタの中でも、切り札中の切り札だからね」 −−本格的に、「マリみて」新規参入を決断したのはその頃ですか? 赤「うん、2005年の5月頃だね。「第二部」は6巻構成の予定だったんだけど、結果的に5巻構成になりそう、と思ったあたりから、2005年の冬は、「マリみて」で行こうと決断した。半年経った今、マリみてブームは終わるかと思ったけど、まだ息長く続いているし、近々OVAが発売されるという話もあるみたいだね。結果的に、この冬は「マリみて」に新規参入する最後のいい時期だったかな」 「マリみて」はファンタジーじゃない! −−それでは、本の内容についてお伺いします。どんな本になりましたか? 赤「基本は君と三奈子を中心にしたストーリー。サブタイトルにあるように、停学になった生徒二人を追いながら、新聞を書いていく話だよ」 −−停学ですか。ずいぶんものものしいですね 赤「まー、さっきも言ったように、普通の話を俺が書いても面白くないから・・・最初は、もっと堅くなる予定だったけど、色々考えて、今回発刊する本の内容と相成りました」 −−もう一歩具体的に・・・と言うと、ネタばれになっちゃいますか? 赤「そうだね。これ以上詳しいことは、本を買って読んでください。ただ一つ言えるのは、私の以前からの主張である、『「マリみて」はファンタジーじゃないぞ』という要素を、存分に込めたということかな」 −−ファンタジーとは、どういう意味ですか? 赤「俺が第一巻を読んだとき、最初の感想は、「これはファンタジー小説か?」だった。お嬢様学校で、おしとやかな箱入り娘たちなんて、今時あるかと。空想世界の話じゃないかと」 −−空想、と来ましたか 赤「そう。でも、読み進めていくと違う感触を持つようになってきた。どのキャラもすごく人間的魅力にあふれている。そして、彼女らは戸惑いながら、ぶつかりながら、悩みながら、結果として人間として成長し、友情を深めていく。一巻を読み終わる頃には、「マリみて」は空想の学校の話じゃない、普通の高校生達の成長物語なんだと、思うようになったんだ」 −−確かに、私なんかかなり普通の高校生だと思います 赤「そうなると、リリアンにはもっといろいろな人間的な葛藤やトラブルがあるんじゃないか、と思い始めた。トラブルがあれば、新聞記者はそこに切り込んでいくのが役目だ。それが、君たちの仕事なんじゃないかと思ったんだよ」 −−新聞記者の仕事、カッコイイ感じ! 赤「例えば、少し内容を明かすと、今回の本には、派閥争いをする生徒たちや嫌みで好きになれないオバサン先生が出てきたりする。こういう人って、どこの学校にも必ずいると思うんだ。そして彼女らはトラブルを起こす。そのトラブルの中へ君たちが深く切り込んでいって、意味を見つけ出し、報道する。そういう構図を考えると、すごくわくわくしたんだよね。 だから逆に、リリアンにはどろどろした人間関係なんてなくて、トラブルを起こすような生徒はいないと考える人には、俺の本は面白くないし、拒否反応が出るかもしれない。それはそれでいいと思っている。ある作品をどう捕らえようが、その人の自由なんだから。だけど、俺と同じように、リリアンにも人間的葛藤が渦巻いている、そこにドラマがあるはず、っていう考え方を持つ人なら、共感してくれるんじゃないかな、って思っている」 −−読者の「マリ見て」に対する世界観が重要なんですね 赤「そう。俺の「マリ見て」観は少し特殊かもしれない。それを前面に押し出した今回の本が同人誌界で受け止めてもらえるかどうかは未知数で、不安もある。でも、そういったトラブルの中で、君や三奈子といった新聞部の面々が活躍していく今回の本は、面白く仕上がったと思うよ」 インタビューはまだまだ続きます! |
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